金城学院大学 心理学A

解答

※正答だけ残して文章を完成させてあります(赤字部分)。

 

問1.以下の問いについて、 授業で説明したもっとも適切な解答を一つ選んで マークしなさい(番号を一つ塗りつぶしなさい)。 一問2点×50問=100点
 






・予知体験について

 肉親や友人が災難に遭った時に、その人が夢に現れたり、その直前に不吉なイメージの夢を見たりといった報告は多い。こういう体験をすると、どうしても“霊魂”の存在やらを連想してしまうものであるが、これは個人の(問1: C確率判断 )の正確さに関するバイアスが働いていると考えられる。これは、こうした現象に遭遇すると、通常こうした事態に遭遇することはまれであると経験的に認識しているため、偶然以外の要因が作用したと考えてしまうのである。しかし、こうした“まれ”がどの程度の確率で起きているのかを判断する場合、(問2 B直感的な確率判断 )は、必ずしも数学的・論理的に正しいものであるとは限らない。ツベルスキー & カーネマン(1983)はこれについて、日常生活における人間の確率推論は、しばしば人間独特の要因により、理論的な正確さから逸脱すると主張した。例えば、“ある高校のクラスには40人の生徒がいる。その中に誕生日が同じ人の組み合わせが、少なくとも一組以上いる確率は、厳密に計算すれば(問3 D約90% )になる。このように冷静に計算すれば、一見不思議に見える偶然の一致は、実はそれほど確率の低い出来事ではないのである。

 もう一つ、我々は二つの出来事の関連性について、(問4 A両方が同時に )起こったことにのみ着目してしまう傾向がある。例えば地震時における動物の異常行動について。関東大震災の前には「横浜方面の川をイワシの大群がさかのぼった」や「ネズミが一匹もいなくなった」といった事例が報告されており、阪神大震災でもこうした事例が報告されている。動物が何か敏感な能力を持っており、それが地震を予知している可能性は否定できないが、地震が起きる前に暴れた動物がいたという事例だけでは、動物に予知能力があるかを確証する証拠にはなり得ない。そして、本当に必要である(問5 A反証例 )つまり、地震前に暴れなかった例、暴れても地震がなかったなどの例はほとんど注意を引かない。これらを総合的に見て判断することが、両者の関係を特定する上で実はきわめて重要なのである。

 “長らく実家に帰ってなかった男性が、ある晩夢枕に母親が立った夢を見た。その朝、実家の母親が亡くなったと言う電話を受けた・・・”ことについて考えてみる。虫の知らせを連想させるが、確かに自分の夢枕に母親が立つ確率は天文学的な低さである。しかし、予知夢を見る確率を概算してみると、控えめに見積もったとしても、毎日12名程度は(問6 A日本中で )予知夢を見ている。しかし一般に、こうした視点はほとんどの欠落しているのが実情である。さらにこうした体験は(問7 @確信をもって語られる )ため、妙な説得力を持っている事が多い。

 もう一つ、確率推定において大数の法則も無視できない。これはベルヌーイの提唱したもので、「確率に基づいて起こる出来事は、その(問8 B対象ケースが多く )なるほど真の値に近づく。」というものである。この定義に基づき、ある町に大小二つの産婦人科の病院があり、大病院では毎日約75人、小病院では約15人の赤ちゃんが生まれるとした場合を考える。約50%の赤ちゃんが男児で同じく50%が女児であると考えられるが、一年の内で、60%以上が男児だった日の数は、大数の法則に基づけば小病院の方が多くなる。ケース数が少ない場合、理論値から容易にはずれるケースはたくさん出てくるが、大数の場合に当てはまる理論値が、ケース(問9 A数が少ない )場合にも当てはまると誤認してしまう傾向がある。大数の法則に基づけば、自分自身や身近な人の体験談など、少ないケースを論拠に全体を判断することは危険なのである。

 次に記憶について。UFOを見たという目撃証言はよく聞かれる。こうした証言は確信をもって語られ、説得力があるように見える。UFOを見たという体験談は断定的である事が多いが、これらの報告は大きく分けて4つの問題点がある。まず、UFOを目撃する場合、その多くは(問10 @突発的 )である。また、目撃者がUFOを目にしているのは非常に短い時間である。さらに、いずれの場合も、かなりの緊張感を目撃者に与えるイベントであり、ストレスの多い状況での目撃となる。その上、そういった報告はあくまで目撃者の経験に基づくものであり、目撃してからそれを証言するまでに(問11 @時間が経過している )のが普通である。

 我々の記憶というのは実は曖昧なものであり、3日前の夕食の献立や100円玉の絵柄など、日常的にありふれた光景を思い出すことすら実は非常に難しい。そもそも記憶は(問12 B記銘・保持・想起 )の3つの段階を経る。第1段階において、UFO目撃時は強いストレス状況であるため、注意が一部の特徴にしか向けられず、その他の部分に注意が払えなくなる。また、情報の一部が記憶として残っているまま期間が経過すると、その情報も様々な変容を遂げ、劣化していく。得られた情報というのは、時間が過ぎれば過ぎるほど失われる。これにより、様々な周辺的情報が記憶から消去されるが、もう一つ無視できないのは(問13 A事後情報 )の影響である。時間がたつと言うことは、その間にそれだけの経験をする(=別の新しい情報が入ってくる)が、これにより、初めに記銘された記憶が変容する可能性は充分に考えられるのである。そしてとどめに、残った記憶が取り出される段階においても、些細な言い回しや誘導尋問により、記憶が変容してしまう事もある。ロフタスとバルマー(1974)では、同じ交通事故の映像にもかかわらず、車が“激突した”と“接触した”という言い回しの違いで、目撃者側のその車の速度推定に大きな違いが生じている。この言い回しは(問14 @回答への期待 )を反映しており、我々はこのようなゆがみに気づかないし、知らず知らずの内に(問15 A事後情報 )による記憶の歪曲すら起こしている。これらのことから、我々の記憶というのが非常にあやふやなものであり、そもそも事故やUFOを目撃した時点でゆがんだまま記憶してしまうばかりか、経時的に劣化する上、それを思い出して語ったりする段階においてさえ、些細な言い回しによってさえ事実が歪曲されることが理解できる。確信を持って語られる証言といえども、その信頼性が高いとはいえないのである。

 


・対人魅力について

 見た目や性格について、カップルを評価するときは“似たもの夫婦”とか“美女と野獣”などとよくいわれる。前者は二人が類似している場合、後者は全く相反する場合を意味するが、二人が似たもの同士と全然似ていない場合、両方ともうまくいくというのはよく判らない。心理学ではこれまで、この点について主に3つの主張が論戦を繰り広げてきた。3つの主張のうち、1つは自分と似た考え方や性質を持つ人を好きになるという(問16 A類似説 )である。Byrne & Nelson(1965)の実験は、我々は似た態度を持つ相手に魅力を感じていることを実証しているが、こうした原理は意見や態度(問17 Dだけでなく広範囲に渡っている )


 2つ目は自分に欠けたものを持つ人を好きになるという主張で、(問18 D相補説 )と呼ばれる。Winch, Ktsanes, & Ktsanes(1954)の面接研究の結果がこれを支持するが、この研究では、相手の持っている欲求との間に、(問19 C負の相関 )が見られた。つまり、一方がある欲求を強く持っていると、他方はその欲求が弱かった。例えば、片方が“甘えたい”という欲求が強ければ、もう片方は“守ってやるぜ!”タイプであることが多かった。これらは(問20 D個人の態度 )に関する知見であり、うまくいったカップルは、こういった欲求などを互いに補い合うように発展すると考えられた。ただこの研究は、サンプル数が少なく、結果については疑問が持たれている。

 これら2つの主張が食い違う中、中里・井上・田中(1975)は、自分と似ているか似ていないか以前に、そもそも人に好かれる絶対的な性格があるという(問21 C自尊理論説 )を提唱した。これは、外向的・内向的ないずれの人間も、外向的な人に魅力を感じていたという調査結果に基づくが、魅力的な異性像はいつの時代にも共通している。松井(1991)の調査では、「やさしい」「思いやりのある」「明るい」「知的な」「生き生きした」「清潔な」「健康な」などが、魅力的異性のイメージとして挙げられていた。しかしここで疑問なのは、上記のような特徴全てを持ち合わせている人はいないという点である。そんな観点で見ると、魅力ある男性像は5つの、女性像は6つのパターンに大まかに分類される。この分類に基づけば、人に好かれる人は(問22 @望ましい性格の全てを持っているわけではない )ということである。好かれる性格になるためには、自分の性格にあったパターンを探し、それを目指せばよい。結局のところ、類似説・相補説・自尊理論説のいずれが正しいかについては、現在のところ心理学の中では完全に決着がついていない。今後の発展が期待される。

 つぎに外見について。我々は外見に基づく強いバイアスを持っている。美人は性格もいい・・・などと、いわば無意識に認知しており、それに沿った行動を取りがちである。実際には見た目と性格に因果関係はないが、我々がこうした認知をしてしまうことは様々な問題が生じさせる。このように外見と性格を結びつけてしまうことは、社会心理学において(問23 C光背効果 )として説明されている。これは、我々がある人を評価する場合、その人に1,2の顕著な良い特徴があると他の特徴をすべてよく見てしまうし、逆に顕著な悪い特徴があると、その他の特徴をすべて悪く評価してしまうというものである。実際の社会場面においても、アメリカの大統領選は背が高い方が有利というのが常識であったり、果ては容姿がいいと法律的に有利な扱いを受けるという報告すらある。

 もう一つ、見た目の印象を議論する上で、第一印象の影響も重要である。(問24 B初頭効果 )と呼ばれる第一印象の影響はとても大きく、その後の関係を強く規定するものである。これは、“最初に提示された情報の中でも際だった特徴は記憶に残りやすく、一度そういった枠組みが形成されてしまうと、対象に関するその後に接する情報は、(問25 D全てそれに一致する形でゆがめて認知される )。”という理論である。実際には、初めに与える印象は些細な言い回しやちょっとした行動に大きく依拠している。就職の第一段階である会社説明会でだらしない格好をしたり、遅刻したりすることはその会社とは初めから縁がない、第一印象こそ非常に重要なのである。

 初頭効果の考え方に基づけば、初めに“冷たい”という印象を与えてしまった場合、相手は自分に対して「コイツは冷たい奴だ」という風に、2回目以降構えて接したり、距離を置いてくる。そうなると事態はますます悪い方向に至る・・・。初頭効果の他に、この現象を規定するのに昔からある「ギブ・アンド・テーク」と呼ばれる(問26 B返報性 )がある。要するに「人に親切にして貰ったなら、親切でお返ししなければならない」というルールを指すが、“相手の好意に対して好意で返す”というお返しも含まれる。第一印象で良いイメージを相手に与えることができれば、相手も良いイメージで自分にお返しをしようとする。返報性は(問27 @世界共通の )規範といわれている。この返報性のルールは生まれたときより強く教育されており、人はこのルールに従わない“たかり屋”や“恩知らず”になることを極度に嫌う。

 トルコは親日家が多く、日本のことを大好きな人が多い国である。これは約120年くらい前に起きた(問28 Dエルトゥールル号事件 )までさかのぼる。これは、和歌山県沖に遭難したトルコの軍艦乗務員を、大島の住人が手厚く介護をしたことが好感され、トルコの親日感情につながったと言われる。しかしこの話はこれだけで終わらない。昭和60(1985)年3月、イラン・イラク戦争の真っ只中、戦闘にしびれを切らした(問29 Aサダム・フセイン )は、テへラン上空を航行する航空機はいづれの国のものであろうと撃墜するという方針に出た。その時イランにいた日本人は約300人であったが、日本政府は対応が後手に回りJAL便がテヘランに飛ぶことはなかった。命の危険を感じる日本人はテヘラン市内のホテルに身を寄せていたその時、2機のトルコ航空機が降りたち日本人全員が救出された。イランにいたトルコ人は6000人といわれており、救援機が日本人を優先的に乗せた事について(問30 @なんの非難も出なかった )。このときトルコが日本人を救出した理由は100年前に行なわれた日本人の行為だったと、後日駐日トルコ大使が明かした。このエピソードからもその普遍性が理解できよう。「情けは人のためならず」と言うが、他人に嫌な印象を与えないことは、結局自分に返ってくるのである。

 とにかく、第一印象で嫌な印象を与えてしまった場合、相手の自分への印象を向上させるのは非常に困難である。これをふまえて、初めに嫌な印象を与えてしまった場合以外、良い印象を与えたわけでない場合であっても、相手と仲良くなりたいと思ったなら積極的に働きかけを行っていくことは非常に重要である。これは(問31 @単純接触効果 )と呼ばれ、ザイアンスが実験により明らかにした。この実験では、大学の卒業アルバムから抜き取った10枚の写真を被験者に見せ、それぞれの写真の人物についての好意度を調べた。ただし、10枚の写真の内2枚ずつを1回・2回・5回・10回・25回という風に、繰り返し見せた。その結果、25回見た写真の人物について、被験者の好意度がもっとも高かった。実験は顔写真を用いたものであるが、この何度か見る内に対象を好きになる原理は、(問32 @漢字や無意味な文字等すらなんでもあてはまる )。ただしこの現象は、会えば会うほど相手を必ず好きになることを意味しない。これが成立する上では、第一印象が肯定的な場合、または中立的なことが必要となる。もしも、初めの第一印象で否定的な印象を持たれてしまった場合は、逆に、会えば会うほどむしろ嫌われる可能性の方が高くなる。

 ロミオとジュリエット効果と呼ばれる現象がある。Driscoll, Davis & Lipetz(1972)の報告が発端であるが、二人の恋愛や結婚にどのような態度をとっているかを調べるため、「親が交際を妨害 している」「二人の関係を傷つけている」などの項目を“妨害度”として算出し、熱愛の程度との関連を調べた。その結果、親の妨害が強いほど二人の互いへの想いが高いという、(問33 D正の相関 )を見出した。このことは、Brehm(1969)の“個人の所有する自由が脅かされると、その自由を回復しようとする動機づけが高まり、対象を以前よりもより欲するようになる”という、(問34 C心理的リアクタンス )の理論で説明できる。この、“やるなと言われるとやりたくなる”“手に入らないと余計欲しくなる”現象は、我々の社会生活に深く浸透しており、恋愛関係においても強い影響を及ぼしている。相手と仲良くなれない、好きになるという自由が脅かされると、その相手をますます欲するようになるのである。この理論に基づけば、(問35 A片想い )および(問36 C遠距離恋愛 )なども“燃える恋”に陥る確率が高いといえよう。自分の親などに「どこのウマノホネとも、、、ゆるさん!」などと言われた時こそ、冷静に自分の相手を見つめるようにしないと、「ただ周りに反対されて頭に血が上っているだけ」ということになりかねないのである。

 恋に火がつくきっかけをまとめておくと、本質的に人を好きになる原因は、上記のように自分と似た特徴を持っていたり、互いに補い合うような性格であることが主な理由であるが、それ以外にも、1.強い恐怖や不安、2.自信の喪失、3.興奮状態などが対人魅力と結びついている。初めの強い恐怖や不安について、一般に人間は強い恐怖や不安を感じると、誰かと一緒にいたいという気持ちが強まるが、これを(問37 B親和欲求 )という。肝試しに何人かで行く、子供の頃夜中にトイレに行きたくなった時に親についてきてもらったといった経験も、恐怖を感じているときに誰かと一緒にいたいという欲求の産物なのである。

 次に自信の喪失について。我々は一般に自信をなくすと、その時優しくしてくれた人に強い魅力を感じる。この原因は(問38 B自己評価 )であり、これが低下して自信がないときには、デートに誘ってくれた異性に対して強い魅力を感じる。自信を失ってしまっているときにやさしく接してくれる人(もちろん嫌いじゃない人)に会うと、天使や白馬の騎士のように見えるのである。

 さらに興奮状態について、感情的に興奮しているときも異性に強い魅力を感じるといわれる。Dutton & Aron(1974)の釣橋実験では、頑丈な橋と不安定な二つ橋の向こうに美人の女性を立たせた場合、不安定な橋を渡ってきた男性の方が女性に対して強い魅力を感じていた。このことは、橋を渡ったことによるドキドキ(=興奮)が、綺麗な女性を見てドキドキしたという認知と倒錯してしまっていることによると説明されている。我々はこの二つの“ドキドキ”を(問39 B区別できない )のである。よって、デートコースに採用する上で、夜の観覧車などは最適といえる。

 もう一つ、相手をほめるにせよけなすにせよ、順番を誤ると相手の自分に対する評価が大きく変わってしまう。たとえば、<だらしない>と<いい子>という二つの情報で相手を評価する場合、(問40 @初めけなして後からほめる )のが、一番好意を持たれやすい。また、一番嫌われるのは、(問41 Cはじめほめて後からけなす)パターンである。これはゲイン・ロス効果と呼ばれている。

 また授業では、生理的に嫌いということについても説明した。ある人を「あいつは生理的に嫌い」などというケースである。“生理的”に嫌うというのは、何故その人が嫌いかどうかを考えることさえ放棄している状況である。これは心理学的な解釈では、(問42 @相手の嫌な面を自分も持っている )もしくは(問43 C相手が自分の達成できない点を持っている )と解釈される。

 ステレオタイプ(stereotype)とは日本語で言う“固定観念”をさす。例えば血液型と性格の関連は大正時代から研究されているが、現在ではこの二つの関係は心理学的には否定されている。しかし、子供向け雑誌からテレビに至るまで、“血液型性格占い”は広く社会に定着している。血液型性格(学)は、すでに知識としての地位を占めているが、社会的に妥当な信念として保持され、それに基づいて人物情報処理をする。こうした情報処理の基となる知識や信念を(問44 @スキーマ )といい、「A型の人は、周囲に細かく気を遣う」などがこれに該当する。これが固定化・単純化され、社会的に広く共有されるようになったものを「社会的ステレオタイプ」というが、血液型と性格の関連も社会的ステレオタイプである。血液型と性格の関連はものすごい数の研究が行われているが、その関係は見られたり見られなかったりしている。これは(問45 B思い当たるフシ )の根拠といえるが、項目として特定の血液型が一貫して関連しているとする結果が出た研究は皆無である。結論から言えば、結果が出たり出なかったり一貫しないのは、ほとんどの場合関連がないことを意味する。しかし、なぜか血液型占いだけは不思議なことに多くの人がこれとは逆の判断をする傾向にある。

 こうした判断を行う原因は主に3つある、1つは誰にでも当てはまるということである。矢田部(1986)は、自分の性格を列挙させると、血液型と全く無関係に「まじめ」とか「神経質」、「マイペース」と言ったことが挙げられる。結局どの血液型にも多いのだが、この点については見落とされ、A型が「まじめ」だけが残ってしまう。こうした誰にでも該当するような曖昧で一般的な性格をあらわす記述を、自分だけに当てはまる正確なものだと捉えてしまうことを、業界用語で(問46 Cバーナム効果 )という。例えば、“あなたは他人から好かれ賞賛されたいと願っています”“あなたが抱いている望みの内のいくつかは、かなり現実性のないものです”などといった記述について、「あなたの性格です」といって渡すと、多くの人が単純に受け入れてしまう。

 2つ目は、そういわれるとそう思う、そうなっていってしまうことである。これは(問47 C自己成就予言 )と呼ばれる現象である。血液型性格診断に当てはめれば、どんな行動を取るかは、自分自身のことをどんな人間と思っているかに大きく左右される。例えば「O型の僕はリーダーに向いてるそうだから」と、O型の人が積極的にリーダーをやろうとすることは考えられる。「B型はゴーイングマイウェイだ」・・・などと思ってそう行動すれば、ますます「あぁ、やっぱりB型だから、、、」などと、周囲もその人を評価するようになっていく。こうした循環を経ると、ますます(問48 D周囲の期待 )に応じた性格傾向になっていってしまうのである。近年マスコミのみならず、雑誌やマンガなどでも血液型占いは掲載されている。実際、子供の頃からそういう情報に接し続けるため、だんだん子供がそういう性格傾向になっているというデータもある。

 3つ目はトピックとして扱いやすい点である。例えば、全く見ず知らずの第三者に紹介するときなど、「この人はA型だからまじめです」・・・などと好意的に紹介することで、その人に対する信頼が高まり(問49 @場が和む )効果が確かにある。とっかかりの話題として血液型は使えるネタであり、難しい話題でもなく、“話の種”にすること自体が娯楽性を帯びて楽しい話題になるのである。天気などの話と同様、誰にも通用して話が弾むのは大きなメリットといえる。

 そして4つ目は、統計的事実よりも一人の実例である。多くの場合、血液型性格判断を信じている人は自分自身や身近な人に良く当てはまる人がいる。実際には一人二人で全体を判断するのは危険がだが(既出)、一般に統計的な傾向よりも、自分の周りの身近な人や出来事の方が、判断のよりどころとなりやすい。さらに通俗的な占い本だと“○型の有名人”を数人の有名人が挙げられているが、これなども我々がその有名人をどの程度知っているかが非常に怪しい。例を出されると納得してしまいがちだが、ブラウン管に出てくる顔とそうでないプライベートでの顔とのギャップが全く考慮されていない。これは別の事実を含んでいて、人間は成功した華やかな有名人と自分に共通点があると、それだけで何となく嬉しいモノなのである。血液型のみならず、XXと同じ出身高校であるとか、俳優のXXと誕生日が同じであると自慢することと、こういった血液型で代表される有名人が書かれていることは本質的に同じことである。こうした現象は心理学的に(問50 @栄光浴現象 )と呼ばれている。

 

問2.本講義を受講した感想を解答用紙の指示にならって記入しなさい(最低5行)。

 

・最低でも5行は書くこと!一言「つまらなかった」「面白かった」というのは何が原因か判らないので不可とします。

・話して欲しいトピックがあれば記入しておいて下さい。来年以降の参考にさせていただきます。

・ほめても加点しないし、けなしても減点しません。それは保証するので正直に感想を書いて下さい(問題点は修正したいので)。

・つまらなかったトピックがあったら書いておいて下さい、折を見てはずす方向で検討します。

・その他要望等があれば記入しておいて下さい。こうしたプリント形式による授業についてのコメントは参考になるので嬉しいです。

 

 

 

 

・・・ただいま採点中・・・

心理学の採点は以下の手順で行います。

1.まずマークシート部分についてのみ得点を出す。

2.調査協力得点を加算することによって評価が変わるケースにのみ加算して、成績(AA〜D評価)を算出

3.ざっと感想が何行書かれているかだけを見て、5行以上書いてあって不合格圏得点であった場合、60点に補正。

4.全員最後まで評価を記入した後、感想を一通りチェックする。

 ・・・という訳で、感想に何が書いてあろーと機械的に得点は算出しておりますので、それが評価に影響することはありません(あってはいけないとも思いますし)。

 

 

 

自分の点数を聞きたい方は、必ず学籍番号と名前を書いてメールを下さい、このHPは5月まではリンクを張っておくつもりです。

長くなるので携帯メアドは不可とします。

・・・点数と評価が対応しているか確認し、「AのつもりなのになぜBなんですか!」・・・なんて言う具合に不満があるなら、早めに連絡を下さるか、研究室までお越し下さい。「BのつもりだったのにAでした」なんていうのは、クソ正直に出てくる必要はありません(そういう間違いはしてないつもりですが)。また、上のコメントに対するご意見、反論等もお待ちしております。

 

 

・・・私からは以上です。

 

Mailはこちら(kitaori@kinjo-u.ac.jp) まで、質問・疑問等があったら遠慮なくどうぞ。