見たこともない母音

 

驚異の母音システム!

今回はいよいよ母音との組み合わせに移っていこうと思う。子音を表すアレフベートは一応すべて暗記した上で母音を考えていこう(よく覚えた!)。先に述べた通り、子音を表すアレフベートは合計31文字、その31文字それぞれに子音を表す記号「ニクダ(点の意)」を付して母音を表す。例えばλ(ダレット)という文字に「−(パタフ)」というニクダをつけると

 

λ                            

 「ガ」と読み、「∵(セゴール )」というニクダをつけると

λ
  「ゲ」と読む。

 


このように、母音が添付される。つまり、アレフベートとニクダによる組み合わせを一文字と認識するならば、ヘブライ語は日本のひらがなカタカナと同じく
一文字=一音節といえるのだ一文字でヘブライ語の母音記号は声の長短などの特徴を含むため、その数は子音ひとつにつき、母音は17種類もある。ひとつの母音“o”であっても表記の仕方は4種類もある。単純計算をしても31×17で527種類の文字が存在することになり、さらには書いても読まない文字、同じ母音記号でも2種類の違った読み方をする文字などその表記体系はかなり複雑である。しかし、実際の生活空間では、声の長短はほとんど区別されず記号の長短に関わらず、アクセントのつく語を長く読む傾向がある。しかも、イスラエルの書物は現在「ニクダ」をつけずにアレフベートのみで書かれている場合が多い。

 ともに「イスラエル」と読むが、左のニクダが無い方が一般的に使われる。

以下のロゴはイスラエルのある官公社のものである。アレフベート部分を見て欲しい。上記同様、母音記号が一切ないのがわかる。

つまり、彼らは経験と勘でこの文字を区別しているのである。英語のつづりからAEIOUの5文字を除いて読むようなものだ。Bgnnng of th wrldと書いてBeginning of the worldと読ませる。英語の速記文字のような感じの言語といっていいかもしれない。

参考文献『ヘブライ語入門』キリスト聖書塾編集部著.神道アキバ、阿部 望、那須雄二編集. キリスト聖書塾

ニクダに関して:母音記号の誕生は、7世紀頃、聖書ヘブライ語の発音を伝えるために考え出されました。それは9世紀頃に完成されたといわれ、現代ヘブライ語の母音体系はその頃のスペイン系ユダヤ人の発音を参照にしているといわれています。そのせいかどうか、発音体系はスペイン語と同じように、AEIOUの5音で構成されています。もちろん地方によって母音の発音の違いは方言として現れます。

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