リボーンやジョットに呆れられたとしても、自分にはそないな自覚もあらへんのやし、やっぱりどないしたらエエのか分からへん。
 まぁ、ここに来て初めて、オレの食が細いんやと言うことと、溜め込む性格やと言う事が分かったんやから、良しとしよう。
 少食なんは、簡単に改善出来へんやろうけど、溜め込む性格言うんは、もしかしたら改善できるかも知れへんと思うんやけんど、どないやろう?


「……心で聞かずに、口に出して言え……まぁ、お前しだいじゃねぇのか」


 心の中で質問したオレに、リボーンが呆れたように返してくれる。
 文句を言いながらやけど、しっかりオレの質問に答えてくれるんが、リボーンのええ所やと思うねん。


「確かに、オレ次第や。せやけど、自覚薄いねんから、ちょっと難しいかも知れへん」


 折角返事を返してくれたんやけど、結局、なるようにしかならへんと思うねん。
 これから、変わっていくのかも知れへんし、全く変わらへんのかも知れへん。
 先の事なんて、オレには全然分からへんのやから


「なら、初めから聞くんじゃねぇぞ」
「堪忍、せやけど、聞いた事で、何かが変わるかも知れへんやろう……と、綱吉はん達も食べ終わったみたいやな。急で申し訳ないんやけど、そろそろお暇させて貰うわ。食料買って帰らへんと、何も食うモンがあらへんのや」
「あら、それは大変ね。それじゃ、残り物で悪いんだけど、これ持って帰ってちょうだい。綱吉の言うとおり、作りすぎちゃったみたいだから」


 食べ終わったらしい綱吉はん達を確認してから切り出したオレに、綱吉はんのお袋さんがにこやかに申し出てくれたんは、ほんまに有り難いお言葉やった。
 こないにも美味しい料理のお裾分けは、今のオレにとって、天の助けぐらいの価値や。
 せやから、オレとしてはその気持ちにしっかりとお礼せなあかんと思う。


「おおきに、ほんまに助かります。お礼にもならへんのやけど、片付けぐらいはさせて下さい」


 嬉しい申し出を受け取って、オレが出来る事ぐらい思うて、手伝いを買って出る。
 まぁ、それかし、オレに出来る事はあら変のやけど
 食べ終わっている食器を片付けながら申し出たオレに、綱吉はんのお袋さんが慌てた様に静止の声を掛けてくる。


「そんなの気にしなくてもいいのよ!」


 ブンブン手を振って、慌てとるお袋さんには申し訳ないんやけど、もうヤル決めたんやから、諦めて貰おう。


「せめてもの気持ちやさかい、手伝わせてくれへんやろうか?」
「……そこまで言われちゃうと、お願いするしかないわね。ありがとう、くん」


 ちょっと申し訳なそうそうに問い掛ければ、お袋さんからお許しの言葉が返ってきた。その上、お礼の言葉まで頂いてしもうたんには、ちょっとびっくりや。
 オレが、自分でしたい言うとるのに、お礼言われるやなんて、何やくすぐったい気持ちやな。
 ほんまに、綱吉はんのお袋さんは、温かい気持ちのお人やと思う。
 世の中のお袋さんが、みんな綱吉はんのお袋さんみたいな人やったんなら、悲しいお子なんて居らんようになるんやろうなぁ。
 そないなこと、絶対にありえへんと分かっとるんやけど、そう思ってしまうんは、仕方あらへんやろう。


「くん?」


 そないな事を考えとったオレは、心配そうな声で綱吉はんから名前を呼ばれて、意識を引き戻された。


「何もあらへん。ほな、さっさと片付けんとな」


 慌てて意識を戻して、心配そうに見詰めてくる綱吉はんに、返事を返して止まっていた作業を再開した。
 オレの膝から降りて隣の椅子に座っとったリボーンが何か言いたそうな表情で見とるんには、気付かないフリをした。




 せやかて、どないにもできへん事やって分かっとるんや。
 どないに望んだかて、無理なんやってちゃんと分かっとる。
 心配そうに見詰めてくる綱吉はんやリボーン、それにジョットの視線を感じとるんやけど、それに気付いとらんフリをして重ねた食器を持って傍にあるキッチンへと運ぶ。
 その後は出来るだけ何も考えへんように、食器を洗う事だけに意識を集中させた。
 なんや考えてしまうと、今日から会う事のあらへんおかんの事を考えてしまいそうやったから
 綱吉はんのお袋さんとは余りにも違う、オレのおかんの事を


『、大丈夫なのか?』


 小さく聞こえてきた声に視線を向ければ、ジョットが心配そうな表情を浮かべてオレの事を見とる。
 そないにも心配してくれとる相手には心苦しいんやけど、今のオレにはただ曖昧な表情で返す事しか出来へんかった。
 もしかしたら、そないな所が溜め込んどる言われる原因かも知れへんのやけど、やっぱり簡単には変われへんのやなぁ、自分……。
 せやけど、優しい母親言うんを目の前で見せられると、どうしても思ってしまうや。
 自分のおかんも、そないな人やったらエエのにやなんて、自分の所為でおかんがあないになってしもうたんやって分かっとるのに、そないな事を考えてしまう。
 あないになったんは。全部オレの所為やのに、そないな無茶な事を望んでしまうんや。


「くん、これもお願いできるかなぁ?」


 何も考えへん言いながら考えに没頭しとったオレは、突然聞こえてきた声にハッと意識を引き戻された。


「綱吉はん」
「くんだけに手伝わせる訳には行かないからね。まぁ、オレの場合皿運びぐらいしか出来ないんだけど」


 驚いて、その名前を読んだオレに対して、手に持っとったお皿を渡しながら続けられたその言葉に対して、オレも自然と笑顔を返す。
 なんやろう、綱吉はんの笑顔は何処か安心出来る。せやからやろうか、自然と笑顔を返す事が出来るんは。


「十分やと思うで。しよう思う気持ちが大事なんやと思うしな」


 渡されたお皿を受け取りながら、笑顔で返す事が出来たんは、全部綱吉はんのお陰やと思う。
 ええなぁ、こないにも、人の心を和ませてくれるお人やなんて
 隼人はんや、武はんが、綱吉はんの事、大事にしとった理由が良く分かる。


「そうだね。確かに、気持ちが大事なんだよね。ああ、母さんが残った料理をタッパーに詰め込んでくれてるから、凄い量になるかもしれないけど、頑張って食べてね」
「ジョットが食べてくれるんやったら、食べ切れるかもしれへんのやけど、流石に一人やと料理傷ませそうで心配やわ」


 オレの言葉に頷いてくれた綱吉はんが、楽しそうに続けた内容でを苦笑しながら返す。
 あないにも沢山の料理を作ってくれたお袋さんの事やから、間違いなくオレが食べきれへん程の量を持たせてくれそうや。
 美味しい料理やから、傷ましてしまうんは申し訳ないんやけど、小食や言うオレには、それを残さず平らげるんは、至難の業やろう。


「うーん、流石に加減はしてくれると思うんだけど、母さんだから、難しいかも……」


 オレの言葉で、綱吉はんも複雑な表情を見せる。
 多分、いや、間違いなく、お袋さんは、俺が食べられへん程のお土産を用意してくれるやろう。
 明日一日は、食料に困らへんようになるかも知れへんな。
 春やから、そないに直ぐに食べ物も傷まへんやろう事が、せめてもの救いや。


「まぁ、何とか頑張って食べられるようにするわ」
「無理そうだったら、オレや山本が手伝いに行くからね!」
「せやなぁ、その時には、お願いするかも知れへんわ」


 そないに言って貰える事が、ほんまに有難い事やって、思う。
 今日初めて逢うた人達やのに、何やずっと前から知っとったみたいに思えるんやけど、そないな事、あらへんのになぁ。