(← ヘブライ語の「メレフ(王)」)
夏になると見かける新顔野菜、モロヘイヤ。
「エジプト原産の健康野菜」 という触れ込みでご存じの方も多いでしょう。
(新顔なのでそこらの図鑑に載っておらず、学名も種類もわかりません。すみません)
これも 「ヘブライ語」 なのでしょうか?実は、ヘブライ語ではありません。
エジプトの野菜ですから、アラビア語の方言だと思います。
名前の意味は、「王様の野菜」(または、「王様が食べる野菜」) だそうです。
なぜそれが 「ヘブライの仮庵」 に登場するのか? と申しますと、
名前にヘブライ語と共通の成分(「語根」)が含まれているからです。
ヘブライ語で王様を 「メレフ (melekh)」 といいます。(ページ先頭を参照)
「メレフ」 の語根は MLK の3文字で、「モロヘイヤ (MuLuKhiya)」 にも含まれています。
ここに注目すれば、「王様に関係ある言葉だな」 と推測できるわけです。
ヘブライ語とアラビア語はどちらもセム語族に属しており、親戚のような言語です。このセム語族では、母音より子音が重視され、単語の基本的な意味は3文字の子音で表されます。これが語根です。
例えば、SLM は 「平和」 を意味し、ヘブライ語「シャローム (ShaLoM)」、アラビア語「サラーム (SaLaM、定冠詞抜き)」 などはここから派生しています。ですから、例えばムスリム(イスラム教徒)の人が 「アルラー・アクバル! (Allah akbar!)」 と言えば、KBR(大きい、強大な) という語根に注目して、「アラーは偉大なり!」 という意味だ、とわかる訳です。
(※ ヘブライ語で「大きい、強大な」は カヴィール (Kavir) です。"旧約"聖書のエゼキエル書に登場する 「ケバル (Kevar) 川」 は、古代バビロニアの言葉で 「大きい(運河)」 を表しているそうです。なお、子音Bを表す文字ベートは、B, V 2種類の発音があります。)