「『夜』、何か用事あるんだって?」
シカマルに言われて、俺大好きな風呂の時間を切り上げてキッチンで夜食を準備しているだろう『夜』へと声を掛けた。
『、今日は早かったんだね。う〜んと、ボクが用事あるって、何?』
楽しそうに料理を作っている『夜』が、俺の質問に不思議そうに首を傾げる。
逆に質問された内容に、俺は思わずため息をついた。
「……シカマルに騙されたか……」
何となく、シカマルがナルトの悩んでいる理由を俺に聞かせたくないって言うのが理由だと分かるから、騙されたフリをした方がいいんだろう。
多分、ナルトも俺に聞かれたくないと、そう思っているようだから……。
『夜食、もうちょっとかかるから、待っててね。後ね、に頼まれてた招待状をあの人に持っていったんだけど、『その気持ちだけで十分だ』って、返されちゃった……ナルにね…ナルに会うのは、まだ許されないからって……』
考えこんでいた俺に、『夜』が声を掛けてくる。
夜食の事に続いて言われた内容に、俺は小さく息を吐く。
そう言われる事は分かっていたのだ。
返されたそれを受け取って、もう一度ため息。
「まぁ、根気良く毎年誘ってみるか……」
『そうだね。ナルとあの人は、一度ちゃんと会って話をするべきだと思うから、、頑張ってね』
一度断られたぐらいで諦めてちゃいけないと、気合を入れた俺に、『夜』が楽しそうに励ましてくれる。
うん、俺もそう思うから、頑張ろうと思えるのだ。
「んじゃ、騙された事に対して、シカマルに文句でも言いに行くとしますか……」
『行ってらっしゃい!』
受け取ったそれを一瞬で灰にして、伸びをする。
それから、ゆっくりとした足取りで来た方向へと戻った。
後ろから『夜』が手を振ってくれているのが分かり、苦笑を零す。
まぁ、今回は、断られちまったけど、まだまだ先は長いんだから、気長に頑張るしかねぇか……。
何時か、あの親子が出会えればいいなぁと、そんな未来を考えながら、風呂場へと戻った。