「何でオレが、お前にの事を教えなきゃいけないんだよ」
行き成り言われた赤ん坊からの言葉に、不機嫌に返す。
大体何で今更の事を説明しなきゃいけないんだよ、偽赤ん坊なんかに!!
「宿題だぞ、ダメにも同じ内容でレポート提出を命じているからな」
文句を言ったオレに、チラリと視線を向けながら言われた言葉に、オレは一瞬考える。
偽赤ん坊から言われた内容は、双子の片割れの事を説明しろと言うもの。
当然の事ながら、に同じ事を言ったのなら、が題材にして書いているのはオレの事。
「真面目にお前が書けば、ダメが書いたレポートをお前にも見せてやるぞ」
トドメとばかりに言われた内容に、オレは渋々了承の意を唱えた。
がオレの事をどう思っているのか知るには、又とないチャンスなのだから
沢田。
オレの双子の弟にして、オレの最愛の相手。
超が付くほどのお人好しで、人の為に何でも一生懸命になる。
自分の事よりも、周りの人を大切にするような人。
何度オレが言っても、それは直る事はない。
だからこそ、一生消えない傷を抱えている。
右足の傷は、オレを庇って出来た傷だ。
その傷の所為で、は二度と歩けないと言われた。
今が歩いているのは、奇跡だと言われる程のすごい事だ。
それは、が辛いリハビリを乗り越えたからこその成果。
今だって本当は、歩く度にその足に痛みを感じている事を知っている。
だからこそ、オレはに本当は歩いて何で欲しくない。
出来れば、オレがを支えて歩きたいと思う。
だけど、それをしないのは、がそれを望んでくれないから、だからこそ、オレは見守る事しか出来ない。
意地っ張りで、人に心配を掛ける事を嫌う。
その癖、心配ばかり掛けてるんだから、どうしようもない。
本当に部屋に閉じ込めて、一生オレだけのモノに出来れば楽なのに
当然、そんなこと出来る訳ないんだけど
って、事を書いていたら、それだけじゃダメだって、偽赤ん坊に言われた。
それじゃ、一応好きなモノとかも書いといた方がいいのかな?
好きな色は、緑とか水色の淡い色。
部屋の色はグリーンで統一されているから、なんとなく落ち着く色が好きなんだろうね。
観葉植物なんかも置かれているから、の部屋はオレにとっては、自分の部屋以上に寛げる場所だ。
本の趣味は、漫画とか小説は殆どなくて、どちらかと言えば料理の本とかが多いように思う。
その中でも多いのが、お菓子の本だろう。
後、音楽なんかは、邦楽洋楽ともに殆ど聴かない。
聞いているのは、歌の入ってないゆったりした曲が好きみたいだね、良くそう言うのを聞いているから
暇な時に何をしているかって言えば、結構ぼーっとしている事が多い。
日光浴とかが好きなのか、良く縁側に座っているのを見る事がある。
声を掛けたら、寝ている事も多いけどね。
うん、寝る事が一番好きなんだと思うのは、その顔を見た時かな。
すっごく、幸せそうな顔で寝ているからね。
本気で起こすのが可哀相な時があるのは、あの顔がオレも好きだからかな。
他にも、庭の花壇は実はの趣味で作られている。
母さんからはちゃんと許可を貰っているらしいが、ハーブを育てている所がらしい。
そのハーブを使った料理が時々家で出されている所も、らしいと言えるだろう。
他にも色々書きたい事はあるんだけど、偽赤ん坊に、それで十分だって言われたから、これぐらいにして置こう。
オレとしても、これ以上の事を教えるのは勿体無いからね。
「綱吉、お前……」
「言わないでくれる。の事になったら、妥協できないんだから」
「語れと言われたら、止まらなくなりそうだな……」
レポートを渡した時に、リボーンから哀れんだ目で見られた。
自分でも自覚しているからこそ、こいつには言われたくない。
教えたくないと言いながらも、の事なら何時までだって、語っていたいと言う矛盾。
誰彼構う事無く、オレがを好きだと言う事を知らしめたいと思うのだ。
そして、交換条件で見せて貰ったのレポートに、また嬉しさを隠せなかったオレを偽赤ん坊が呆れたように見ていたのは、また別の話である。