リボーンに言われて、仕事を中断し自室へと戻る。
何があるのかは分からないけれど、あそこまで真剣な顔をしてリボーンが言うのなら雪に何かあったとしか考えられない。
でも、オレが部屋を出る前は、変わった様子は見られなかったんだけど
リボーンは、一体何を心配しているんだろうか?
自室のドアの前で一度立ち止まり、一瞬考えてからゆっくりとドアを開いた。
そして、部屋へと入りそのまま真っ直ぐ寝室へと向かう。
寝室のドアを開き中に入れば、小さな声が確かにそこに居る者の存在を証明している。
朝から変わっていないその状態に、少しだけホッとした。
だけど、良くその声を聞いていると何かが可笑しいことに気付く。
その声が、安らいでいる声ではない事に
「雪?」
その声に気付いて、慌てて雪の顔を覗き込んだ。
覗き込んだ顔はお風呂でのぼせてしまった時のように赤くなり、呼吸は明らかに荒い。
「雪?!」
それに気付いて雪に触れれば、その体がとても熱を持っているのが分かった。
雪は、子供なのに体温が低めで、それを考えると今の体温はかなり高い。
リボーンが危惧していたのは、これだったんだと思っても遅すぎる。
急いで携帯を取り出し、リボーンへと連絡を入れた。
『…やっぱりか……』
「リボーン、至急医療班を!シャマルが居るなら、無理やりでもいいから連れて来て!」
『分かった』
連絡を入れれば、リボーンは予想出来ていたらしく、直ぐに頷いた。
返事を貰ってから、直ぐに携帯を切り、荒い息を上げている雪をギュッと抱き締める。
「ごめん、気付けなくて、ごめんね、雪」
多分、朝には体調を崩していたのだろう。
なのに、オレは、そんなことにも気付けなかったのだ。
ダメツナと呼ばれていたオレは、今だにそれを克服出来ていない。
雪の体調に気付かないなんて、何てダメダメなんだろう。
「・・・・・・つな、よし、あやまる、ち、がう・・・・・・ごめ、なさい」
荒い呼吸の中、小さく首を振って逆に謝ってきて雪に、オレは更に強くその体を抱き締める。
熱の為に熱くなっているその体は、まるで小さな太陽でも抱いているようだ。
それこそが、雪の体調が最悪な事を誇示しているようで、心が痛む。
「雪は何も悪くないよ。ごめんね、オレが不甲斐ないばっかりに……もっと早く気付いて上げられれば、こんなにも苦しい思いをしなくてすんだのに」
「馬鹿な事してねぇで、少しでも雪の熱を下げられるように準備しやがれ、ダメツナ!」
雪の体を抱き締めていたオレの頭を叩きながら言われた言葉に我を取り戻す。
確かに、ここでこんな事をしていても雪の熱が下がる訳じゃない。
医療班が来るまでに、オレが出来る事は沢山ある。
「さっさとしやがれ、ダメツナ!」
促されるように言われたその言葉に、慌てて雪を離して準備をする為にその場所を離れた。
「今は、何も考えずに、眠るんだ」
オレが部屋を出て行く前に聞こえて来たのは、優しく響くリボーンの声。
その声に振り返れば、優しく雪の頭を撫でているリボーンの姿が目に入る。
その姿を見て、胸がモヤモヤするのを感じながらも、気持ちを押し隠して、寝室を出た。