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もしも、罪があるとすれば、自分にとっての最大の罪は、この世界に生まれてきてしまった事。
両親さえも、怖いと思わせる瞳の力。
誰も自分に逆らう事は出来なかった。
小さい頃は、無意識に遣われたその力は、両親にとって恐怖でしかなかっただろう。
だからこそ、自分はこの力を好きではない。
必要なければ、遣わない方がいいと思うのは、そんな経験をしているから。
だって、自分が願えば、誰も逆らう事など出来ないのだ。
この瞳に抗える人間など存在しない。
そして、の力は、それ以外にも周りの人間に自分が普通ではないのだと知らしめていた。
霊が見えると言うその力。
そして、その力によって、霊に好かれそれを呼び寄せてしまう自分。
そりゃ、普通の人間にとっては恐怖でしかないだろう。
突然誰も居ないのに人の声が聞えるのなんて当たり前。
そして、勝手に物が落ちたり、その辺のモノが浮かび上がったりと、そんな非日常が当たり前に起こっていたのだ。
ただ救われたのは、この家が代々の払い屋だったと言う事。
当主であるばーちゃんだけは、この能力を喜んでいたのを知っている。
そりゃ、払い屋であるこの家にとっては、俺は望んで生まれた子供。
そして、近年稀に見るまでの能力者とくれば、当主であるばーちゃんが喜ぶのは当然の反応だろう。
だけど、俺を生んでくれた両親は、ごくごく普通の人間だった。
そんな非日常など、話でしか知らない両親にとって俺は、異端でしかありえない。
だから、俺は両親に育てられたと言うよりも、ばーちゃんに育てられた。
一緒の家に住んでいると言っても、彼等にとって自分はただこの家に住める切っ掛けになった子供としか思われていない。
それどころか、母親にとって俺は、化け物のような存在。
だから、俺の行動が気になるのだ。
電話が掛かってくれば、こっそりと話を聞いている事を知っている。
俺が彼等の事を悪く言わないか心配なのだ。
だって、ばーちゃんに知られたら、この家を出て行かなければいけなくなるのだ。
それが嫌だから、俺の事をこっそりと監視している。
ばーちゃんも勿論その事を知っているけど、何も言わない。
そう、初めから言うつもりなどないのだ。
両親は、どんな事があっても、俺をこの世に生み出してくれたという事実は消えたりしないのだから……。
今日も、両親は妹と一緒に出掛けている。
俺には、勿論声を掛ける事はない。
なぁ、俺は生まれてこない方がよかったんだろうか?
罪があるとすれば、あんた達の子供として生まれてきてしまった事。
だから俺は、本当の両親の愛を知らない。
ただ、目の前では、仲良く見える3人の親子が何時でも居る。
ただ、それだけ……。
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