蒼白い炎が燃え

元は人だった物を焼き尽くす

「任務完了」

それを見ていた小柄な暗部はそう呟いて

上を見上げた

 

 

 

 

夜桜

 

 

 

 

「キュウ、そこにいるって事は、そっちも終わったのか?」

その暗部の口から発せられた言葉に

見上げていた木の上から

ひらり、と

人影が飛び降りてきた

「さすがね、ヨウ。もう私の気配も読めるようになっちゃったんだ」

驚かそうと思ったのに、そうおどけたようにいうキュウに

ヨウははぁ、とため息をついてから、面とフードを外した

「当たり前だろ、キュウ。何年いっしょにいると思ってるんだ?」

「っ///」

そう言って、ふわり、と見せた柔らかい優しい笑みに

キュウは目を奪われた

 

 

「・・・?お〜い、キュウ?」

急に固まってしまったキュウにナルトは首を傾げて

キュウの目の前で手を振る

「っ!!」

「あ、やっと気がついた。どしたんだよ急に固まっちゃって」

こてん、と心底不思議そうな顔でそう問うナルトに

キュウはニコパっと笑っていう

「え〜?あんまりナルが綺麗で可愛いからついつい見惚れちゃったv」

ふざけた口調に本音を織り交ぜてそう言うと

ナルトの顔が一瞬で朱に染まる

「なっっ////・・・キュウっ!!」

「くすくすくす、ほら、任務も終わったことだし早く帰ろ?

インとコオ、待ってると思うよ?」

笑いながら先に走り出すと、後ろから

人をからかうなっっ!!、と声が聞こえてきたが

それを、さらりと受け流して

夜の森を2人で走り抜ける

 

 

 

 

 

 

 

・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・

 

 

 

 

 

 

 

「・・・?」

ふと、何かが聞こえた気がしてナルトは立ち止まった

「・・・ナル?。。どうしたの?」

ナルトが止まったことに気づいたキュウも少しナルトより進んだところで

立ち止まり、振り返る

「・・・・・・呼んでる・・のか?」

しかし、ナルトはキュウに呼ばれたことすら気づかずに

森の奥を見つめ続け・・・

「!?あっ、ナル!!?」

突然、森の奥へと走り出した

それに、驚いたキュウだったが、すぐに我に返り

ナルトの後を追う

 

 

 

 

 

・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・

 

 

 

 

 

 

 

どのくらい・・走っただろうか

入ったことのない森の奥、闇の中を走り続けて

ふっと、急にひらけた場所に出てナルトは足を止めた

 

 

 

そこから、ゆっくりと歩みを進める

・・・・と、その先に見えたものにナルトは声を漏らした

「う・・わぁ・・・」

 

 

 

 

 

そこにあったのは見事な桜の木

花も満開で、ヒラヒラと風に乗って花びらが舞う

その上には、満月が輝いていて・・・

・・・・とてもとても美しい光景だった

 

 

 

 

「ナル、急に一体どうし・・・」

ようやくナルトに追いついたキュウは

幻想的な風景を目にし言葉を失う

それに、ナルトは微笑んで静かにいった

「・・・呼ばれたみたい」

「・・・そっか、ナル、呼ばれたんだね」

見事な桜の木を見上げ、キュウもしばし見惚れた

 

 

 

 

「・・・・ねぇ、キュウ」

「何?ナル」

「・・明日って、任務無かったよね?」

「・・・・・!そうだったわね!!」

桜を見上げたまま会話をしていた2人だったが

ナルトの言いたいことが分かったキュウは、バッとナルトを見る

その視線に気付いたナルトはキュウを見、ニヤリと笑う

「せっかく呼ばれたんだ、あいつらも呼んで花見、しよーぜ?」

「っvりょうかいっvv」

 

 

 

 

 

・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・

 

 

 

 

 

「ナルたち、遅いな〜」

本から目を離さず、コオは1人呟いた

今日は任務が入らなかった(ナルトに連れて行ってもらえなかった)ので、

この前、図書館から借りてきたミステリー小説を読みつつ

それを肴に酒をちびちび飲んでいたのだ

 

 

「ただいま〜・・ってコオ?あれ、ナルたちはまだ戻ってないのか?」

戸が開き、入ってきた気配にコオは顔を上げる

「よ、イン、・・そうなんだよなぁ、まぁ、あの2人のことだから心配いらないと思うんだけど・・

・・・ま、大方ナルかキュウが寄り道してってとこだと思・・」『コオ、コオ』

『どうしたんだ、キュウ』

「コオ?どうしたんだ」

急に黙り込んでしまったコオにシカマルは声を掛ける

・・が、全くコオは反応せず、じっと空を見つめている

『んふふvvナルから伝言v』

『ナルから?・・・何だ?』

『家にあるだけの酒持って、こっちに来いってvすっごいいいもの見つけちゃったんだvv』

『いいもの?』

『うんv・・・要するに、花見でいっぱい月見でいっぱいしよっかってvv』

『!!へぇ・・・了解、インもちょうど帰ってきたし、2人でこれから向かうから』

『え〜、ちぇっ、イン、帰って来ちゃってたんだ〜、ナル1人じめにしよーと思ってたのに〜』

『おいおい』

『ま、ナルは4人でやりたいみたいだからしょーがないかあ・・

・・じゃ、待ってるから早く来てね』

『・・・了解』

 

 

 

「・・コオ?」

「イン」

何度目かになる呼びかけでようやく反応を返したコオに

シカマルが口を開こうとしたその時

インは素早く立ち上がり、シカマルに指さして言った

「酒、あるだけ待ってこい」

「はぁ?!」

「いーから酒持ってこいって、これから面白いとこ行くから」

そう言って、ナルトのために作って置いた夜食を持っていくため、台所へと

向かうコオにシカマルは混乱しつつも口を開く

「面白いとこってどこだよ」

「・・あ〜、言ってみてからのお楽しみ?・・つか、俺も分かんねぇし」

「おいっ!!」

 

 

 

 

 

 

・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・

 

 

 

「・・・・・よっし!!」

目を閉じ、コオへ心話を送っていたキュウは、目を開いた

「終わった?」

ちょこんと小首を傾げてそうきくナルトにキュウはにっこりと笑っていった

「もち!ちょうどインも帰ってきたし、出来るだけ早くくるってvv」

「そっか、じゃあ、花でも見てよっか」

「そーだね」

 

 

 

2人はその場に座り込んで、桜を見上げた

「きれいだね〜」

「そーだな」

「んでもって、見事な満月だね〜・・・・って、あり?」

「・・どーした?キュウ」

「・・・・・ナ〜ルvv」

急に下を向いたキュウに声を掛けると、そこから現れたのは

いかにも悪巧みしてますvっていう顔

本能的にナルトは後ずさる

「きゅ・・キュウ?」

「今日が満月って事は・・さvvナル、変化解いてvvv」

「っ(や、やっぱり〜っっ)、絶対ヤっっ!!」

首を振りながら後ずさるナルトにじりじりと近づくキュウ

と、その時、ようやく現れた気配にナルトは飛びつく

「シカ〜っっ」

「おわっ!?ナル、どうした?」

突然抱きつかれ、バランスを崩しかけたシカマルだったが、すぐに持ち直し、そうナルトに尋ねると

ナルトはぎゅうっ、とシカマルに強くしがみつき

「キュウがイジめる〜っっp、シカ助けてっっ」

そう言って、ちょっと潤んだ瞳でシカマルを見上げる

それを正面から見てしまったシカマルの顔は真っ赤に染まり

コオはジト目でキュウを睨めつける

「・・・・キュウ」

「〜っ、だってだってぇ、ナルのかっわい〜女の子姿見たかったんだもんっっ!」

その言葉にコオは、だからってナルの嫌がる事するんじゃないと言って

ポカリと軽くキュウの頭を叩く

「ったく・・・ナル、とりあえず、花見、するんだろ?」

ナルトの方へ振り返っていった言葉に、シカマルはえ?と振り返る

そこに見えるのは見事な桜

思わず、息をのんだ

「すっ・・げ、もう里の桜はみんな散っちまってんのに・・・・」

呆然とそう漏らすシカマルにナルトはにこりと笑ってシカマルの腕を引く

「行こ?こんな綺麗な桜なんだから・・花見、しないともったいない」

「・・ああ、そうだな」

ナルトに連れられて笑いながら桜の木の方へ歩いていく2人を眺め

キュウはぼそりと呟く

 

 

 

「・・・・なぁんか、ムカつかない?」

「・・・・・・同感、とりあえずあれからナルを取り返しに行くか」

「さんせ〜い」

そんなちょっと不穏な会話をしつつ、2匹も2人の後を追ったのだった

 

                                                    fin

 

 

あとがき

・・・・すいません、長くなりそうなんでいったん切ります

次、VSになるかな〜、うん、少しはなる・・はず・・・・(汗)

むしろ、前々から考えてたあのシーンがメインになりそう

・・・・・頑張ろう(滝汗)

白ネコモカ様より、相互お礼に頂きました。

ビジュアルが浮かぶ小説ってすっごい大好きです!

読んだ瞬間に、幻想的な景色が浮かびました。

しかも、コウとキュウ実はこっそりと大好きです。(いや、こっそりじゃないから……)

続きがあると言う事なので、また楽しみにしております!

素敵な小説を本当に有難うございました。