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アンティーク類は嫌いじゃない。
もっとも、時々前の持ち主に同調しちゃう事があってかなり厄介ではあるんだけど……。
「昨日は休みで仕事だったみたいだけど、そのワリには機嫌がいいみたいだね」
何時ものように生徒会の仕事をしている僕は、誰もいなくなった事を理由にへと声を掛けた。
「おう、ちょっといいものが買えたからな」
僕が声を掛ければ、楽しそうに返事が返される。
「いいものが買えた?何を買ったの?」
満足そうなの言葉に、僕は更に聞き返す。
「お前にも御裾分け。お土産って言ってもいいかもな」
だけど僕の質問の答えは直接返される事はなく、その代わりのように渡されたのは綺麗に包装されている箱?
それ受け取って手に持つと、少し重い。
「割れ物だから注意しろよ」
「それは、有難う……じゃ、なくって、これはなんなの?」
渡されたそれに素直に礼を言って、ハタッと気付く。
だって、行き成りお土産を渡される理由が分からない。
「開けてもいいけど、気をつけて持って帰れよ」
訳が分からない僕に、が小さくため息をついて開封する事を促された。
確かに、何かわからないのなら、これを開ければ全て分かる。
「それじゃ、開けさせてもらうね……」
訳が分からないから、僕は素直にそれに従う事にした。
「どーぞ」
僕の言葉に、が書類を書きながら返事を返してくる。
それを横目で確認して、僕は素直にその包みを開いた。
包まれているのは、変哲のない白い箱。
その箱の蓋を開けば、エアーキャップに包まれたカラフルなランプが一つ入っている。
「、これ本当に貰っていいの?」
高そうな、アンティーク風のステンドグラスのランプ。
葡萄の形をしたそれは、綺麗な紫の色をしていた。
「おう、気にせず貰ってくれ。二つとも俺が持ってても良かったんだけど、それも違うような気がしたから、お前にやるよ」
「二つって?もう一つ同じのを持ってるの?」
「いや、もう一つはマスカットだな。形は一緒だけど、色が違う……でも、何となく両方欲しくって、んで買う時にお前の顔が浮かんだから、プレゼント。それが、お前の処に行きたいって事だったんだろうからな」
僕の質問に返されたそれに、何だか可笑しくなって思わず笑ってしまった。
「それじゃ、遠慮せずに貰っておくね」
僕にくれたそれは、温かな色合いのステンドグラスのランプ。
それは、作った人の温かな思いを包み込んでいる。
それが分かるからこそ、は僕にこれをくれたんだろう。
アンティークには、思いが宿る。
それを知っているからこそ、人を優しくしてくれるモノを彼は選んでくるのだ。
「本当、『昼』が不機嫌だった理由が漸く分かったよ」
「えっ?」
だからこそ、彼の飼い猫は、面白くなかったのだ。
僕にそんなプレゼントをする彼が……。
僕の言った言葉の意味が分からないが、問い掛けてくるように視線を向けてくるのを無視する。
きっと、こいつは知らないんだろう、あの猫がどうして不機嫌だったのかを……。
もっとも、僕もその理由を教えて上げるつもりはないけどね。
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