まるで等高線のようだ。
 同じ高さで纏められたその視線は、何を意味するんだろう。

 それが、この学校と言う場所で見られる世界観。



 出来て当たり前の問題。

 だけど、それは本当にそうなのだろうか?
 それで、そいつの全てが本当に分かると言うのだろうか?

 人と言う個性は、到底そんなモノでは計り知れない。

 例えは、俺と言う人間を、ここに居る奴は本当に理解する事はないだろう。
 だって、俺は本当の自分を隠して生きているのだから……。

 ただ、ここにいる奴らと同じ目線でいるフリをしているだけ。

 それは、簡単な事。

 それで、俺と言う個性は既に隠されてしまうのだから。
 誰も疑う事はしない。それが、ここでのルール。

「この問題を、、解いてみろ」

 名前を呼ばれてノートから顔を上げて前を見る。
 黒板に書かれた問題。簡単過ぎる、問題。

「はい」

 内心で思っている事など顔には出さずに、俺は椅子から立ち上がって黒板の傍へと歩いて行く。
 チョークを一つ手に取って、書かれている問題を考える事無く答えを書き込む。

「出来ました」

 全てを書上げて、教師に声を掛ければ俺が書いたそれにザッと目を通して、満足そうに頷いた。

「完璧な答えだな……それじゃ、これに似た奴をテストに出すから、しっかりと覚えておくんだぞ」

 席に戻っていいという許可を貰って、自分の与えられている場所へと戻る。

 その間に聞えて来た教師の言葉を何処か遠くに聞きながら、小さく息を吐き出した。

 教室の中は、教師の言葉でブーイング。
 そんな事をして、何の意味があるんだろうか?

 結局は何時もと同じ流れ、何も変わる事のない日常だというのに


 でも、俺は時々ここから抜け出したいと本気で思っている。

 息の詰まりそうな空間。
 同じ目線でしか見られない世界など、何が楽しいのだろうか?

 友達同士で腹の探り合い。同じモノを見て、同じように思わなければ、それは異常。

 そんな同じ奴ばかりが居て、何が楽しいと言うのだろうか?

 それなら、世界にこんなに人など必要無いだろう。結局、どう頑張っても同じ人間には決して成り得ない。

 なのに、この場所は同じような人間を造りたいのだろうか?

 同じ目線でぎゅうぎゅうと押し付けられる空間。同じ高さ、息が詰まる。

 俺は、この線から抜け出したい。

 そう思っているのに、俺自身偽って、その輪の中に入り込んでいる振りをしている。

 結局は同じだ。
 俺も、この決められた高さから抜け出す事なんて出来ないのだ。

「所詮、同じだな……」

 同じ高さの中で、もがいているだけ。
 所詮、学校なんてそんな所。
 この場所から出れば、高さは均等ではなくなる。

 だからこそ、今はこの高さの中でも、我慢ができるのだ。

 自由を知っているからこそ……