スター・ウォーズ歌集

スター・ウォーズの音楽の中には歌やコーラスもありますが、なんとも面白いことに、歌はそのどれをとっても英語で歌われているものはありません。

スター・ウォーズの歌


ラプティ・ネック(Lapti Nek)
イウォーク・セレブレーション(Ewok Celebration)

どちらも「ジェダイの復讐」に登場する異色の歌です。

「ラプティ・ネック」はジャバの宮殿でマックス・レボ楽団(Max Rebo Band)が演奏する、すべてハット語のなんとも異様な面白い曲です。マックス・レボ楽団のメンバーは、リーダーでキーボード担当のマックス・レボ(Max Rebo)、管楽器担当のドルーピー・マックール(Droopy McCool)、そしてボーカル担当のミス・スヌーティことサイ・スヌートルス(Sy Snootles)の3人編成です。「新たなる希望」の酒場の楽団以来の新たなるエイリアン楽団ということで、「ジェダイの復讐」公開当時はかなり話題になったものですが、サイ・スヌートルズは苦労したわりにはよく動かず、ルーカスには不満が残ったようです。結局「ジェダイの復讐《特別篇》」ではCGIに置き換えられてしまい、歌も別の曲になってしまいました。ちょっと残念です。

「ラプティ・ネック」の歌詞は不明ですが、まず始めに英語の歌詞が書かれていたようで、撮影現場ではこれを流していたようです。以下はメイキング・ビデオの字幕からわかる部分です。英語の方はよく聞き取れませんが、確かに feet, move, work などの単語が聞こえてきます。これを字幕にした翻訳者は偉い!

太陽をうけ自分の足で歩け
その体を動かすんだ
さあ働け!
「イウォーク・セレブレーション」(イウォークのお祝い)の歌詞はイウォーク語で、こちらも「ラプティ・ネック」に劣らず異様で面白く、またなんとも可愛い歌です。これも「特別篇」ではごく普通のコーラスに置き換えられてしまい、とても残念です。当初3部作9話であった構想が2部作6話となり、「ジェダイの復讐」が全シリーズの最終話となったために、最後の締めくくりをイウォークのみでなく銀河全体に広げる必要があったといったところでしょうか。残念ながら歌詞は不明です。


ジェダイ・ロック(Jedi Rocks)

「ジェダイの復讐《特別篇》」で人員増強したマックス・レボ楽団の曲です。楽団員は3人から、総勢12名にまで大きくなり、歌手も歌姫サイ・スヌートルズに、男性ジョー・ヤウザ(Joh Yowza)が加わります。歌詞はもちろんハット語です。作曲はジョン・ウィリアムズではなく、ジェリー・ヘイ(Jerry Hey)という人です。


男声ボーカル ジョー・ヤウザ

歌詞の補足説明


奇麗に変身(?)ミス・スヌーティ

Jedi Rocks

Male: (Spoken)
Koo nee tang, na' na' na', ah lawah.
Koo nee tang!

Sy Snoodles:
Cha tung ee-ma chay-choo raun ta-nee-ee-choo

Background:
(Ee-ma chay-choo raun.)

Ko-nee nan-kee chong noy khan chay-chee-kum.
Chee ka koo-ja oo pa-pa chee-ka-nang kee hey

(Chee-ka nang kee hey.)

You bang ris-pa ka may wang pee-ya nay.
Yeeaa!

Male:
Oo-la-wang choo koo-chee-pa-tie tan-ga ris-pa ta ya lee oh.
Yo! Ahh! Yal-lie!

Sy Snoodles:
Ee-ma ta-ka-moo nan-kee say yal-lee oo ya see.

(Na-too pa.)

Chun-kee sal-la ma-na na-too pa.

(Zai ya la.)

Male:
Hay koo-ma zai ya la.

(Do koo chee.)

Sy Snoodles:
Hoy hat-chi doo-k...
Opps! Oh, ooh!


運命の闘い(Deul of the Fates)

「ファントム・メナス」で、クワイ=ガン、オビ=ワンとダース・モールが対決する場面の曲です。この切羽詰まったような曲は、とても重厚で荘厳な響きがあり、聴く者の精神を高揚させ、まさに「運命の闘い」そのものという他はないくらいの見事な傑作です。でも日本人には「コラーッ! またぁー(こんなことして)!」と叱られているみたいで、ちょっと面白いところもあったりします。この印象的なコーラスは実はサンスクリット語なのだそうです。

音楽担当のジョン・ウィリアムズは「樹々の闘い」(The Battle of the Trees)という古代ケルト語の文書(の英訳)を見つけます。これは、木々に生命が宿って戦士となり、闘いを繰り広げ、闘いの後、ドルイド僧(古代ケルトの呪術師)が再び木の姿に戻す、というちょっとおどろおどろしい内容のものです。この中に以下のような文があり、ジョン・ウィリアムズはこれに目を付けます。

Under the tangue root a fight most dread,
which another rages behind in the head.
(根元に恐るべき闘いあり、
 頭(こうべ)に隠れさらなる怒りあり。)
ジョン・ウィリアムズは文章をいくつかの古代言語に翻訳するソフトウェアを持っており、上の文を訳させたそうです。ケルト語では求める音が得られず、ギリシア語やラテン語は英語に近すぎました。そして最終的にサンスクリット語が選ばれて、以下の文章を翻訳させたそうです。
Dreaded fight that's here or lingering in the head.
(恐るべき闘いはここに、あるいは頭の中に残り続ける。)
ジョン・ウィリアムズにサンスクリット語の知識があるようにも思えませんし、翻訳ソフトの訳ということなので、単純な逐語訳や誤訳も大いにあり得ます。また、楽譜を見ると語の分節の位置もおかしく、実際に歌われる時も英語式に読まれていますので、厳密には片言のサンスクリット語もどきというべきでしょう。もちろん、この歌詞の主旨は正確なサンスクリット文を求めるものではなく、あくまでも雰囲気を盛り上げるための「音」を創ることであり、その点では大成功でしょう。

歌詞の補足説明

Duel of the Fates

Kor-ah, Mah-tah.
Kor-ah, Rah-tah-mah.

Kor-ah, Rah-tah-mah.
Yood-hah, Kor-ah.
Kor-ah, Syahd-ho.
Rah-tah-mah, Daan-yah.
Kor-ah, Kee-lah, Daan-yah.
Nyo-hah, Kee-lah, Kor-ah, Rat-tah-mah.
Syahd-ho, Kee-lah, Kor-ah, Rah-tah-mah.
Kor-ah, Daan-yah.
Kor-ah, Rat-tah-mah.

Kor-ah, Daan-yah.
Kor-ah, Rah-tah-mah.
Nyo-hah, Kee-lah, Kor-ah, Rah-tah-mah.
Syahd-ho, Kee-lah, Daan-yah, Rah-tah-mah.

Kor-ah, Mah-tah.
Kor-ah, Rah-tah-mah.

Kor-ah, Daan-yah.
Kor-ah, Rah-tah-mah.
Nyo-hah, Kee-lah, Kor-ah, Rah-tah-mah.
Syahd-ho, Kee-lah, Daan-yah, Rah-tah-mah.


クワイ=ガンとの別れ(Qui-Gon's Funeral)

「ファントム・メナス」で、クワイ=ガンが火葬にされる場面に流れる曲です。おそらく「運命の闘い」と同じ手法で作詞されたものと思われます。余談ですが、この曲名の原題は「クワイ=ガンの葬儀」という意味です。映画公開に先だって、かなり早くから発売されたCDにはこの曲名がバッチリと書かれてありました。このCDのパッケージを見れば、映画を観る前からクワイ=ガンは死ぬということがわかってしまったのです。なんとも罪な話です。一方、日本版CDでは「クワイ=ガンとの別れ」となっており、ネタばらしにならず、しかも原題を生かして誤訳にもならないように非常にうまく意訳されています。

Qui-Gon's Funeral

Ma-dhu-rah sweh-pna, go rah-do-mah sweh-pna.
Ma-dhu-rah sweh-pna, go rah-do-mah sweh-pna,
moor-it-tioo, ma-dhu-rah sweh-pna.


参考文献


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Ver.1 1999.12.12
フォースのともにあらんことを
ベン・アンティリーズ