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はじめに

 一時期、iPodエコノミーなる言葉まで登場したiPodを巡る携帯オーディオ市場の活性化は、各社がしのぎを削って商品開発を進め、個性豊かな商品を投入する等、ワタシたちユーザーには商品選別の選択肢が大幅に増えて嬉しい限り。
 そんな中、意欲的に高品質なヘッドホンをリリースし続けるブランドとしてオーディオテクニカは世界中の多くのファンから支持を支持を集めています。そしてワタシもそんな”オーテクファン”な一人(笑)。そんなオーディオテクニカが07年11月にリリースしたミドルクラス(=そうねぇ〜大体5,000円前後くらいの、ちょっとコダワリはじめたヒト向けな)ヘッドホン(本来はイヤーホンとカテゴライズすべきでしょうが便宜上、ヘッドホンで統一して記述します)、ATH-CKM50をユーザーのひとりとして(生意気にも)レビューさせていただきます。
 

名機、ATH-CK5
 ・・・と、ATH-CKM50の前に、同社のカナル型ヘッドホンを語る際に、ど〜しても避けては通れないATH-CK5について少しご紹介。
 ATH-CK5とは、05年5月にリリースされた同社初のカナル型ヘッドホン(オーテクのカナル型ゆえに通称”オナル”とか一部で呼ばれていたっけ)。当時、SHURE社のEシリーズなんていう従来まで一部のスタジオ現場などで限られたプロにしか使われることの無かった高級プロ仕様モデル(エントリーモデルでも1万円程、トップモデルは3万円以上するんだぜ)がiPodブームで一般にもバカ売れしたモンだからカナル型(耳栓型)ヘッドホンが俄然注目を集めた頃だった。
 オーディオテクニカはATH-CK5を定価3,675円でリリース。実売は2,500円前後。まぁ、安価なエントリーモデルだったワケだけど、このATH-CK5が凄い実力の持ち主であることが2chで評判となった辺りから状況が大きく変わってきた。
 ATH-CK5は買って来たそのままの状態でも値段以上の音質が楽しめるお得なモデルだったのだけど、2chなどネットで話題となった”チョットした改造”(=イヤーパッドをSONYのEXシリーズ用として500円弱で売られてるのと交換する&ヘッドホン開口部ちかくにある針であけたような小さな穴をセロハンテープで塞ぐ、等)をするダケでトンでも無く性能がアップすることが分かり、多くのファンを獲得。まさに”神機”でした。実際、ワタシもATH-CK5を約3年間毎日のように愛用し続けても大きな不満は出ませんでしたね。

 しか〜し、そんなATH-CK5も07年6月で販売終了。後継モデルとしてATH-CK51とATH-CK52がリリースされます(ちなみにATH-CK51も52も基本は同じでコード長が違うのみ)。当然、2chをはじめとしたネット各所でもATH-CK51への期待が高まりました。
 ・・・ところが・・・ATH-CK5の進化版であるハズのATH-CK51が箸にも棒にも掛からないダメダメ改悪品だった。いったいオーテクはATH-CK5がどうして支持されたのか理解してるのか問いつめたくなるような改悪だった。中〜低域の音がまるで鳴らず、且つ高域はシャカシャカと耳障りな音を発するダケ。2chをはじめネット上でユーザーらが様々な改造を試みるも、まるでダメ。ワタシ自身、あらゆる手を尽くしましたがATH-CK51はガラクタに過ぎませんデシタ。orz

 さて、ATH-CK5ユーザーは困り果てる。もう販売終了してしまって入手できないため、ATH-CK5が故障した際に代替となるヘッドホンが見つからない・・・いや、正確に言えば高価なハイスペックモデルを買えばATH-CK5を遥かに超える音質を手に入れることも可能でしょう。しかし、ATH-CK5の魅力は「安価なのに音質が良い」ことであり、なによりもATH-CK5(を各自がチョット手ぇ加えて改造したモデル)で実現した豊かな低音と力強い中音そして耳障りで無いキレイな高音、つまりATH-CK5でオーテクが実現した”音色”に皆が惚れ込んでいたワケですよね。ATH-CK5より高音質なヘッドホンは(相応の額さえ払えば)山ほどあるけど、そうじゃぁ無いんだ!あの音色が好きなんだ!って。

 そんなATH-CK5ユーザーに、ようやく朗報が訪れたのが07年11月にリリースされた「ATH-CKM50」(ようやくATH-CKM50の登場です。相変わらず前置き長くてスミマセン)。ATH-CK5の約2倍という価格帯から直接にはATH-CK5後継では無いものの、ATH-CK5にあったあの音色が大幅にグレードアップして帰ってきた!と感じられる完成度になっています。
 

ATH-CKM50はどうなのよ?
 ATH-CKM50は定価6,300円(実売5,000円弱)。価格帯から言えばいわゆる”ミドルクラス”にあたる中級機。iPodを買えば標準でイヤホンが付いてくるのに、5,000円以上の追加コストを容認してまで買う人ってのは、やっぱそれなりに音にコダワリのある人が多い。だから各社ミドルクラスの商品は、かなり気合い入れて作られてる。例えばソニーのMDR-EX85SL(定価6,195円/実売5,000円弱)はATH-CKM50にとって最たるライバルなのだけど、これがまた良い音を出すんだわ〜♪ヨドバシの視聴コーナーでiPod繋いで聴いてみたのだけど、本当に素直な音が出る。どんなジャンルの曲もシッカリ良い音で奏でてくれ心地よい。思わずMDR-EX85SLを買おうかと思ったもの。

 そして対するATH-CKM50(本当に前置き長くてゴメンナサイね)は、極めてメリハリのある音を奏でてくれる。ATH-CKM50とMDR-EX85SLでは、まったくアプローチが違っていて、解像度の高い高音と、芯の通った中音、広がりのある深い低音という3つの音それぞれが心地よく融合されていてメリハリのある音を奏でて曲の輪郭をシッカリ伝えてくれる。

 もう少し細かくいうと、まずオーテク共通の音色として挙げられる高音の伸びは勿論だけど、ATH-CKM50では何よりも解像度が高い。インチキオーディオ評論家みたいな言い回しになって恐縮だけど、砂時計の砂のような目の細かい音がパラパラと降り注ぐ感じ。しかもその一粒一粒の輪郭をハッキリと追える。なのに耳障りじゃ無いし、音としての立体感もある。単に解像度が高いダケじゃなくて、そーゆー”奥行き”みたいな空気感を感じられるんだな。

 次に低音。ATH-CKM50最大の美点は、この低音の広がりと厚みだとワタシは考えます。名機ATH-CK5の時は吊るしの状態じゃぁ低音が全然出なかったから2chなどでは皆が工夫して小改造を行ってATH-CK5が本来有していた低音を引き出して楽しんでいた。でも、ATH-CKM50ではそうした小改造など全く不要に、はじめから心地よい低音が十分な厚みで提供される。ATH-CK5の改造版よりも低音は出ているって言えばATH-CK5ユーザーは興味を示すハズ。しかもATH-CKM50では低音の解像度も高い。低音部分ってヘタすると厚みが出るダケで全体がモワーって粗雑な塊になってしまっているヘッドホンがあるけれど、ATH-CKM50では低音をちゃんと”奏でて”くれる。これは心地よいよ。高音も低音も、それぞれ”音の分離性が良い”って言えばいいのか良くワカランけど、それぞれがチャンと自分の持つ音を表現してくれててカブって音色が潰れてしまうようなケースが感じられない。

 じゃあ中音はどうかっていうと、コレもちゃんと出てる。・・・が、高音と低音部分の美点が目立つのに比較すると中音はチョイと大人し気味カモ。別にネガティブな意味は無いのですが、高音と低音の音の良さについつい気が行きがちでぇ(苦笑)。高音や低音同様に中音の解像度も高いです。
 ナンて言えば良いんだろ、いわゆる高音〜中音〜低音で各々がチャンと良い仕事をこなしていて、それが絶妙なバランス感覚でコンテクストを持った繋がりになってるから、音色として破綻してないの。そんななかでも高音と低音は特に素晴らしい、そんな感じでしょうかね。

 全体的に奏でる音は上品。だからワタシはライブ音源を好んで聴いてます。上質に録音されたライブ音源で威力を発揮する、そんなヘッドホンだと感じております。


遮音性は・・・イマイチ。
 地下鉄通勤なワタシにとって遮音性は重要項目。カナル型(耳栓型)に拘るのも偏に地下鉄の喧しい走行音と車内アナウンスを聞きたくないから。せっかく繊細な音を奏でられるのに、騒音でかき消されたら元も子もありませんからねぇ。
 で、ATH-CKM50を早速使ってみると・・・うーむ。遮音性は低い(悪い)。かなり騒音で折角の音色が掻き消されてしまっている・・・。誤解の無いように言うと、標準的なヘッドホンと同程度の遮音性ってことです。つまり、ATH-CKM50だからって遮音性に関して秀でたものがあるか?っていうとそうじゃ無いよ、と言うことです。

 オーテクはこのATH-CKM50をベースにノイズキャンセリング機能を搭載したATH-ANC3ってのもリリースしてます。オープン価格で実売1万円弱。・・・でもノイズキャンセリング付きを選ばなかったのは、外部電池部分がかさ張ったりするのがイヤだったから。電池の交換やら、取り回しがどうにも億劫でノイズキャンセリングはまだ積極的に使いたくなかったんですよねぇ。あと、地下鉄の車掌アナウンスが大嫌いで(だって毎朝毎朝同じ文面を聞かされるんだぜ)、ノイズキャンセリングだと人の声の帯域はキャンセルされないから、走行音は消えても車掌アナウンスはほぼそのまま聞こえてしまうことになるのがイヤだったんですよねぇ。

 
じゃあ、改造しよう!
 さて、どうしたものか。ATH-CKM50標準の低い遮音性だと地下鉄通勤には不向き。かと言ってノイズキャンセリングなATH-ANC3じゃワタシの要望を満たせない・・・と、フト思い出したことが。前に使っていたATH-CK5ではイヤーパッド近くの小さな穴を塞ぐと低音が豊かになったダケでなく、遮音性と音漏れが大幅に改善された。構造が似ているATH-CKM50も同じ効果が得られるのでは!!??と。

 さっそくATH-CKM50のイヤーパッド近くの小さな穴をテープで塞いで見ると・・・驚く程に遮音性が改善された。っていうか、周囲の音が全然聞こえない(苦笑)。フツーに音楽を聴いてると車掌アナウンスが聞こえないので、今どの駅に居るか分からないくらい。だから、この状態で街中を歩いてると後ろから車が近づいても、まず分かりませんなぁ。これは危険だから万人にはオススメできませんが、ワタシのように地下鉄通勤時に聴くのがメインで、尚且つ可能な限り周囲の音を根こそぎ消したい!と思っている人には、テープでの穴塞ぎ改造はオススメします(ただしあくまで自己責任でどうぞ)。

 ちなみにテープでの穴塞ぎ改造によって生じるその他のデメリットとしては低音が増えすぎること。以前のATH-CK5では、そもそも低音が足りなかったから穴塞ぎ改造でちょうど良い具合に低音がでるようになった。でも、もともと低音がシッカリしたATH-CKM50に穴塞ぎ改造を行うと低音が強調されすぎて、明らかに不自然になっちゃう。
 不自然なくらいでも低音を重視したい!って人にはオススメできます・・・ちなみにワタシ、オーディオは”BOSE派”という根っからの低音重視派だったりしますんで、モコモコ云うくらいに過剰な低音が大好きなので問題なし(苦笑)。いや、むしろ好都合。

 かくしてATH-CKM50はワタシ好みに仕上がった。( ・`ω・´)b もうオマエしか愛せない状態(笑)。

 
迫力のMDR-EX90SL、繊細なATH-CKM50
 ATH-CKM50のようなカナル型(耳栓型)では耳の奥まで届き、そこで音を発するため外部の騒音の干渉を受けにくくダイレクトに良い音が届く。ただし、その反面、耳に挿入する形状の関係からヘッドホン自体を小さく作る必要があり、つまりはドライバーユニットが小さくて迫力ある音が望めない、というジレンマがあったらしい。
 このジレンマを”工夫”で乗り越えたのがソニーのMDR-EX90SL。ドライバーユニットの大きさを確保しつつ、耳に挿入されるパイプ部分を音が伝うような形状とすることでカナル型でも迫力ある音と豊かな低音が楽しめるようになった。さすがソニー。
 ちなみにMDR-EX90SLのドライバーユニットは直径13.5mm。これに対し、ATH-CK5では11.5mmと、その差は歴然とあった。

 ATH-CKM50ではソニーのMDR-EX90SL同様の形状とすることで12.5mmを達成。うん、ソニーのMDR-EX90SLには一歩及ばず、だけれども、その大きなドライバーユニットのおかげでATH-CKM50はATH-CK5とは比較にならない程の迫力ある音と低音が楽しめる。
 こうして見るとMDR-EX90SLが06年春に発売された=結構前なのに未だ人気が衰えないのも理解できますな。じゃあソニーのが良いじゃんって??いやいや、ソニーとオーディオテクニカでは音色の味付けが全然違う。ソニーMDR-EX90SLは迫力満点な音が魅力だけど、オーディオテクニカATH-CKM50は繊細な音を奏でようとかなり意識された様子。そのためMDR-EX90SLと比較すると低音の迫力が劣るけれど、それは好みの問題であって、聴く音楽ジャンルによっても変わってくるもの。
 ヨドバシカメラのヘッドホン視聴コーナーにiPod持っていって、あれこれ試すのが吉。まぁ、他人が耳ん中にいれた(ヘタしたら耳垢のついた)ヘッドホンを使うのは抵抗あるでしょうが、、、(潔癖性の人はアルコール洗浄液を持っていくと良いかも。それはそれで周囲から”引かれる”カモですが)。

 
結論:ATH-CKM50
 繊細な音色と広がりある豊かな低音を備えたATH-CKM50は、静かなリスニング環境で聴くには間違いなく最高のヘッドホンの1つです。ATH-CK5後継を探していた方には大幅グレードアップに満足することでしょう。

 もし飛行機や地下鉄の中での遮音性を気にするのであればATH-CKM50をベースにノイズキャンセリング機能を追加したATH-ANC3がオススメ。価格はATH-CKM50の倍近くになるけれど、それだけの価値はあると(実際にATH-ANC3を聴いて)考えます。

 もしワタシのように「とにかく周囲の音を根こそぎ消したい」&「低音は不自然なくらいでもドンドン出るのが好み」という極端な願いを持つ人にはATH-CKM50本体に付けられた小さな穴をテープで塞ぐ改造をオススメします(ただしこれは極端な結果を招くので自己責任でお願いしますよ)。
 

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作成:08年7月