『第三回姫路寮歌祭』 体験記

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これは、私が 1997年の『姫路寮歌祭』 に参加した際の個人的記録です。

なお、姫路寮歌祭実行委員会の承認は得ておりません。実行委員会には抗議等をなさらぬよう、お願い致します。

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<目 次>   1997年4月19日

<事前情報編>

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1997(平成9)年4月19日、土曜日。はれ

< 午前10時20分~ >

姫路の空は、春にしては澄んでいました。
姫路駅北口の三和銀行前のバス停で「短大前」に向かうバスを待っていると、
妙に大きな布袋を担いだ年長の方々がパラパラと集まってきます。その数、5・6人。
ひょっとして寮歌祭に参加する皆さんではなかろうか?
いや、姫路城観光ご一行様かもしれない。
そんなことを考えながら、ご一行と一緒に、やって来たバスに乗り込みます。

バスは姫路城の足元まで来て、くるりと左に向きを変えました。
ご一行は大手門前で降りるどころか、大荷物から小道具を取り出しはじめました。気の早い人は白線帽まで被っています。もう紛うかたありません。 「今日は12時からやけど、早い人は11時ぐらいから来はるから、準備しとかなあかんねん」と、受付の紙を広げる人も。

10分ほどで、バスは「短大前」に着きました。まっすぐ正面に、姫路寮歌祭の会場、県立姫路短期大学[改め、姫路工業大学]の建物が上品に佇んでいます。 この建物こそは、かつての旧制姫路高等学校の校舎なのです。
私も、寮歌祭ご一行についてバスを降ります。

[旧制姫路高等学校の校門] 県立姫路短大(姫路工業大学)「ゆりの木館」(旧制姫路高校本館)。校門から(35.4KB)

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 県立姫路短大は、普段は図書館しか一般公開されていませんのでご注意。(しかも、土・日・年末年始はお休みです)
旧制姫路高等学校の遺産である「ゆりの木館」(旧本館)と「講堂」は見学させてもらえるかどうか、私は、確答しかねます。

1998年4月からは、県立姫路工業大学に統合されます。今後の動向は、判明次第お知らせします。


< 午前11時~ >

さあ、いよいよ受付開始の時間です。会場となる講堂の周辺には、はかま姿や昔の学生服姿の人がたくさんいます。
一方、私はただの無帽スーツ姿。ちゃんと入れてもらえるかな? さあ、受付に GEHEN WIR !
「O商科大学予科の NAGATANI と申します。よろしくお願い申し上げます。」
受付の方は NAGATANI, NAGATANI と名簿の字を追っておられたが、約2分ほどかかってようやく見つけてくれました。
資料と胸につける赤いリボンを首尾よく受け取ることができました。まずは、第一関門突破です。

[旧制姫路高校講堂] ← これがその講堂。おそるおそる撮った写真です。(39.6KB)

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< 正午~ >

観客席は楽屋 兼 宴会場でした。各学校ごとに分かれてテーブルに座っています。
参加者は全部で約210名。意外と大人数です。それにしても、さすがは地元、旧制姫路高校勢の数の多さ。 ざっと70名。これは全参加者の1/3を占めています。
われわれ O商科大学予科勢は私も入れて 10人ほどでした。私が初めて出会う先輩方にご挨拶を済ませてまもなく、開会宣言が始まりました。
実行委員長のご挨拶などのあと、突如ヨーロッパの学士様の格好をした人が壇上に。
見ていると、懐から古めかしい本を取り出して、朗々とドイツ語を唱え始めました。
ドイツ語による「檄文」なのだそうです。(このあたりの写真はありません。まことに残念)

曰く、

---- APPEL AN DIE JUGEND ----
(アッペール アン ディ ユーゲント)

O Himeji, du alte schoene Stadt mit deinem grandiosen Schloss!
(オー ヒメジ、ドゥ アルテ シェーネ シュタット ミット ダイネム グランディオーゼン シュロース!)
Heute mit Vergnuegen versammeln wir uns wieder hier in Himeji,
(ホイテ ミット フェアグニューゲン フェアザメルン ヴィア ウンス ヴィーダー ヒア イン ヒメジ、)
um das dritte Studentenliederfest zu feiern. ...
(ウム ダス ドリッテ シュトゥデンテンリーダーフェスト ツ ファイエルン)

[ 以下略。旧制姫路高校 水野潤一氏の作。原文は全部ドイツ文字 ]

おお、なんと硬くてバンカラな響き。本当は全部引用したいのですが、控えます。
"青春とは、人生の一時期にあらず、心の持ち方(Geistesstatus)なのだ、さあ青春賛歌を歌い上げよう。もっと光を、もっと力を! "

続いて、和文(文語)の「檄」が読み上げられました。こっちは、典型的バンカラスタイルの人が演壇に立っていました。

---- 檄 若き朋友に告ぐ ----

おお 姫路 壮麗なる城聳え立つ古き美しき町
本日 我らは第三回寮歌祭を迎え
勇躍 再び此処姫路に集い来たりぬ ......

[ 以下略。旧制姫路高校 奥村豊氏の訳。原文は旧字体 ]

さあ、気分が高まってきたところで、乾杯!
酒を飲みながら寮歌を歌うのも、悪くない。私は注がれるままビールに日本酒にちゃんぽんで飲み始めました。

[会場の風景-まだ序の口] まだ皆さん しらふ です。(36.9KB)

やがて、代表寮歌の部が始まりました。 * 曲目一覧のページ(工事途中で放棄)
まずは、ホスト役の旧制姫路高等学校が「序歌」を。『日本寮歌集』にも載っていないような、とっておきの歌で我々を迎えてくれました。
歌声と太鼓が場内に響き始めると、隣の席の大先輩が、
  「ええわぁ、これが、ええねん」
と感慨深く何度もうなづいておられました。この方も、さっきまでは補聴器の音量調節ダイヤルをいじりながら、難しい顔をしておられたのですが......。

東京や大阪の寮歌祭では、他校の出演中は皆客席でおとなしく座っていますが、ここ姫路では様子が違います。
みんながよく知っている歌になると、舞台のかぶりつきのところへ寄っていって応援を始めます。皆さん、席でお酒をお召しになっていますので、会が進むにつれて だんだん大騒ぎになっていきます。参加者の少ない学校(たとえば、旧制新潟高校は、奥さん?が一人だけ)の番になると、他校の人も舞台に上って加勢を始めます。

いよいよ わがO商科大学予科の出番が回ってきました。
私も鉢巻きを巻いていざ舞台へ。(写真はナイ)
「うのはな ひらく うつせみに ......」 大先輩のプロローグ(前振りの科白)が高らかに響き渡ります。 「いざ うたわんかな ...... アインス・ツヴァイ・ドライ !!」
ああ、学生時代の飲み会でさんざん歌った歌を、こんな格式ある舞台で歌えるなんて。私の頭の中には、この歌と共にすごした学園の日々が鮮明に浮かび上がっていました(といっても、わずか5年前)。 諸先輩方もすでに十代の若者に戻っていました。数十年前、軍事訓練に時間を取られ、現代の感覚では決して明るい学園生活ではなかったかもしれませんが。 舞台の上には順番の近い学校の皆さんもおられて、一緒に歌ってくださいました。

わがO商大予科に続いて、神戸の2校が出演しました。もちろん、わがO商大予科のメンバーはそのまま残って応援します。ご近所のよしみですね。私は、この2校の歌は1番しか 覚えていませんでした。他のメンバーの皆さんは、もう諳んじておられるようです。

さて、席に戻ってから、さらに酒をすすめられ、ぐいぐい飲んでいるうちに、私は意識が朦朧としてきてしまいました。
こんな写真を撮っているのですが、どの学校の出番だったのか、全然思い出せません。すみません......。

[諸校入り乱れて寮歌を楽しむ] 宴、たけなわ。(30.0KB)
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< 午後3:00~ >

ふと正気に返ると、"希望校による寮歌" の部が始まっていました。
こちらは、参加校のうち、出場を希望する学校だけが登場します。曲目は自由なので、各校とも、とっておきの好きな曲を歌えるわけです。

  たとえば、

  とくに私の気に入ったのは、次の2校でした。   どちらも、そのまま宴会に使えます。

と、会場がにわかに賑やかになってきました。
見ると、なんと赤フン男登場! バンカラの最先鋭 !!

[赤フン男登場] 念のため、目隠しをつけました。ほかの皆さんも少し画像調整しています。(31.2KB)
舞台に立っておられる、旧制姫路高等学校の皆さんの名誉(?)のために一言添えておくと、 この赤フン氏は姫高の方ではないようです。

私の近くにおられた大先輩が一言、
  「あれが出てきたら、いつもおしまいなんや」
とおっしゃいました。時間はもう閉会時刻になろうとしていました。

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< 午後5:00~ >

いよいよ、閉会のときを迎えてしまいました。
全校が歌い終えたあとは、全員で 『瀬戸の浦波』(旧制神戸商業大学予科)を斉唱します。
いまの神戸大学では歌われていないようですが、しみじみとした いい歌です。もっと知られてほしいです。

閉会のご挨拶の後、萬歳三唱と、全員合唱 『琵琶湖周航の歌』(旧制第三高等学校)で締めくくりました。
舞台の上には、"人間ボート" が出現し、6番まで通しで歌う間、こぎつづけていました。 客席のわれわれも互いに肩を組み合い、左右に揺れ、波を体現しつつ唱和しました。

来年もまたお会いしましょう。そうお互いに誓い合いながら。(一次会 おわり。二次会編は割愛させてください。)

[宴のあと] 宴のあとの講堂です。寂寥感が漂っています。?(35.4KB)

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こうして、『第三回姫路寮歌祭』は終わりました。月並みですが感想を述べさせていただきますと、 やはり客席で見るのと舞台に出演するのとでは、全く感激が違いますね。 諸先輩方のお話を間近に拝聴することができたのも、大変ありがたいことでした。
今回、4月の初めになって突然参加を申し込んだ 20代の若造を快く受け入れてくださった皆様、大変お世話になりました。
ありがとうございました。

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