「あっ、OS死んだな」

 突然言われた言葉に、意味が分からなくって顔を上げる。

?」

 パソコンに書類を打ち込んでいただけなのに、どうしてOSが死亡するんだろう?

「まぁ、良くある事だ。気にすんな」

 不思議そうに名前を呼んだボクに、がまるでボクの心を読んだように返事を返してきた。

 いや、普通は気になると思うんだけど……。
 だって、打ち込んでいただけで、OS死亡…フリーズなら分かるけど、何で死ぬの??

「書類は、ちゃんとバックアップ取ってあるから、心配しなくていいぞ」

 いや、そんな事は全然心配してないけど、だから、何でOSが死んでいるの?

、一体、何をやっていた訳?」

 ここに、ボクと以外が居なくて、本当に良かったと思うのは、ボクだけ。
 だって、何をやっていれば、OSを死亡させられる訳。
 余計な事をしなければ、普通簡単に壊れるものじゃないと思うんだけど……。

「何って、見ての通り、書類を打ち込んでいたに決まってるだろう。遊んでた訳じゃねぇよ。まぁ、OSぐらいですんだから、良い方じゃねぇのか。俺、機械物とは相性悪いらしくって、良く原因不明で破壊するんだよなぁ」

 えっと、原因不明で、破壊って……。
 ボクに説明しながらも、既に再インストールの作業に入っているから、慣れているんだろう。

「OSの再インストールはしとくな。今からやれば、2時間ぐらいで終わるだろう……あっ!」

「今度は、どうしたの?!」

「……多分、ハードディスククラッシュしちまった……」

 時間を確認して、画面を見たが、また声を上げる。
 何事だと思って、問い掛ければ、複雑な表情で、答えが返ってきた。

 だから、どうやって壊しているの?

「……、お願いだから、備品壊さないでくれる?」

「ってもなぁ、俺も好きで壊している訳じゃねぇし……機械類、特にパソコンとは相性悪いんだよな」

 このままじゃ、正直言って仕事にならない。

「あっ、俺の分は、終わってバックアップも取っているし、必要なデーターもちゃんと保存済みだから、安心して良いぜ」

「……手際は、こんなにもいいのに……」

 そこまでしてから壊れてるんだから、まだいいのか?
 いや、でも、何もしてないのに、壊れるってどう言う事。

 仕事に関して、何でも器用にこなしていって言うのに、こんな弱点があったなんて……。
 勿論、機械音痴って訳じゃない。
 完璧なまでに使えているのは、既に確認済みだ。
 キーボードを打つのも、見ていて気持ちが良いくらいのスピードだし……。

 やっぱり、霊関係って、機械と相性が悪いって言うのは、嘘じゃないのかもしれない。

「あっ!こいつフロッピーも、逝かれてる」

 パソコンを直そうとしているのは、ハタから見ていて分かるんだけど、その都度、何かを壊しているように見えるのは、気の所為じゃない筈。

「取り合えず、顧問に話しておくから、はもう、パソコンに触るの禁止!」

 まだパソコンを気にしているを、そのパソコンから遠避ける。
 これ以上、何かを壊されたら、流石にまずいからね。

「って、俺、まだ書類あんだぞ!!」

「後は、手書き。お前が触ると、被害が広がる」

「俺の所為じゃねぇだろう!!」

 確かに、お前の所為じゃないかもしれないけど、お前が触ったら壊れるんだから、一概にそうとも言い切れないな。

 なんにしても、パーフェクト人間にも、やっぱり何か問題があるらしい。

 これからは、に機械類を触らせるのは、出来るだけ避けておこう。

 そう心に誓った、出来事だった。