<平成9年3月9日>

 時の流れは早いもので、廃止から6年の歳月が経とうとしています。片上鉄道の軌道跡は徐々にサイクリングロードへと姿を変え、第二の人生を歩み始めていました。


 片上駅の貨物ヤード跡地は駐車場として利用されており、その片隅にはDD13−552がただ1両、ぽつんと鎮座していました。車体はかなり腐食が進んでおり、一刻も早く整備を施してほしいものです。



 譲渡先が決定していた車両は全て搬出され、嫁ぎ先が見つからなかったキハ802、トキ15000、二軸無蓋車2両は、残念ながらこの場所で解体されてしまったようです。保存車両が置かれていたレールも既に剥がされていますが、まだ貨物ヤードの面影はよくとどめています。


 硫化鉄鋼輸送の遺構である貯鉱場は、建物だけが現在も利用されています。

 奥に見える船積み用の鉱石輸送装置には、片上鉄道の前身である、藤田興業の名盤が残っていました。
 「藤田興業株式会社 鉱石輸送装置 昭和31年改造 株式会社播磨造船所」


 日生運輸バスの事務所として使用されていた片上駅の駅舎は、残念ながら既に取り壊されていました。

 また、機関庫などの施設も解体されてしまい、片上駅はコンクリートのプラッとホームと、木造倉庫に面影を残すのみとなりました。

 片上駅から約1,5kmの区間では、バラストが軌道脇に押し退けられるなど、若干の整備がされています。

 片上−清水間にある峠トンネル付近は、深く雑草に覆われてしまいました。雑木林の向こうに、トンネルがぽっかりと口を開けています。

 片上鉄道の沿線市町では、廃線跡を利用したサイクリングロードの敷設が計画されていますが、中山〜和気の一部区間では、既に部分開通していました。鉄橋なども鉄道のものが、そのまま利用されています。

 和気駅の駅務室は撤去されました。コンクリートのホームが、雑草に覆われながらひっそりと佇んでいます。

 河本−備前矢田間に設置されている「竜ヶ鼻陸閘門」は、分厚い鉄扉がぴったりと閉ざされていました。サイクリングロード敷設時には、この扉がどのように扱われるのか、興味深いところです。

 佐伯町内の、備前矢田駅跡から井ノ口まで、約1Kmの区間では、サイクリングロードが開通を目前に控えていました。

 備前矢田駅は、駅舎や待合所などは既に解体されているものの、曲線を描いたホームや貨物倉庫が現在も残り、駅らしい雰囲気を留めています。

 備前矢田駅の西側にある佐伯町役場には、ホハフ3001が保存されており、現在は佐伯町青年団の事務局「佐伯町青年館」として利用されています。

 設置場所は役場裏手の駐車場で、車両1両分だけ敷かれたレールの上に状態良く固定してあります。外観は現役当時の姿をよく留めていますが、電気や水道、エアコンなどの配管工事が施されていました。

 車内は、クロスシートを左右1組ずつ残した以外は全て撤去され、会議用の長机や椅子、ロッカーなどが置かれています。また2カ所ある車掌室は、水洗トイレと給湯室に改造されました。


 吉ヶ原駅の構内には、片上の貨物ヤードに留置されていた車両、5両が搬入されてきました。貨車の車体はかなり荒れており、錆が回っているばかりか、無蓋車の木造部分は腐りかけている状態です。今後の整備によって、どの程度まで修復できるのか心配です。

 保存車両は、1番線の柵原寄りに気動車が1両と、2番線ホームに、連結された状態で貨車が4両留置されています。片上側から、ワフ102、トラ814、トム519、トラ840、キハ312です。


 キハ312は、雨風から大切な車体を守るため、ブルーシートでしっかりと包まれています。外観からは、キハ312であることを確認することすら困難な状態です。


 吉ヶ原の駅舎は、大規模な改修工事が施工されている最中でした。工事は仕上げに入っているようで、駅舎は見違えるほど美しく化粧直しされていました。

 完成後はどのような形で利用されるのか分かりませんが、殆どの駅舎が解体されてしまった中、このように整備して保存されることは、大変喜ばしいことです。




 「廃線跡リポート」 INDEXへ戻る

 TOPページへ戻る