「賛成か反対か聞かれりゃ、反対に決まってんだろう」
尋ねられた質問に、不機嫌そのままに答えを返す。
俺のその言葉に、目の前の相手が恨めしそうに見詰めてくるが、これだけは譲れねぇ。
「シカ〜っ!」
そんな情けない声で人の名前呼んでも反対だ、反対!
「なら、ナルトにも同じ事聞いてみろ、ナルトが賛成すりゃ俺も考え直してやる」
じーっと人のことを見詰めてくるその瞳に根負けして、盛大なため息をついて譲歩。
「よっしゃ!ナルトが認めりゃいいんだな!聞いてくる!」
俺の言葉に、ぱっと笑顔になってそのまま姿が消える。
その嬉しそうな笑顔に、俺は頭を抱え込んだ。
って、聞きに行くって!ナルトは、まだ下忍任務中じゃないのか……。
「そんなに嫌なのか?」
『嫌なんだろうな。オレ達はどちらでいいんだが、お前は、嫌なのか?』
『う〜ん、そうだよね。ボクもどっちでもいいんだけど、シカは嫌なんだ、何で??』
消えてしまったその姿に、思わず疑問をぶつけた瞬間、逆に質問を返されてしまった。
って、そう言えばこいつらもずっとここに居たんだったな。
「そんなの嫌に決まって……って何でお前等はどっちでもいいんだよ!」
『だって、別にコンタクト外す訳じゃないし、の綺麗な顔を隠しているのって、すごく勿体無いと思うんだよね』
確かに、綺麗な顔を隠してるつーのは、勿体無いかもしれない。
じゃねぇつーの!
「そうじゃねぇだろう!上忍の中にゃあいつの親の顔知ってる奴だって居るかもしんねぇんだぞ!」
『う〜ん、それは確かに困るかもね。ってば、ママさんそっくりだし』
『確かに、を知っている者は、主の顔を知っているからな……知られたら、不味いな』
「だったらナルトが反対する事を祈っとけ!」
「シカマル!お前、何言ってるんだよ!!」
めんどくせぇが、ここはナルトに判断を任せるしかねぇ事を言えば、その瞬間勢い良く窓が開いた。
「お前、今任務中じゃ……それに、この速さで良く来れたな……」
が姿を消して10分も過ぎていないつーのに、窓から凄い勢いで入ってきたナルトに、俺は思わず関心してしまう。
渡りを使える訳じゃねぇつーのに、良くこんな短時間で……。
「んな事はどうでもいいだろう!それよりも、あれってばどう言う事だ!!」
「聞いてくれよ、ナルトってば、力一杯反対したんだぜ、酷いと思わねぇ……って、ナルト?!」
そして、こちらは渡りで戻ってきた。
って、渡り使うよりも早いってどう言う足してんだこいつ。そりゃ、も驚くだろう、渡り使った自分よりも先に、ナルトが戻ってきているんだからな。
「そんなの反対するに決まってるだろう!」
「って、前髪切るぐらい、別にいいじゃんか!!」
そう、全ての始まりは、のこの言葉から始まった。
確かに顔の半分を覆う前髪が邪魔だつーその気持ちは分からなくもねぇが、それだけは絶対に駄目だ。
無駄にライバルを増やしたくないのは、ナルトと俺の正直な気持ち。
『、二人が反対してるんだから素直に諦めろ』
「う〜っ、シカマルなんかに聞かず、黙って切ればよかった……」
確かに聞かれたから反対したのは本当だ。
大体、『行き成り前髪が短くなったら怪しまれるかな?』つー質問をされたら答えはイエスとしか返せない。
ずっとその姿で過ごしていたてぇのに、行き成りスタイルを変えるのは、かなり怪しい事だ。
「黙って切ったりなんかしたら、の事絶対に許さないからな!」
ボソリと呟かれたの言葉に、ナルトがキッパリと言い切った。
そう言い切られて、はかなり悩んだ末に小さく息を吐き出す。
「分かった。ナルトがそう言うなら、このままのスタイルでいる。それでいいんだろう!」
諦めたように宣言されたその言葉に、俺とナルトが同時に胸を撫でおろした事は秘密にしておこう。