TOP > 21世紀、V35スカで行こう。

v35スカイライン愛好家

なぜ皆さん、そんなにV35を嫌うの?

ブーイングの嵐
 2001年初夏。新型スカイライン、V35型が発売と同時にゴーン体制の新生ニッサンを大々的にアピールするかのようにテレビCFや雑誌広告は派手に露出し、東京渋谷の街中にはスカイライン横断幕が掲げられ、凄まじい数のPRビデオが無償配付され、記者発表には多くの報道陣が詰め掛けた。その一連の様子はテレビのニュースにも取り上げられ、1つの社会現象を巻き起こした(ように思う)。
 しかし全国の自動車好きから大ブーイングと蔑みのコトバが飛び交ったのは皆さんの記憶にも新しいかと。そう、いわゆる「あんなのスカイラインじゃねーよ」大合唱。「もともとスカイラインとして開発されていない車にスカイラインの名前を付けたダケだ」自動車評論家がそう追い討ちをかけた。日産は一貫して「これこそ21世紀のスカイライン」「勿論、最初からスカイラインとして開発した」と主張。では、反対派はどこがどうスカイラインじゃ無いって言っているのか?大別すると、「カタチがスカイラインじゃない」「直列エンジンじゃない」「GT-Rが無い」の3つに集約されると言えるんじゃ無かろうか。じゃ、あらためて1つ1つ見て行こうじゃない。

 

デザイン・アイデンティティの放棄
 スカイラインがスカイラインたるデザインってのは良くも悪くも先代R34型に集約されている。平べったくてカクカクしてて丸型テールで。成る程、実にレトロでカッコ悪いカタチ・・・それこそがスカイラインの醍醐味か。
 V35はどうだろう?うむ。昨今のデザイントレンドを踏んだまさに「真っ当な」カタチ。オーバーハングは短く空気抵抗の少ない流麗なボディとボリューム感があって十分なスペースが確保されたキャビン。実にマジメで実に理に適ってるじゃないか。かなり「厚ぼったい」印象は拭い蹴れないものの、悪くはない。じゃあみんなナニが気に食わないの?おお、そうか、丸型テールが廃止されたことか! コレはね、正直、大失敗だと思うよ。もともとスカとして開発してたのかそうじゃ無いのかは知らんケド、スカのデザイン・アイデンティティを完全に放棄しちゃってるもの。これは酷い。
 
 中村史郎デザイン本部長は雑誌のインタヴューで「丸いテールランプがスカイラインのすべてであるとするならば、守らなくてはいけないんだろうけど、もう少しフィロソフィというか、そういったところまで戻って考えていただきたいんです」(CAR GRAPHIC 2001.8_P82)と発言している。フィロソフィ、つまり「哲学」でスカを考えた時、日産は丸テールは排してもOKだ、と考えたと言うんですな。
 これはメーカーの大きな勘違いに他ならない。だってスカイラインというブラインドのアイデンティティは日産の中にあるんじゃなくて、あくまでファンやユーザーの中にあるんだもの。丸テールがスカイラインと思い込んでいるのは我々の方なんだからね。日産はそれを「丸テールのアイデンティティは自分達が有している。だからいつヤメようとメーカーの勝手だ」と思っているのかも知れないけど勘違いも程々にしろと言いたいよね。1BOXカーに「フェアレディZ」なんて名前付けたら誰だって怒るのは「Z=スポーツカー」の不文律が浸透してるから。それを破ったらブランド自体が崩壊しちゃうってコトに気付かなきゃイケナイ。って言うかフツーは気付く。でも日産は「やっちゃった」んだよな。
 そういう意味で丸テールというアイデンティティを失った意味の大きさ、カタチ的には「スカイラインじゃねーよ」にV35マンセー派な私も一票を投じよう。

 

直列エンジン、サヨナラ。
 次。R32世代行こうには特に強い「直6じゃないのはスカイラインじゃ無い」説。うーん、どうだろ。確かにRB26神話はあるにせよ、直列エンジン=スカイラインじゃあ〜無いハズ。有名な話しだが、R32開発段階でV6も検討されていた。もっと言うなら、あの1980年代後半にVQエンジンが手にあったならR32はVQを搭載していた可能性が高くなっていたんだから。
 御存じの方も多いように、直列よりV型、その流れはメルセデスが代表格。よりコンパクトなV6メリットは数多くあれど、メルセデスが重視したのは、ぶっちゃけコストダウンでしょ。V6なら理想バンク60度が定石の世界でバンク角90度を「わざわざ採用」したのはV8とのコンポーネント共通化でスケールメリットを出してコストダウンをはかってるのは、もはやジョーシキ。スカイラインに話しを戻すなら、重くてデカくて汎用性の無い直6よりも、あらゆる面で勝っているV6を選ぶのは当然の選択だし、その最たるメリットこそ「FMパッケージ」と名付けられたフロント・ミドシップなワケで、直6を捨てた以上のメリットは十分に享受できていると思うんだけど、それでも直6が良いんでしょうか?
 直6と言えばBMWだけど、何かとスカイラインと比較対象となる良きライバルBMW。あっちは直6でも、ちゃんと重量配分もうまくこなしてるし、直6がデメリットのような言い方をするのは間違いだ!って指摘もあると思う。思うんだけどBMWは直6で素晴らしい成果を出すために相応以上のコストを購入者に強いていることを忘れてはイケナイ。もっとブッちゃけて言えば「高くつく」んだよ。
 直6絶対命な皆さん、もしもV35が「直6で出ましたけれども重量配分とか苦労して500万円にもなっちゃいました」とか言ったら、これまた「そんなのスカイラインじゃない!」って言うんでしょ?(笑)。いいじゃん。V6で行くでしょ、フツー。

 

GT-Rという足枷。
 次。GT-Rについて。当初、V35は4ドアのみだったんでR32世代からは特に反発を買ったようだけど、なによりもGT-Rが(現時点でも)無いことで「あんなのスカじゃない」と思っている方も少なく無いようで。どうもGT-Rっていうカリスマ君があまりにも存在感大きいから、なかには「GT-R以外はスカにあらず!」的な香具師も居るんだよね(そーゆーのに限ってS-MXとかに乗ってたりする)。
 ワタクシ的にはGT-Rの存在こそ「足枷」だと思ってる。イメージリーダーでは無く、むしろマイナス要因であると。Rじゃ無ければスカじゃない!みたいな、Rが存在する故に非Rスカイラインが影になってしまう感が否めないじゃないか。Rを取り除いてみたら、なんだ、R32GTS-tのような生っ粋のFRターボがあるじゃないか的な感じ。
 そーゆー意味で「R不在」はスカイラインにとってプラスな方向にシフトしていく、そんな気がするんですけどね。絶対パワーじゃない、ハンドリング・マシンとしての純粋なFRカー。それこそスカイラインの醍醐味じゃないかと。


知的な情熱、志しの高さ、V35。

XVLこそ次期スカイライン
 −−−−この車はそもそもスカイラインとして開発された車じゃない。次期ミドルクラスFR車の叩き台であり、つまりローレルやセフィーロの後継車種として作られたモノ。つまり1999年の第33回東京モーターショーに参考出展したXVLであり、それにスカイラインという名前を付けたダケだ−−−
 これが旧来スカイラインファン(スカイライン右翼とでも言いましょうか)、そして自動車評論家センセイたちの意見だよね。スカイラインじゃないのに、スカイラインのブランドネームが欲しくて名前を持ってきたダケだ、だから伝統もアイデンティティも継承されていないし、こんな車はスカイラインじゃない、俺は認めない、そう主張する。自動車評論家のセンセイ方はいまでも雑誌にそう書きなぐっている。
 それに対し、当の日産側は広報は勿論、開発担当者までが口を揃えて「あれは最初からスカイラインとして作った車です」と断言する。両者の隔たりは何だ??作っている本人が、あれは最初からスカだって言っても否定する根拠って何処にあるんだ?そしてその根拠は正論なのだろうか?
 そもそもXVLの前身として、日産内で次期ミドルクラスFR車の試行が始まったのは随分前である、と雑誌などのインタビューに載っている。それら先行開発で代表的なのが98年にR32GT-RにV6エンジンを搭載したFMパッケージのプロトタイプで、雑誌の記事で目にした人も多いハズ。そして99年のXVLと繋がるワケだ。
 で、考えてみると、そもそもローレルやステージアさらには初代セフィーロってスカイラインから派生した車種。RBエンジンを搭載し、シャシーなんてスカイラインそのまんまと言えるのは勿論、日産の中で「ミドルクラスFR車」って言ったらこれら車種しか無いのが誰にだって解るハズ。XVLが「次期ミドルクラスFR車」の叩き台として試作されたなら、イコールそれはスカイラインを試作していたことに他成らないと思うワタシは間違いなんでしょうか?「いや、XVLは次期ローレルだ」としましょう。じゃあローレルって何さ?しょせんスカイラインの派生車種じゃん。だったら次期ローレルも次期スカイラインもイコールってコトには成らないんでしょうかねぇ?
  

膨大な残業時間と休日出勤の塊
 スカイラインの魅力って、総じて言えば類い稀なる開発者の「情熱」でしょ。サラリーマン仕事では絶対に出来ない、高い志しや、匠の技、こだわり・・・そうしたスカイラインに携わる人々の「情熱」が魅力的な車に仕立て上げているのは歴代に一貫した共通項でしょ。いわば膨大な残業時間と休日出勤の塊ですよ、スカイラインって商品は。その情熱、V35にも感じません?ワタシは感じます。だからこれはスカイラインなんですよ、間違いなく。この背負っているモノの重みはまさにスカイライン。
 


21世紀、切な系スポーツセダン。

切な系スポーツセダン
 切ないですよ、V35オーナーは。だってスカイライン買ったよー、って言うとまっ先に「え?R34?」って聞かれて、違うって答えたら「R33?それとも32?」って聞かれる(笑)。んで、V35ダヨというと「なんでまた35なんか」と言われる。じゃあオマエは35の何を知ってるんだ!と言う叫びは腹の中にしまっておいて、ここはクールに軽く流しましょう。ああ、35だけど何か?ってね。
 と、まぁ、のっけから切ないんですわ。うん、切ない。でもね、その切なさがイイんですわ(笑)。いやね、例えばRX-8とか買うじゃない。アレって見た目にも分かりやすくて、車自体なんてもっともっと分かりやすく出来てるじゃないですか。んで、社会的にも「ああ、新しいスポーツカーなのね。速そうだね、カッコ良いね」って分かりやすいじゃん。ところがV35スカは「スカイライン」というネーミングに関する議論を差し引いても「分かりにくい」でしょ。「高級車なの?木目じゃ無いジャン」とか「スポーティーなの?随分とモッサリした形だね」とか、「なんかアザラシのタマちゃんみたいな形してない?」とかとか。ああ切ない切ない。
 でもね、それらネガティブ評論に1つ1つ理詰めで「あー、そうねぇー、でも実はこのボンネットのアーチはねcd値0.27を弾き出すマジックが潜んでいてね」と反論できるだけの理論(いや、哲学とでも言いましょうか)が集積されているんですよね、このクルマには。それを雄弁に語っても良いし、ウイスパーヴォイスで遠い目をしながら静かに呟いても良いし、そっと自分の胸の内にしまっておいても良い。まぁ、そんな感じでオーナー自らが十分に納得できるような(悦に浸れるような)エレメントが濃縮されてるんですよ、このV35ってヤツは。だから分かりにくいし、そして切ないけど魅力的なの。

 

国内最高峰の高性能
 V35はその名前に「スカイライン」って付いてしまったが為に随分と正当な評価がされていないって思うんですよね。いや、確かに脇の甘さはあるのカモしれないけれど、他車なら許されたカモ知れないようなコトも重箱の隅を突っ突くようにアレコレ言われてるじゃん。ね、高名な自動車評論家のセンセイがたさ!
 まぁ、ソンなコンなで何かと「雑音」の多い車ですが、現時点において純粋にセダンとして国内最高峰の性能にあることは紛れも無い事実。国産車でV35と並ぶ運動性能を有したセダンが他にありますか?ないでしょ?。さらに言うならスポーツカーなど異車種を含めてみても、V35の上にいるのはNSXだとかフェアレディZくらいでしょ?いや、ホントにさ(笑)。
 あ、信じてないでしょ?V35オーナーなら解ってもらえるハズ。もしかしたら勘違いなのカモしれないケド、そんな勘違いもしちゃうような良いクルマなんですよね、V35は。
 


V35スカイラインでマターリ逝きましょうや。



作成:2003年6月