朝飯を食って、今日は任務も無いから、のんびりと台所の整理していたら、あるモノが目に入った。(何時も片付けは、『夜』に任せっきりだ)
「……ゼラチンがあるから、ゼリーでも作るか」
季節的にも冷たいものが食べたくなってくる時期だし、作り置きしておくのも手だよな。
「ナルトとシカマルに『昼』はコーヒーの方が好きだろうから、コーヒーゼリーにして、俺と『夜』は紅茶にするか……」
『!何してるの?』
考えていた事を口に出しながら材料を揃えていく。
そんな中、突然後ろから声を掛けられて、ちょっとだけ驚いてしまった。
「『夜』か……」
『うん、ボクだよ。で、何を作ってるの?』
家に居るから、流石に気を抜いていた事に少しだけ反省して相手の名前を呟けば、楽しそうな声が再度同じ質問を投げ掛けてきた。
「ゼリーを作ろうと思ってる」
『そうだね、もうそう言うのが似合う季節になっちゃったんだね』
ちょうど持っていたゼラチンを見せながら言えば、感心したように『夜』が頷く。
その言われた内容に、俺も同じ事を思っていたから、思わず苦笑を零してしまった。
「そうだよなぁ……季節が流れるのは、あっと言う間だ」
『って、ってば、すっごくおじさん臭いよ』
納得してうんうんと頷きながら言えば、呆れたように突っ込まれてしまう。
って、確かに年寄り臭いセリフだよなぁ……シカマル辺りが言えば似合いそうだけど……。
内心失礼な事を考えながら、俺はコーヒーと紅茶を作るために、お湯を沸かし始める。
「『夜』は、紅茶のゼリーでいいよな?」
紅茶の葉を準備しようと、手を伸ばしながら『夜』に質問。
『うん、紅茶の葉は?』
俺の質問に頷いて、質問で返されてしまった。
って、そこまで深く考えてなかったし……。今まさに紅茶の葉を取ろうとしていた手が、ピタリと止まる。
「う〜ん、そこまで考えてなかった……コーヒーゼリーは素直に余ってるインスタントを使おうと思ってたんだけど……」
インスタントコーヒーは、お菓子を作る時に良く使うから結構買い置きがしてある。
シカマルやナルトが時々自分達で作って飲むのも知ってるから、欠かした事は無い。
まぁ、俺が入れるなら、絶対にインスタントは使わないけど……。
俺自身はコーヒーよりも紅茶党なので、自分が飲む為には作った事はないんだけど、やっぱり飲んでもらうなら美味しいモノを飲んで貰いたいから、ちゃんと本見て勉強したんだよな、これでも。
その時の犠牲者が、『昼』だったのは内緒だけど……。
「う〜ん、アールグレイって気分じゃないし、ダージリンはなぁ……。よし、決めたミントティでいいか?」
『ボクはいいけど、珍しいね。ミントでゼリー作るなんて…』
「成せば成る!」
まぁ、作った事はないけど、ミントティをゼラチンで固めちまえば、それでOKだし大丈夫だろう、うん。
でも、この分だと大量に出来るかも……明日の任務の時に差し入れ持っていこう。そうしよう……って、勿論成功したらの話だけど…。
まぁ、紅茶がまともに出来れば食えるものが出来るだろう。
それに、きっと世の中では、珍しくないはずだ!(多分……)
そんな事を考えながら、先にコーヒーを作る。
そう言えば、皆無糖なんだよなぁ……だからってゼリーを砂糖無しにするのは、何だかなぁって味になりそうだから、こっそりと砂糖入れちゃえ!少しなら、気にならないだろうし……。
それから、フレッシュミルクあるから、出来たらそれを上から掛ければ、OK。
って、こっちも大量に出来そうだな……うん、これも明日持っていこう。アスマ上忍とか喜んでくれそうだ。
『、楽しそう……』
「ああ?いや、うん、確かに楽しいけど……『夜』も一緒に作りたかったのか?」
コーヒーゼリーは荒熱が取れたから冷蔵庫に入れて、後は紅茶の方だな……って、もしかしてキッチン使いたかったんだろうか?
『ううん、見てる方が楽しいからいいよ。って、それって、今日のお茶の時間に間に合うの?』
じっと自分を見詰めている『夜』に質問すれば、心配そうに質問で返された。
言われて思わず時計を見れば、もう既に11時を過ぎている。って、お昼の準備しないとヤバイ時間だ。
ああ、だから『夜』がキッチンに来たのか……。
「まぁ、この時間だったら、ギリギリかな……冷蔵庫に入れる前に、一気に冷やして形にしたから、間に合うだろう……って、紅茶の方が出来たら、昼飯作らなきゃだな……何食う?」
『何があった?』
朝から俺がキッチンに篭りっきりだったのだから、その質問は当然かもしれないけど、折角質問してるのに、質問で返さなくっても……。
「う〜ん、そうめん、ラーメン、うどん、パスタ……麺類はこんなモンかな」
『それじゃ、確かナルがお昼には戻ってくるから、ラーメンにする?』
ああ、そう言えば今日はナルト達の班は任務があって、カカシ上忍がちゃんと来たら、お昼には終わるって言ってたなぁ……なら、やっぱり味噌ラーメンでも作るか……コーンとキャベツをバター炒めして乗っけるかな……チャーシューは、流石に無いから卵で我慢してもらおう。
「んじゃ、ラーメンに決定だな」
トッピングも決まったから、こっちは直ぐに出来るな。
んじゃ、紅茶のゼリーを早く作ってしまおう!
ミントティを作って味を確認……うん、爽やかな普通のミントの味だ。
ちょっと砂糖を入れて、後はコーヒーゼリーを作った時と同じように荒熱を取ってから、冷蔵庫に入れた。
これで、ゼリーの準備はバッチリ!後は、お茶の時間までに綺麗に固まってくれる事を祈ろう。
「……『夜』、一つ聞いてもいいか?」
『んっ?何?』
じっと俺の行動を見守っている『夜』に、思わず問い掛ける。
俺を見てて楽しいのだろうか??じゃ、なくって……。
「コーヒーゼリーと、紅茶のゼリーの場合、飲み物って何がいいと思う?」
そう、これだ!だって、コーヒーにコーヒーだと味気ないって言うか、意味が無いような気がするし、それは紅茶の方にも言える。
まぁ、今回俺が作った紅茶の方はミントだから、まだ普通の紅茶にすれば合いそうだけど、コーヒーに合う飲み物ってなんだろう??
『………えっと、やっぱり、コーヒーにはコーヒー??紅茶には紅茶??』
俺の質問に一瞬キョトンとした表情を見せてから、考えるように『夜』が首を捻る。
うん、そうだよな。
絶対悩むよな、これって……。
『……分かんないよ〜っ!』
悩んで、『夜』が諦めたように口を開く。
「まぁ、その問題は、コーヒーゼリーを食ってくれるだろう奴に聞くとして……先に、昼の準備だな」
時計を見れば、既にお昼まで後20分と言ったところだった。
分からない問題は後回しにして、出来ることから片付けよう、うん。