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『すき』と言う気持ちを初めて知った。
すきと言う言葉には、色々な意味があると言う事も、ここに来て初めて教えて貰った。
でも、その中で、オレは『好き』と言う言葉を知った。
「『昼』?」
不思議そうにオレの名前を呼ぶ目の前の相手に、オレは顔を上げてその顔を見る。
そうすれば、優しく撫でてくれる手。
自分に温もりと言うモノを教えてくれた人。
「寝てたのか?」
心配そうに質問されて、小さく首を振る。
ずっと一人で生きていた時のことを思い出していた。
自分の片割れであった『夜』があの忌々しい水晶に封印されてからずっと、自分は一人だったのだ。
それは、これからも続くと思っていた。
だけど、今自分には初めて大切に思える存在が現れたものだ。
妖魔である自分だからこそ、神など信じてはいないが、今ではその神という存在に感謝している。
「そっか……時間的に調度いいし、お茶にするか?」
首を振ることで返事を返した俺に、優しく笑っての言葉に、今度は頷いて返す。
それに、大切な人はもう一度笑顔を見せてくれた。
自分は、この笑顔が見られるんなら、なんだってするだろう。
そう思わせてくれるほど、大切な人。
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