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メールを貰ったのは日付が変わった瞬間。
着信を告げるその音に気付いて、携帯を手にした瞬間思わず笑ってしまった。
『?』
名前を呼ばれて、顔を上げれば俺のベッドの上で眠っていた『昼』が携帯の着信音で目を覚ましたらしく不思議そうにな表情をしている。
世間一般で言うなら、クリスマス。
でも俺にとっては、自分が生まれてきた日。
この日がなければ、俺はこの世に生まれて来なかったという事。
もっとも、俺の事を祝ってくれる家族はこの家には居ない。
ああ、違った。
祝ってくれる両親は、居ないのだ。
俺が生まれた事を祝ってくれるのは、ばーちゃんだけ。
両親にいたっては、もう一緒に暮らしても居ないのだ。
最後に声を聞いたのは何時だっけ?
それぐらい両親とはかかわりを持っていない。
あの両親が可愛いと思えるのは、俺じゃなくて妹だけだから
「悪い、起こしたか?」
そんな事を考えてベッドへと移動し、その白い体を抱き上げる。
『が悪い訳じゃないだろう』
謝罪した俺に、『昼』が言葉を返してくる。
確かに着信で起きたのなら、俺が悪い訳じゃない。
送ってきたヤツが、悪いんだよな。
「そう言えば、そうだよな……送り主は、星馬だ」
言われた事に納得して頷き、俺は持っていた携帯を『昼』へと見せる。
『こんな時間に何かあったのか?』
相手を教えれば、心配そうに『昼』が質問して来た。
確かに今まで一度もこんな時間にメールを送ってきた事のない相手だから、そう思っても仕方ないだろう。
「そう言う訳じゃないけどな。今年の誕生日に俺も同じ事したから、文句は言えない」
『ああ。今日はリョクトの誕生日だったな』
そんな『昼』に苦笑を零して、自分も同じ事をしたのを思い出して小さくため息をつく。
『昼』はメールの内容を見て、理由が分かったのか納得したように頷いた。
『なら、オレが一番に言ってもいいか?』
「勿論!」
そして抱き上げている俺の事を見上げながら質問されたそれに、大きく頷いて返す。
それに『昼』が何処か嬉しそうな表情を見せたのは、気の所為じゃないだろう。
『誕生日おめでとう、』
「サンキュ、『昼』」
そして言われたその言葉に、俺はギュッとその体を抱き締めてお礼の言葉を返した。
今日と言う日は、俺が生まれた日。
世間一般では、クリスマス。
だけど俺にとっては、自分が生まれてきた事を感謝する日。
誰かにおめでとうといってもらえれば、それだけで自分が生まれてきた事を喜んでもらっているように感じられる。
たとえ、両親に嫌われていても、俺には俺にとって大切な人達がいるから大丈夫。
だって、こうしてメールを送ってくれる友達も出来たから……
『、誕生日おめでとう。
今年も何時ものように家で祝って上げるから、遅れない来るように!
勿論、『昼』も連れて来るように!
星馬 烈』
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