青酸

シアン化ナトリウム(青酸ソーダ, NaCN)、シアン化カリウム(青酸カリ, KCN)は、事故を引き起こしたり事件に使われたりする青酸塩としてよく聞かれる。これは、金属熱処理、電気めっき、有機合成化学など工業用として多く流通していることや、水によく溶けること、毒性が急速にあらわれることが原因と考えられる。飲み込むと胃の中の酸と反応してシアン化水素(青酸ガス, HCN)を発生し、気管を通って肺から吸収されたり、胃の粘膜から吸収される。シアン(青酸, CN)は呼吸酵素系を阻害し、血中の酸素が使用されることを妨げる。また、神経系に作用して呼吸や心臓を停止させる。

■検出方法
予備試験としてシェーンバイン・パーゲンステッヘル反応法(Schonbein-Pagenstecher's test, 綴りでシェーのところのoはo-ウムラウト)がよく用いられる。陽性のとき黄褐色の試験紙が青色に変色する。HCN以外の塩素などの酸化性ガスでも陽性になるので、検出された場合は本試験に進む。
本試験は、検体から蒸留・拡散によって分離したシアン化水素をアルカリ液に捕集して試料とする。ベルリンブルー反応(Berlin blue)、ロダン反応(rhodanate reaction)はいずれも鉄とCNが結び付いたときの色の変化を見る検査で量の測定はできない。陽性のときベルリンブルーは紺色、ロダン反応は赤色を呈する。定量分析として、ピリジンピラゾロン法などがある。

■シアン化水素(青酸ガス, hyrogen cyanide, HCN)
工業的には1000℃程度に加熱した白金触媒を用いてアンモニアとメタンから製造する。
 CH4 + NH3 + 1.5O2→HCN + 3H2O
NaCN, Ca(CN)2に酸を作用させたり、合成繊維や樹脂など炭化水素の燃焼、光合成、腐敗によっても生成される。