何時ものように掃除をしていたら
くんが額縁の裏側を覗いているのを見つけた。
他に花瓶の底とか中とか……背伸びをして置物の首を取りその中を覗き、かぽっと戻すと今度は裏を
(これってやっぱり、アレを探しているのよね……)
この屋敷には当たり前のように生息している白い恋人……じゃない、白い物体。
最近、毎夜毎夜人の枕元に武器を捧げられ、供物を置かれて寝不足プラスストレスがたまり気味で……思考回路が空回りして変な方向にスリップしていくところだったわ!!
「
くん、どうかしたの?そんな絨毯の下を覗き込んで」
「あ、
ちゃんではないか、ん〜〜〜〜実は恒例の定期健診なんだが」
べろんと絨毯を引っ繰り返して、戻してとやっている友人に掃除の手を止めて、近づいて………早速、心の底から後悔をした。
悲鳴を飲み込みながら、かぽっと右手で口を覆うと思いっきり目線を逸らす。
(私、最初の時点で色んなものを間違った気がします!先生っ!!高給でも私、そろそろオー人事に駆け込みたいんですけどっ!!)
「
くん……そ、それ……」
「ん?あ〜〜〜〜これ、実は投網が破けてな〜仕方ないから、台所にあったものをぱちくってみた」
「ぱちくるって……それ、生ゴミの袋じゃ……」
「な〜に大丈夫だ、燃えるゴミにはださんから」
そういう問題じゃないと思うのは私だけ?!ねぇ、私だけなのっ?!
くんの右手にしっかりとビニールの口が握られ、半透明のゴミ袋の中にびっしりと詰め込まれていたのは白い物体。
最大限に伸びたビニールにぺったりとくっつく顔、顔、顔、顔?
特に気にせずにただ詰めたのだろう、上を向いたり下を向いたり斜めを向いたりしながら、びっちりと詰まってる。
(
くん!!それ、今にもビニール袋が千切れそうなんだけどっ!!しかも必死にうごめいてるしっ!!)
うごうごと、何処か緩慢にうごめいていたものが、唐突にそのうごめきを激しくしたのを見て、ひぃぃぃぃっと心の中で悲鳴をあげる。
ホラーよりもよっぽど怖いっ!!よっぽど怖いんですけどっ!!それ!!
「で、恒例の定期健診なんだが、53号が見つからなくってな〜大捜索中なのさ」
「53号って、あのダンボール箱を抱えて屋敷の中を疾走していたダミアンちゃんのこと?」
ダンボール箱を担いで走り回る、その走りはまるでベンジョンソン。
良くあれで前が見えるな〜と何時も何時も感心していたが、そういえば最近、その姿を見ていない。
そして、
くんの様子を見る限りでは、所定の位置にいないらしい。
これでも製作者だけあってか全ての居場所を把握しているっぽいから……
「そ、そのダミアンちゃん、1ヶ月前から実は行方不明でな〜流石に、そろそろメンテナンスをせねばと思い出して」
「1ヶ月前から行方不明なの?!!それって大丈夫なの?!」
屋敷の外にあんなものが出たら、それはそれで大問題なような気がするんだけど?!!
何しろぬいぐるみが動いている時点で、色々とホラーなのに、そこにプラスしてあの外見。
下手すればUFO研究家に連れて行かれるんじゃあるまいか……UMAとして
「大丈夫だと思うぞ、中身が抜けなければ、可愛い可愛いうさぎさんらしく拾ってくれた人間には無償の愛を贈呈すっから」
「……そ、そう……」
そういう問題じゃないのよ、私が心配しているのはそういう問題じゃないの、
くん
でも、それを言ってしまうと傷つける事になるかもしれないから、言えない自分の勇気の無さが悲しい
「お兄様、実はお困りで、私の力がお入用ではありませんの?」
「あ、
、良いところに、実はそうなんだよな〜」
あの……壁から少女が出てきた場合、どういう反応を示せばいいんでしょう?
しかも当然のように
くん、対応してるしっ!!
黒髪美少女は
くんの妹さんだと知っているけど、何かおかしいわ!何かが確実におかしいのっ!!
「そんなお兄様にお似合いなものはこれ」
「なんだ?このショッキングピンクな扉」
「私が研究開発した、どこでも異世界ドアですわ……この宇宙には幾つもの世界があるのはご存知ですわよね?お兄様……それを無理矢理に繋ぐ事が出来る画期的アイテムですわ」
どこでも異世界ドアってなに?!
というかどうしてそんなものが研究開発出来ちゃうの?!!
「へぇ〜〜〜〜便利なものを開発したな、流石、
」
「お兄様ならそういってくださると思いましたわ」
そして、
くん、如何にも怪しい扉にそれだけで済ませるところが流石だわっ!!
流石、あの白い物体の製作者、普通のことじゃ動じない。
「それで、これって今は何処に繋がってんだ?」
「1ヶ月ほど前にダンボールを抱えたダミアンちゃんが入っていってしまった世界ですわね」
「……
……?…」
「研究開発してそのまま放置しておきましたら、ダミアンちゃんが興味を示して、何時の間にか入っていってしまったのですの」
ダミアンちゃん53号、行方不明事件の元凶がにこやかに笑ってる、悪びれもなく……
がちゃっと
くんが迷いなく扉を明けるのにぎょっとした。
そのままひょいっと行ってしまうのに思いっきり焦る。
「あの……
、さん……」
「
でいいですわ、同じ名前の方……なんですの?」
「これって、一方通行とかじゃないですよ……ね?……」
そんな会話がされているとは露知らず、俺はてくてくと見慣れたような見慣れないような街並みを歩いていた。
時折、市民の皆さんのぎょっとしたような眼差しが右手に注がれるが、うん、気にするな
ダミアンズ同士は他のダミアンちゃんを見つけ出す事が出来るから、便利なんだよ、持ってたほうが
「それにしても、何時か来た街……つか、ここって並盛町か?」
首を傾げていれば、袋の中のダミアンちゃんが一軒の家の前で反応を示した。
表札を見てみれば沢田……おや、つなよしさんの苗字と同じ
ぴんぽーんとインターホンを押してみるが、反応はなく、どうやらお留守と判明。
「う〜〜〜〜しゃ〜ない、あんまりやりたかないが、ダミアンちゃんをカスタマイズするためだ」
あの部屋の窓が良いなと二階の窓へとちらりと目をあげる。
鍵は開いていて、窓が開いている証拠にカーテンが揺れていた。
丁度良くでっぱりもあるし、ま、いけるな
「………よいっしょっと」
塀をよじ登って塀から窓へと飛び移る。
腕の力で体を引き上げ、お家の中にお邪魔します。
部屋の中をぐるっと見回して、あ!!っと小さな声をあげた。
「……あ〜〜〜〜〜見つけた、ダミアンちゃん53号」
あのシルエットはまさしくダミアンちゃん53号。
ダミアンちゃんにた〜〜〜〜と駆け寄り、ずべしっと思いっきり右手に持ったダミアンズ詰め合わせで叩き伏せる。
「ふ〜〜〜〜ふ〜〜〜ふ〜〜〜〜〜見つけたぞ、ダミアンちゃん53号」
もがもがと袋の下でもがいているダミアンちゃんが何か言いたげなのに気づいて、仕方なく重石を持ち上げてやる。
必死に手振り耳振り、訴えてくるダミアンちゃんにうむうむと頷いて、仕方ないと息を吐く。
ダンボール箱の中にはそっと入れられたバスタオル、飼い主の人間は優しい心の持ち主らしい。
「しゃーない、分かった……頑張って守るんだぞ?」
こくこくと必死に頷いているダミアンちゃんを手早くカスタマイズして、そっとそれをダンボール箱の中に潜ませておいた。
製作者としての最低限の事はせんとな。
優しい、ダミアンちゃんの飼い方入門。
これで、まぁ……頑張ってくれ!!
haruka様すみません、すみませんです
感動の再会にはなりませんでした、こっそりとダミアンちゃんの飼い方入門をば
本当にすみません、あの素晴らしい文にこんな駄文を(T▽T)
ツキハナさま、有難うございます!
いえいえ、逆ですよ!あの駄文に、こんな素敵な作品を本当に有難うございます。
ダミアンちゃんの飼い方入門確かに頂きました。(笑)
頑張って、アキさんに世話をさせますね。