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最近何かと行動を共にする事になった相手と、放課後の仕事場である生徒会室へと向かって階段を下りている時だった。
見えたそれは、ほんの一瞬。
何処から現れたのか、まるで白粉でも塗っているかのように真っ白な手が彼の背を押す瞬間が見えた。
トンと軽く押したその手は彼の体が傾いた時には、消えて無くなってしまう。
「!!」
グラリと傾く彼の名前を呼ぶ。 とっさに伸ばした手は、虚しく空を切り彼の服を掴むことさえも出来なかった。
だけど、名前を呼ばれた相手は、今まさに階段から落ちそうな状態だというのに自分を振り返ってそして、綺麗な笑みを見せる。
その笑みを前にした後、一体何が起きたのかを理解する事が出来なかった僕は何も悪くないと思う。
いや、何が起きたのかは、分かる。
この目でしっかりと見ていたんだから、分からない訳はない。
「・・・・・・・君、どれだけ人間離れした体してるの?!」
階段から落ちた筈のその人の姿は、僕が呆れて見下ろしている中でしっかりと階段の下で両足を地面につけた状態でその場に立っていた。
「ああ?まぁ、こんぐらいはなぁ、できねぇと今頃まで生きていけねぇよ」
階段の上から見下ろしている僕を見上げるように苦笑しながら言われた内容は、何とも言えないものだった。
確かに、今回みたいな事が頻繁に起こっていたとしたら、体制が出来ていてもおかしくないのか・・・・・・いや、おかしいだろう!!
落ちそうになった体制から片腕で体制を立て直して、見事に着地って。どう考えても普通の人間に出来る訳ない!!
「星馬?」
頭を抱えている僕に、が不思議そうに首を傾げる。
「心配するだけ、無駄って事だね」
「いや、そうでもねぇよ」
そんなに、溜息をついて返せば、ふっと笑ってその言葉を否定された。
「まぁなんだ、心配してくれて、サンキュー星馬」
満面の笑顔で返されたその言葉に僕は複雑な表情をしてしまっても、仕方のないことだろう。
その後、もちろんの背を押した犯人(犯霊?)が主人大好き白猫に捕縛された事は言うまでもない。
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