December |
戸川純/good-bye 20th century
機会があって12月31日にcoba(アコーディオン)が座長を努める「テクノ・キャバレー」というコンサートお台場の「メディアージュ」というところに聞きにいった。お台場という場所はある意味で異常なところで「巨大なゲームセンター」のようでなにか刹那的なある。このコンサートはcobaとパントマイマー中村弘志、戸川純、講壇師、コメディアン、DJ、ダンサー、シェフなどが一体となって作り出す異なる次元空間で、楽しませてもらった。プロの芸人のやる芸とか演劇の面白さとかダンスの楽しさとかやはりプロの人間というのはすごいなと改めて感心!その中でも久々に見た
「戸川純」は、いまだ狂気を失わず存在感があり、可愛くも思えた。椎名林檎とか、ユニークな女性は数多く出たが、やはり、戸川純を越えるものはいない。このアルバムは、インディーズから発売されたもので、彼女がブリジット・フォンテーヌ、Phew、パティ・スミス、スラップ・ハッピー、ヴェルベット・アンダーグラウンド&ニコをカヴァーしたもので、特にパティ・スミスの「Because
the night」は聞き物で、戸川純の持つ毒気とエンネルギーに翻弄されてしまう1枚である。
November |
THE BEATLES/ BEATLES1
ビートルズのNo.1になった曲を27曲年代順に集めたCDだ。真っ赤なジャッケットに「1」の文字が誇らしげであり、ポップスの歴史でもある20世紀の最後のこうしたCDが発売になるのも憎いといった感じだ。目をつむって買うしかない商品だ。収録されている曲を耳の奥にこびりついているし、ビートルズの曲はむしろ隠れたる名曲が多いのであるが、ブックレットに掲載されている写真などえを見ていると楽しくもある。
October |
THE WATERBOYS/A ROCK IN THE WEARY LANDS
マイク・スコット率いるザ・ウォーター・ボーイズのニュー・アルバム。いまさら、オフ・スプリングやレディオヘッドではないし、ロックらしいにアルバムが少なくなっているこの頃、久々にちょっと屈折して斜に構えたこんなサウンドが、「ロックまだ頑張っているな」という気にさせてくれる。
September |
A LOVE AFFAIR/THE MUSIC OF IVAN LINS
最近、買って聞きたいCDが少なくなった。ボサノバとか、ラテンみたいなのを聞くようになった。だんだん中村とうようさんのような境地に入っていくのだろうか??そんな思いで買った1枚。ブラジルの作曲家、イヴァン・リンスの曲をスティング、ヴァネッサ・ウイリアムス、チャカ・カーンなどがカヴァーしたアルバム。なんか、こんな組み合わせに心なびいて買った1枚。
July |
サザンオールスターズ/HOTEL PACIFIC
ひとことで言えばエグイ。狙いどころがいいという作品だ。また、加山雄三ぐらいから始まった「湘南サウンド」の総括とも言える作品だ。と同時にサザンオールスターズの20年の音楽生活の総括とも言える作品でもある。イントロのギター・サウンド、歌謡曲路線を狙った分かりやすい歌詞、バックの方に被さった原由子の鼻にかかったヴォーカル、タイアップもあり大ヒットした「TSUNAMI」の後にあえてこう言った作品をぶつけた桑田の才能に改めて脱帽という感じである。
June |
Virginia Rodrigues/Nos
やすらぎの声とは腹の底から出てくる声を言うのであろう。それもゆるやかに、グルーヴ感を持って。ブラジル出身のヴェルジニア・ホドリゲスはそんなパワーを持った歌手だ。ブラジル音楽をベースに歌う彼女のスケール感は世界を感じさせ、伝統音楽に捕らわれないモダンなセンスとソウルをも感じさせてくれる。夏の暑い日、彼女の音楽を聞くとゆるやかな気分にさせてくれる。
May |
Lou Reed/Ecstasy
ベテラン、ルー・リードの新作だ。「ニュー・ヨーク」にこだわり続け活動をしてきた肩の力の抜けたロック・アルバムだと思う。シンプルなエレキ・ギターのフレーズをバックに歌う彼のヴォーカルを長い間ロックの世界を生き抜いてきた男のメッセージが伝わってくる。多くの事を語る必要がないと言っているようでもある。しかし、ローリー・アンダーソンと結婚したとは知らなかった。ああ、「NEW
YORK」か!
April |
Kila/Lemonade&Buns
最近は、より人間の原点に近い音楽、より民族的な音楽が好みとなってきた。分かるようになってきたとも言える。特にフィドルの音色にトリップ感を感じたりする。
昔はアイリシュ・トラッド等は敬遠していたが、その良さも分かるようになった。キーラはアイルランドの音楽をベースにしているが、それだけに留まらず、アフリカン、 カリビアン、ジプシーの音楽を取り入れ、そのプログレッシヴな感覚、トリップ感は独特のものである。ニュー・ウェイヴ・アイリッシュ・トラッド・バンドとも言われたり
しているが、混迷した最近のポップス・シーンを突き抜ける何かを感じさせてくれる。久しぶりに手応えのある1枚だ。
march |
椎名林檎/勝訴ストリップ
久々のスティーリー・ダンのトゥ・アゲインスト・ネイチャーも良かったが。今月は椎名林檎の堂々のセカンド・アルバムが存在感が素晴らしい。椎名林檎はデビューの時はキワモノ的おもしろさしか感じなかったが、何作も良い作品を連発されると圧倒される。パッケージを明けるとピンク一色のトレイも衝撃的である。明らかの彼女の狙い(スタッフの狙い?)もみたいのも見え隠れするが、すんなり騙されても良いという気持ちにさせてくれる。やはり、彼女のヴォーカルの世紀末的切なさがあってハートに突き刺さるし、ちゃんとロックしている。
February |
MotherEarth/Bring Me Home
長いあいだロックを聞いていると結局、こういった音にたどりつくのではないかと思う。音楽の懐の深さと包容力を感じさせてくれる。全米のチャートを上がるようなアーチストではなくてもよいアーチスト、よい音楽はいくらでもある。マザー・アースはトレイシー・ネルソンの所属したグループ。R&B、ブルース、カントリーをベースにしたダウン・トゥ・アースな音楽性は常に心地よい刺激を与えてくれる。トレイシー・ネルソンはいまだに現役で最近はラウンダーからアルバムをリリースしている。
January |
SPEECH/SPIRITUAL PEOPLE
元アレステッド・ディベロップメントのスピーチのニューアルバムだ。適度にリラックスしたリズム感とメッセージが気持ちよい。「スピリチュアル・ピープル」なにか印象的なキーワードである。人間はもっとシンプルになって太古から持っているエネルギーを取り戻すべきである。そう言っているようにも思える。
20世紀の後半は地域的な音楽がテクノロジーの発達、メディアによって巨大化した時代。音楽ビジネスも拡大した。世界的なアーチスト、ヒット曲も生まれた。音楽は永遠であるが、21世紀はまた音楽が分散化し、地域=土着にもどり、インターネット等を通じて、また形を変えて流通し、世界的各地の音楽が人々に耳に届くという形になっていくだろう。これが、私の最近の持論である。