強調の表現
- 動詞の強調には、接尾辞-qu'を使います。
tIn Dujvam:この船は大きい。
tInqu' Dujvam:この船はとても大きい。
(tIn:大きい、Duj-vam:この船)
- -qu'は、否定に関する接尾辞と同様に「浮動辞」なので、語中の現われる場所は意味によって異なります。-qu'は強調する対象の直後に現われます。
ja'vIpbe':言うことを恐れない。
ja'qu'vIpbe':(見ることや聞くことではなく)言うことをこそ恐れない。
ja'vIpqu'be':言うことを恐れてなどない。
ja'vIpbe'qu':言うことを全く恐れない。
(ja':言う、-vIp:〜するのを恐れる、-be':〜ない)
- 普通は、「とても」「非常に」等と訳せばよいのですが、動詞内ならどこでも使うことが出来ますので、単純に「とても」と訳せない場合ももちろんあります。
jIHaDqu':私は勉強するのだ!
(jI-:私は、HaD:勉強する)
- なかなか日本語にしにくい場合も多いので、いちいち訳そうとはせずに、クリンゴン語のまま理解するのがよいでしょう。
- 命令に-qu'を付ければ、強い口調になります。
yIghoS:行け!
yIghoSqu':行け!
(ghoS:行く、向かう)
- 上の二つの例文を訳し分けるのは難しいですが、2番目の方は命令の意味が強められています。始めにyIghoSと言ったが相手が言うことをきかない場合に「行けと言ってるんだ」という感じでyIghoSqu'が使われたりします。
- 名詞の強調には第5類接尾辞-'e'を使います。
ghargh Sop HoD:船長はガーグを食べる。
ghargh'e' Sop HoD:船長は他でもないガーグをこそ食べる。
ghargh Sop HoD'e':他でもない船長こそがガーグを食べる。
(ghargh:ガーグ、Sop:食べる、HoD:船長)
- 主語や目的語を接尾辞だけでなく代名詞も使って表わすことも、強調表現になります。
tlhIngan Hol vIghoj:私はクリンゴン語を学ぶ。
tlhIngan Hol vIghoj jIH:私こそがクリンゴン語を学ぶ。
(tlhIngan Hol:クリンゴン語、vI-ghoj:私は〜を学ぶ)
- この場合、更に-'e'を付けることも可能です。
tlhIngan Hol vIghoj jIH'e'
:他でもないまさに私こそがクリンゴン語を学ぶ。
- 目的語に-'e'が付いた場合、強調のために語順を変えることが可能です。
| 基本の語順 | 説明語−目的語−述語−主語 |
| 目的語が強調された場合 | 目的語-'e'−説明語−述語−主語 |
DaH ghargh yISop:今ガーグを食べろ。
DaH ghargh'e' yISop:今ガーグを食べろ。
ghargh'e' DaH yISop:ガーグだ!今食べろ。
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Ver.1 1996.5.3
Ver.2 1998.5.10- ghargh'e' Sop HoDと
ghargh Sop HoD'e'の訳文が逆であったのを訂正。
コウブチ