ゲムスホルンをつくる  

 ゲムスホルンは中世からルネッサンスにかけて使われた動物の角を使った管楽器です。
閉管になっており、オカリナのような柔らかい音がします。歌口の構造もオカリナに似ています。
   
   
  ゲムスホルンという名は、ドイツ語でカモシカの角を意味するそうです。
しかし、デイヴィッド・マンロウの「中世・ルネッサンスの楽器」という本によると、
牛や山羊の角が使われたと書いてあります。
   
 私は、たまたまフリーマーケットで売りに出されていた水牛の角のような角と、画材店の棚に
 なぜか置いてあった牛の角を安く購入し持っていたのでそれを使うことにしました。 


本当だったら、もっとよく調べてから作ればよいのでしょうが、今回はいきあたりばったりで
作り始めてしまいました。ですから、このページを見てこれがゲムスホルンの本当の作り方だとは
思わないでください。 ブロックも木で作るのを途中であきらめ、石膏で作ってしまいましたが、
一作目のゲムス ホルンは、それでもけっこういい音で鳴ってくれます。 
ただ、一作目を作って、いくつか改善点が見つかっていますので、二作目の製作過程を 作りながら
紹介していこうと思います。  

 
  写真左は、初めて作ったゲムスホルンです。F管になっています。
ただし、歌口の構造を少し間違えたため、高音域が出にくくなって います。
二作目は、少し大きな角を使い、C管かD管を作ろうと しています。 


  本当のゲムスホルンは、木で歌口のブロックを作るのかもしれ
   ません。しかし、カエデの端材を削ってブロックを作ってはみま
   したが、どうも、すき間が出来てしまい、うまくいきません。
   
    リコーダーと違って、角の内部は微妙に曲がっていて、それに
   合わせてブロック材を削るのはとても難しく思いました。
   
    そこで、いいのか悪いのかわかりませんが、石膏でブロックを
   作ってみました。油土で角の内径を型取り、コピックとかいう
   型取り材で雌型を作り、石膏を流し込んで、ブロックを作って
   みました。出来たブロックはもちろんぴったり角に入りました。
   
 


  今日は歌口を作り始めました。小さなドリルで穴を2つあけ、小刀で
 切り崩してつなげ、平ヤスリが入るようになったら、ヤスリで長方形の
 窓になるよう削りました。斜めのエッジ部分を削り始めました。



 歌口を仕上げるのに苦労しました。石膏で作ったブロックに一応、ウィンドウェイを
作り、吹き口から吹いてみましたが、音が鳴りません。
 一番下の穴を直径5mm程で空けましたが、それでも鳴りません。最初、吹き口から
見て、エッジより下、つまり管の内側が見える状態で作りました。ウィンドウェイの
出口の高さは1mm弱です。普通ならこれで音が出るはずです。しかし出ませんでした。
 そこで、少し、エッジより上、つまりエッジの斜面が吹き口より見てほんの少し見える
ようにしました。ブロックではなく、角の本体の天井側をヤスリや平刀でけずるのです。
 そうすると、ウィンドウェイの高さが広くなってしまいますので、ブロック側に石膏を
少し塗って、ウィンドウェイの高さは変えないようにするのです。結構微妙な作業です。
 こういう試行錯誤をした結果、なんとか音が出るようになりました。



 どうも、気に入った音が出ないことと、音程が全体に低いので、ブロックをはずし
ブロックは作り直すことにしました。最初に使った石膏は、特級の焼き石膏でしたが
今度は、樹脂入り石膏でもブロックを作ってみました。
 樹脂入り石膏のほうが若干、硬質のようです。こちらを使うことにしました。
写真では右の二つが樹脂入り石膏です。
 
 最初に作ったゲムスホルンと同様に、指穴とは別に一番下に空気の抜ける穴をあけ
ようか迷いました。友人の須藤氏が持っているゲムスホルンはそうした穴が開いて
いないそうです。しかし、デビットマンロウの本には、そうした穴が開いていると
書いてあります。
 あたらしいブロックを入れ、指穴を全部ふさぐとほとんど音が出ないので、結局
一番下に空気抜きの穴をあけることにしました。
 上の写真の右端の小さな穴がそうです。
 ところが、開けていて驚いたのですが、写真のゲムスホルンの右端の穴まで、先端
から中身が詰っていたのです。しかたなく、斜めに開け直しました。



 石膏のブロックは、型取りをしてぴったりに作ったはずなのですが、すき間が
あきました。少しの空気もれでも音程や音色が変わるので、とりあえず油土で
すき間をつめています。
 これで、吹きながら順に指穴の大きさの調整をしました。
 すき間を油土でとめているだけなので、油土を取れば、ブロックは取り外す
ことができます。
 何回もブロックをはずしては、ウィンドウやウィンドウェイを削って調整を
しました。最初よりだいぶウィンドウを大きくしました。それで、音量も大きく
なったようです。




 音程が低めなので、a=415で作ろうかと思いましたが、それよりは、高め
 なので、結局、角筒の中に、石膏を流し込み、容積を小さくしてピッチをあげる
 ことにしました。そのために、空気抜きの穴を裏側の少し上に開け直しました。
裏の指穴を2つ開けてありますが、上の指穴は、開けるとDの音程になりましたが
下の方は開けてもD♯にしかなりませんでした。これより大きくあければもしかす
ると Eまで上げられるかもしれませんが、とてつもなく大きな穴になりそうなので
やめました。




 とっくに完成していたのですが、ずいぶんアップせずにほうっておきました。
完成したものの、フィンガリングを工夫すれば演奏できますが、調律が今一歩に
なってしまいました。調整加工ができないことはないのですが、音色が自分で
期待した程ではなかったため、その意欲が薄れてしまいました。ゲムスホルンを
持っている友人の話では、「ゲムスホルンよりはオカリナの方がずっといい音がする。」
と言っていました。もう1本作れば、よりいいものができるかもしれません。