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「んっ……」
その声と共に、パシャッと水音が響き渡る。
「兄貴……」
耳元に囁き掛けて来るその声に、体が反応するのを感じながら、烈は小さく息を吐き出した。
食事も済んで、ゆっくりとした時間も束の間。
一緒にお風呂に入って、今現在の状態にある。
望んでなかったと言えば、嘘になるけど執拗に迫ってくる相手に、体の熱は引くどころか、ますます自分を熱くしていく。
「ねぇ、気持ちイイ?」
意地悪なその問い掛けに、答える事も出来ない。後ろから抱き締める様なその格好で、豪は烈自身を愛撫する手に力をこめた。
「…やっ…もう……」
「イッても、いいよぜ、兄貴…」
耳元に囁きかけてくるその声は、優しいのに、言っている内容は、とんでもない事をサラリと言っている。
「……いや、だぁ…」
その声に反発する様に、イヤイヤと首を振るその姿に、豪は苦笑を零した。
強情なのは、変わらない。
そんな当たり前の事でも、それが嬉しいから……。
だけど、その強情な態度に意地悪したくなるのは、本当に好きだから、そんな理由を付けて、豪は更に烈の耳元に囁きかける。
「でも、このままじゃ、辛いだろう、烈兄貴……」
そっと囁いて、それからそのままゆっくりと唇を首筋に移動させれば、烈の体が小さく震えるのを感じて、豪は嬉しそうに口の端を上げて笑う。
「……ねぇ、どうして欲しい?…このままがいいなら、俺、何もしねぇけど……」
意地悪だと分かっていても、そう言ってぺロッと烈の首筋を舐めれば、また声にならない声が上がる。
返事が出来る状態じゃないと分かっていながら、そのまま烈が触れて欲しいと思う所には手を出さずに、豪はゆっくりとした動きで烈の体に手を這わせた。
「ねぇ、兄貴vv 何か言ってくれないと、俺、何にも出来ないぜ」
楽しそうに言いながらも、その口は烈の体に特有の印を残している。
敏感になっている体の傍で声を出されただけでも、感じてしまう事に、烈は激しく首を左右に振って返す。
「兄貴……辛い?」
グッと唇を噛んで自分の声を押さえようとしている烈に、豪はそっとその頬に手を添えるとゆっくりとキスをする。
「ほら、そんなに噛むと唇切れちまうだろう!あっ!って、もう血の味してんじゃんか!」
触れるだけのキスをしてから、豪は涙を溜めているその瞳にキス一つ。
「……ごめん、苛めたい訳じゃねぇからさぁ……」
そして、自分が今までした事を反省する様にそっと頬にも優しくキスをする。
「……だから、烈兄貴もちゃんと俺に、答えて……」
耳元で優しく囁き掛けてくるその声にさえ、今の烈の体を震わせてしまう。
何も言葉を返せない状態でも、必死に豪に答えようロゆっくりと閉じていた瞳を開いて潤んだ目で豪を見詰めると、小さく頷いて返すのが精一杯である。
「……サンキュー、兄貴……」
自分に頷いて返してくれた烈に、嬉しそうに微笑むとそっと唇にキスをした。
触れるだけの優しいキス。
烈も瞳を閉じて、それを受け止める。
そして、その唇が、ゆっくりとした動きで移動して行くのを感じて、烈はギュッと力を込めた。
「…大丈夫だから、力抜いて、兄貴……」
首筋に唇を押し当てながら言われたそれに、ピクリと体が震えるのを止められない。
首筋に掛かるその甘い痺れるような感覚に、烈は小さく声を漏らした。
それに、満足そうな笑顔を見せて、豪はゆっくりとした動作で手を動かし始める。
そして、既に熱くなっている烈自身に優しく手を伸ばす。
「…豪…」
漸く与えられた刺激に、烈が切ない声を上げるのを嬉しそうに聞きながら、豪はその手を優しく動かした。
「…あっ……」
直接与えられたその刺激に、烈が大きく体を仰け反る。
そして、自分を抱き締めるように前にいる豪の体に縋りつくようにその首に手を回した。
「……兄貴、後の方も、熱くなってる……」
自分に抱き付いてくるその体を受け止めながら、豪は烈の後に手を伸ばしその奥に指を入れていく。
「……後、大丈夫そうだし、俺も、我慢できそうにねぇから、いれていい?」
そっと耳元に囁き掛ければ、小さくコクリと頷いてくれる。
「……サンキュー兄貴……」
もう一度だけ耳元で囁いて、そのまま烈を抱える様に抱き締めて、体を進めて行く。
「うっ…ご、う……ああっ!」
突然感じた激痛に、烈の体に余計な力が入って、豪も思わず顔をしかめた。
「あ、兄貴…力抜いて……大丈夫だから……このままじゃ、兄貴が辛いだけだ」
「……分かって、る…けど……」
豪に答え様としているが、体の力は抜けずに烈は大きく首を振って豪にしがみ付く。
そんな烈に、豪は小さく息を吐き出すと、そっとキスをする。
「…ご、う……」
唇に頬にそして首筋へとキス。
安心させる様に、まさに体中にキスをする豪を前に、漸く烈の体から力が抜けて行く。
「大丈夫だから、ゆっくりそのまま腰下ろして……俺が、手を貸すから…」
優しくささやき掛けて来るその声に、頷けば嬉しそうにキスされる。
「んじゃ、んと気持ち良くなろうぜvv」
「…ば〜か……」
真っ赤になってそう言ってから、二人で笑い会う。
そして、もう一度キス。
それから後の事は、記憶に残っていない。
気が付いた時、心配そうに自分の事を見詰めて来る弟の姿があって、烈は不思議そうに首を傾げた。
布団に横にされた状態で、額には濡れたタオル。
「……もしかして、ボク……」
「大丈夫かよ、烈兄貴!!」
自分の額に乗ってあるタオルを取ってから、豪が心配そうに声を掛けてくる。
「…風呂の中であんな事したのは、不味かったけど、まさか気絶するとは思ってなかったぜ」
安心した様に呟かれたその言葉で、十分に状況を理解して、思わず苦笑を零してしまう。
「……まぁ…当然と言えば当然なんだろうけどなぁ……でも、すげー兄貴が可愛かったしvv」
そして、独り言の様に言われたその内容に、カッと顔が赤くなる。
そして、何か言う前に豪の事を殴り付けた。
「……お前のそう言う所が、ボクは嫌いなんだ!」
「って、殴る事ないだろう!!」
「殴られるような事を言う、お前が悪い!!」
殴られた場所を押さえて文句を言う弟に、烈が呆れた様にため息をつく。
そんな兄に、豪は拗ねた様にため息を付いた。
「……最中は、あんなに可愛いのに……」
「豪、もう一回殴られたいのか?」
ニッコリと笑顔で手を上げる兄に、慌てて手を振って見せる。
烈に殴られるのは、本当に痛いのだ。
「…俺が悪かったです……」
「……だったら、最初から言うなって、何時も言ってるだろう!!」
呆れた様にため息をつく烈に、豪も思わずため息をつく。
これが、先ほどまで、人に言えないような事をしていた二人だとは到底思えない。
「……兄貴、まだ寝てた方がいいんじゃねぇの?」
だが、まだ顔の赤い烈を見て、豪は心配そうに声を掛けた。
逆上せて倒れた兄を、本気で心配しているのだ。
「んっ、もう、寝るよ……なんか、疲れたし、まだ頭ボーっとしてる……」
言いながら、頭に手を当てる烈に笑顔を見せて、そっとその体を横たえさせると、固く絞っておいたタオルをまた額に乗せる。
「…豪?」
「……俺、もう暫く起きてるから、兄貴寝ていいぜ」
冷たいタオルの感触に、目を細めた烈の頬にゆっくりとキスをして豪はそのタオルで瞳を隠す。
「お休み、烈兄貴…」
「うん、お休み、豪……ごめん、これだけは言わせて……ここに連れてきてくれて、有難う……」
「…どういたしまして…また、二人だけで来ような」
優しく呟かれたその言葉に、小さく頷くのを見てから、豪は嬉しそうに微笑んだ。
はい、露天風呂最終のお話です。如何だったでしょうか?
頑張ってココを探してくださった皆様、有難うございます。
そして、期待してくださった皆様ごめんなさい(><)私には、これが精一杯なのです。許してください。
でも、漸くこの話も終わったので、本人漸く落ち着きました。(笑)
後は、頑張って『Wizard』を仕上げるだけです。今月中を目標に、頑張ります!
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