「ただいま」
今日は、この中で俺だけが下忍の任務があって、ちょっとだけじーちゃんを恨みたくなった。
もしも、バカカシが遅れてきて昼までに任務が終わらなかったら、完全にキレていた自信がある。
大体、忍の癖に時間に遅れてくるって言うのが問題あり過ぎんだよ。今日も、しっかりと遅れて来たが、根性で午前中で終わらせたのは、折角達が休みだって言うのに、同じ時間を過ごせないのが嫌だったからだ。
なので、ちょっとばかり本気を出しただけ。
まぁ、任務内容が失せモノ探しだったから出来た事だけど……。
「お帰り、ナルト」
当然のように戻って来た家の玄関を開いた瞬間、笑顔でが出迎えてくれる。
「お疲れさん、タイミングよく戻って来てくれて助かった。もう少し遅かったら、折角のラーメンが延びるところだったな」
笑顔で迎えてくれた上に続けて言われたその言葉に、俺は一瞬首を傾げてしまう。
「珍しい。今日は麺類?」
「おう、キッチンの片付けしてたから、手抜きで悪いけどな」
休みの日には、手の込だ料理を作る事を知っているから、思わず問い掛けた俺に、が苦笑を零しながら理由を説明してくれた。
別に、ラーメンが嫌な訳じゃない。
の作る料理は何でも美味しいから。
ラーメンだって、流石に一楽には負けるけど、普通の店で食べる奴よりも美味しい。
「別に、悪くはないけど……」
「ほら、早く手を洗ってくる!ラーメン延びるぞ」
申し訳なさそうに言われたそれに、素直に言葉を返せばフワリと大好きな笑顔を見せて、先を促された。
言われた内容に素直に頷いて、洗面所へと移動して手洗いとうがいをしっかりとする。
これをしないと、『夜』に怒られるからだ。
『お帰り、ナル』
「ただいま……」
リビングに入れば、『夜』が声を掛けてくる。それに、返事を返して、俺は指定の場所へと座った。
皆は先に食べていて、俺が姿を見せた事で短い挨拶をするのが、何時もの事だ。
「はい、ナルトの」
そんな他の皆を見ながら席に座ったと同時に、がラーメンをもって来てくれた。
「有難う…頂きます」
それを受け取って、箸を持ちぺこりと頭を下げる。
出されたのは味噌ラーメン。トッピングには、キャベツとコーンのバター炒め。味噌味に合っていて美味しい。
「ちなみに、今日のお茶受けはコーヒーゼリーか、ミントティのゼリーだから!」
『何だ、キッチンを片付けると言いながら、そんなモノまで作っていたのか?』
野菜たっぷりのラーメンだけど、炒めてある上にバターの風味も効いているので、俺でも平気で食べられる。
ズルズルとラーメンを食べていた俺の耳に、が宣言するように口を開く。
それに、『昼』が呆れたようにため息をついた。
「だって、ゼラチンあったら作るだろう!んでだ、ナルトとシカマルに『昼』はコーヒーゼリーだろう?何の飲み物がいい?」
『昼』の呆れたようなその言葉に、がキッパリと言い切って、更に質問してくる。
えっと、ゼラチンあったら、ゼリーを作るもんなんだろうか??
それには、素直に納得できないんだけど……。
それで、えっと、飲み物??
コクリと、汁を飲んでからに返事をするように首を傾げる。
何時もみたいに、コーヒーか紅茶じゃだめなんだろうか?
「……えっと、な。コーヒーゼリーにコーヒーとか紅茶が合うと思うか?」
疑問に思ったその俺の心の中を読んだようにが更に質問する。
ああ、確かに、コーヒーゼリーに、紅茶って言うのはコーヒーの味が殺されちゃうような気がするし、コーヒーにコーヒーと言うのは、あんまりだろう。
「別に、何でもいいぞ。食えりゃ同じだ」
だから、はゼリーを食う俺達に質問したんだと分かって、納得した俺の耳に、シカマルの興味なさそうな声が聞えて来た。
って、折角が真剣に聞いているのに、それはあんまりなんじゃないのか?
「シ、シカマル」
案の定、シカマルの言葉に、がピクリと反応する。
「食えれば、同じ?シカマル酷い!俺が、皆に美味しいモノを食べてもらおうと頑張ってるのに、言うに事欠いて、何でも同じ!!」
あ〜っ、やっぱり……xx
「いや、そう言う意味で言ったんじゃ………って、お前、分かってて言ってるだろう……」
泣き真似する仕草を見せながら言ったに、シカマルが慌てて言い訳をする。
だけど、の肩が小さく震えてるのに気付いて、ため息をついた。
「いや、まぁ、ちょっとしたパフォーマンスって事で……んじゃ、お前は何でもOKって事だな。ナルトは?」
呆れたように口を開いたシカマルに対して、笑いながら答えて更に俺に質問してくる。
「俺も、に任せる」
「了解、『昼』はどうせ同じ言葉が返ってくるだろうから聞かない」
『ああ、任せる』
「んじゃ、お茶の時間楽しみにしてろよ!」
楽しそうに笑いながら、が言ったその言葉に頷いて返す。
まぁ、シカマルじゃないけど、の作ってくれたモノなら、何でも美味しいから心配はしていない。
そのまま、お昼は何事も無く過ぎた。
そんでもって、昼飯を食った後は、読書の時間。
折角出来たのんびり出来る時間は、全て禁書を読む為にある。
まぁ、夜には否応無しに任務があるんだろう事は、今は考えたくない……。
こんな風にして、休みの日はまったり出来るのが、今の俺のお気に入り。
誰にも邪魔されずに大好きな禁術書や禁書が読めるし、何よりも時間になると美味しいモノが食べられるのだ。
餌付けされてるような気がしないでもないけど、の作る美味しいモノが食べられるならそれでもいい。
最近じゃ、自分で作るのがバカらしくなってるぐらいだし……。
『お待たせ!』
そう考えていた俺の耳に、楽しそうに入ってきた『夜』の声が聞えて来た。
って、時計を見れば既に3時を回っているのに、ちょっと驚く。もう、そんな時間だったんだ……。
『飲み物は、後からが持ってくるからね』
そう言って、『夜』がコーヒーゼリーの入った器を渡してくれた。
硝子の器に入った黒いゼリーの上には、真っ白なミルクが掛けられていて、白と黒で見た目も綺麗に見える。
「で、結局飲み物は、何になったんだ?」
『それは、もう少し待っててね』
シカマルも『夜』から器を貰いながら、疑問に思った事をそのまま口にする。
それに、『夜』は楽しそうな笑みを見せた。
えっと、その笑顔が気になるんだけど……一体、飲み物って何になったんだろう?
『夜』のその笑顔を見ていると、オーソドックスに、コーヒーって訳じゃなさそうなんだけど……。
「お待たせ!」
思わず考えてしまった俺の耳に、続いての声が聞えてきて思わずそちらへと視線を向けた。
そして、自分達に配られた飲み物は……。
「えっと、緑茶??」
湯飲みに入ったそれは、どう見ても緑茶。お茶独特の匂いも間違いない。
「おう、考えた末に、これに行き着いた。まぁ、合わないかもだけど、合うかもしれないだろう?」
えっと、それは、微妙な考えなんだけど……。
疑問系で言われたそれに、思わず複雑な表情をしてしまう。
それでも、準備してくれたものは素直に頂く事にする。
「どう?」
まずコーヒーゼリーを食べる。
うん、普通に美味しい。その後で、緑茶を飲む……えっと、合わない事はないけど、やっぱり微妙……。
心配そうに見詰めてくるに、ただ苦笑を浮かべてしまった。
「ゼリーは普通に美味い」
返事を返せない俺に代わって、シカマルが返事を返す。
うん、その答えで間違ってないな。
「……やっぱ、緑茶じゃだめか……コーヒーゼリーに合う飲み物って難しい……」
いや、そんなに真剣に考えなくっても……xx
まぁ、そんな風に、お茶の時間が流れた。
えっと、コーヒーゼリーと緑茶は、まぁ、あんまりお勧めはしないって事で……。