淡い月の光の中

薄い桃色の雪が降る

・・・さぁ

お花見をはじめましょう

 

 

夜桜、中編

 

 

「ナ〜ルっvv」

「うわっ!!」

先にシカマルと2人で酒を飲んでいたナルトは

突然後ろから抱きつかれ、声を上げた

パシャン、と杯の中の酒がはねる

「何するんだよ、キュウ」

「え〜?抱きつきたくなっただけ〜vv」

そう笑っていったキュウの顔がナルトの死角でニヤリと意地悪げに笑う

「っ!!」

「?シカ?どうかした?」

「・・・いや、・・」(っのやろ、今の笑い、絶対ぇわざとだ/怒)

明らかに自分に向けての笑いに

シカマルは顔をしかめたが

キュウに抱きつかれたままのナルトが

ちょっと心配そうに顔をのぞき込むと、少し視線をずらして何でもないと答える

「ナル、一応作った夜食も持ってきたんだが、食べるか?」

会話の途切れたところを狙い、コオが夜食の包まれている風呂敷を持ち上げてみせる

「!食べるっ」

「あ、ナルっっ」

それにナルトは目を輝かせ、キュウの腕から素早く出るとコオとシカマルの間に座る

「うっわ、おいしそ〜vvありがとコオv」

包みを開いて現れたそれに、ナルトは嬉しそうな声を上げる

「どーいたしまして、・・でもナル、お前自分で作った方が上手くできるだろ?」

おいし〜vv、と言って夜食をつまむナルトにコオは少し不思議そうな顔をする

それにナルトは笑って

「上手とか下手とかじゃなくて、誰かが作ってくれたものだから、

だから自分で作った奴より、嬉しくて

美味しく感じるんだ」

そう、にっこりと可愛らしく笑って言う、不意打ちのそれにコオは少し赤くなりつつ

「そーいうもんか?」

と言って、赤い顔をごまかすように酒を煽る

それをにこにことナルトは眺め、ほんわかした空気が流れる

 

 

 

・・・と、それをぶち壊したのは・・言わずもがな・・キュウだった。

「ナル〜vじゃあ、今度は私がご飯作ってあげるvv」

 

 

 

 

 

「ぶっっ!!」

「っっ!?!?」

その言葉にコオは飲んでいた酒を吹き出し

ナルトは口に運んでいた料理を喉に詰まらせ、

それにシカマルは慌ててナルトの背中を叩いてやる

「ナルっ、大丈夫か!?」

「っ、けほっ、大丈夫・・・大丈夫だけど・・・・・キュウ!

いや、キュウ姉!頼むから、マジ頼むからそれだけはやめて」

ナルトの懇願の横でコオは思いきり頷く

それを見、シカマルはおそるおそる聞く

「・・・・・・そんなに、ひどいのか?」

何を、とは聞かないで置く

それにナルトは思いっきり頷いて

「すっごく!!この前は鍋が爆発したし、

その前は、絵本の中の魔女が作るようなおどろおどろしいムラサキ色した謎の液体が出来た

・・・・ちなみに、それ、その日の任務で敵に向かって投げつけたら・・

・・・・・・・・(汗)」

その時のことを思い出したのか青くなって口をつぐむナルト

・・・・なんともいえない空気があたりを包む

「・・・あの時のあれって私のカレーだったの?!

っつーか、人がせっかく作ったもの投げないでよ!」

「「あれってカレーだったのっっ?!!」」

・・・・・・・ムラサキ色のカレーって・・(滝汗)

キュウを除く一同にイヤな汗が流れた

 

 

 

 

 

・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・

 

 

 

 

 

「おっ!これ”淡雪”じゃねーか、どうしたんだこれ、

滅多に手に入らないことで有名な奴のはずだろ?」

何とか、気を取り直して花見を続けると

ある酒の銘柄を見てシカマルが声を上げる

「あ〜・・それ?確か、この前キュウが・・・」

「ん?あぁ、それ?ほら、この前、水の国の大名暗殺の任務あったでしょ?」

キュウの言葉にシカマルは頷く

「・・・あぁ、めずらしくナルが2人共連れてった時のやつだろ?」

その言葉にナルトの声が割り込む

「そうそう、それそれ、ホントはシカとの任務だったんだけど、キュウが

“私とコオがついてくからインと組まさなくても良いわよv”って

じっちゃんに言って、単独になったんだよな〜」

「はぁっ?!何だよそれ、聞いてねーぞ!」

聞き捨てならない言葉に俺は大声を出す

しかも、キュウの場合、“言った”んじゃなくて“脅した”だろーが!

ジトッと睨む俺にキュウは笑って

「ほらほら〜、もう終わったことなんだから怒らな〜いv

・・でね、その時にちょっともらってきたのvv」

「は?」

・・・・もらってきた・・・って?

思わず目を点にした俺に、ナルトは呆れた目でキュウを見ながら

「・・・その時な、キュウには陽動を頼んでたんだけど、

俺たちが任務終わらして合流したとき、こいつ、

城の貯蔵庫から酒、いくつもかっぱらってきてたんだ」

「だってぇ、死んじゃったらお酒なんていらないでしょ?有効活用v有効活用vv」

にっこりと笑ってそう言うキュウに3人は、はぁ・・・と揃ってため息をついた

「まーまー、別に悪い事してるわけじゃないんだからvv

・・・あ、そだ!ナル、これ飲む?」

ふと、キュウは古ぼけた銘の入ってない酒をナルトに見せる

「・・?何、それ?」

ちゃんと小首を傾げてそう言うナルトにキュウはにんまりと笑って

「んっふっふ〜vv聞いて驚け〜v

なんと!酒じぃの作ったお酒なのだ〜vv」

「!!うそっ!酒じぃの?!飲む!!」

「・・酒じぃ?」

うわ〜、久しぶり〜vvと目をキラキラさせて

自分の杯に酒をついでもらっているナルトに

シカマルは誰だそれ?と、問う

「〜〜っvvおいし〜vやっぱ酒じぃの造ったお酒ってさいこ〜v

・・あ、酒じぃってのは、すっごいお酒好きの妖で、すごく酒造りが上手いんだv

シカも飲んでみ?」

にこっと笑って自分の口付けた杯を差し出すナルトにシカマルは柄にもなく慌てる

「えっ、あ、・・・い、いいのか?///」

ナルは何が?と言うような顔をしているが・・

・・・その・・これは・・・・いわゆる間接キスというやつで・・・/////

ナルは絶対に分かってないのは分かってるケド・・

・・・・あ〜っっ、キュウとコオの視線が痛ぇ

・・でも飲まなかったら飲まなかったで、2匹の非難を浴び、

しかも、ナルトを傷つける事に繋がるわけで・・・

そんなことをぐるぐると考えながら、恐る恐るそれに口付ける

 

 

「!!うめぇ!」

「でしょ?」

恐る恐る口付けたそれは、

間接キスだとか、そう言うものが一気に吹き飛ぶ程

純粋に美味かった

「ああ、今まで飲んだやつの中で一番美味かったぜ」

俺がそう言うとナルは自分のことのように嬉しそうに笑った

「へへ、シカにそう言ってもらえて嬉しい

・・・今度、いっしょに酒じぃのとこに行こーね」

「ん、そだな」

2人でそう言って笑い合い、

ほんわかした和やかなふいんきが2人を包む

 

 

 

「あ、そーだ、ナルナル〜」

・・・・さすが、・・と言うべきだろうか

常人では壊せなさそうな2人の世界をものの見事にぶち壊したキュウは

べったぁ〜とナルトに抱きつく

「うっわっっ・・ちょ、キュウ重いって」

抗議の声をあげるナルトには

お構いなしにキュウは言葉をかける

「まだ、“あれ”やらないの〜?」

ニヤっと笑っていった言葉にナルトは赤くなって慌てる

「なっ!!何で俺がそれするって・・」

「だって、ナル、呼ばれるといつもしてるじゃん、

呼んでくれたお礼とか言ってさ、・・・ま、私たちを帰らせてからしてたけど」

「・・・・・見てたのか」

じろりとキュウを睨み付けるが、真っ赤な顔で睨んでも全く持って怖くない

むしろ、可愛らしいとキュウは思う

「なー、ナル、あれって?」

それまで2人の会話を傍観していたシカマルが口を挟む

それにキュウはしめた!と言う顔をし、逆にナルトは狼狽える

「し、・・シカ(汗)、・・あれ・・・は、

・・う〜・・・と、その・・・・・

・・ああもう!分かったよ、やればいいんだろやれば!!

キュウ、シカを使うなんてきたねーぞ!

・・はぁ、・・コオ、どーせ、持ってきてるんだろ?どこだ」

「向こうに木の陰に置いてある」

シカマルの問いに口ごもっていたナルトだったが、急にやけになったようにそう叫ぶと

コオの指したところへと向かっていった

 

 

 

 

「な、何なんだ一体・・・・」

1人訳の分からないシカマルは呆然と呟く

それを聞き止めたキュウはにっこりと振り返っていった

「ありがとねイン、インのおかげで今回は久しぶりにどうどうとナルの晴れ姿が見れるわv」

「いや、だから一体何なんだよ、話が全く見えねーんだけど・・

しかも、晴れ姿って?」

その言葉にキュウはん〜・・と少し首を傾げて

「・・一言で言うなら・・・賭けに勝った?」

「・・・なんだそりゃ」

ますます訳の分からない返答にシカマルは頭を悩ませる

 

 

 

「インはあれ見るの初めてだろ、楽しみにしてろよ」

楽しそうな声でそう告げてきたコオに

シカマルはもう何度目かになる言葉を口にする

「だから、あれって何だっての」

それにコオは意味深に笑って

「・・まぁ、見ていれば分かるさ、・・それより、静かにしてろよ?」

まるで小さな子供に言うかのようにそう言ってから、コオは口を噤んだ

いつも騒がしいキュウも、じっと座って桜を眺めている

 

 

・・・まるで何かを待っているかのように・・・

 

 

不思議に思いつつも、シカマルもそれに従って桜を眺めた

 

 

 

 

 

 

 

誰も口を開かず、動かずにいる

それだけで辺りは、しん・・と静まりかえり

風が木を揺らす音だけが聞こえる

 

 

 

 

 

 

どのくらいの間、そうしていただろうか

・・ふいに風がやみ

辺りに音が消え失せた

 

 

・・・・その時だった

 

 

 

 

                                                    fin

 

 

あとがき

・・・・すいません、また長くなったんでいったん切ります。

なんでだ?!内容は薄っぺらいのに(それもそれで問題あり)!

・・いや、キュウが勝手に暴走するんだよ、うん

つ、次で確実に終わるんでっ!(逃げっ)

白ネコモカ様より、相互お礼に頂きました。

前に頂いた小説の続きになります。

これから何が起こるのか意識はシカマルさんと同じです。

さらに、続きを楽しみにしておりますね!

素敵な小説を有難うございました。