「あれ?サクラちゃんにいのだってば、何食べてるの?」

 珍しく仲良く二人で居るその姿を見付けて、俺は声を掛ける。

「あら、ナルトじゃない。今日は一人なの?」

 俺が声を掛けたら、サクラが質問で返してきた。
 って、俺の質問は無視かよ……。

「今日は一人で修行中だってばよ。で、二人とも、何食べてるんだってば?」

 俺は内心でため息をつきながらも、しっかりとサクラの質問に答えて再度同じ質問。

「何って、クレープ食べてるのよ」
「クレープ?」
「そうよ、最近出来たクレープ屋さんのクレープ。すっごく美味しいんだから!」

 手に持っているのは、紙に包まれている何かで、それを嬉しそうに見せながら、サクラに変わっていのが説明してくれた。
 クレープって、なんだろう??

「ねぇ、ねぇ、クレープってなんだってば?」

 嬉しそうに手に持っているそれを食べているいのとサクラに、俺は素直に疑問に思った事を口に出す。

「なに、あんたってばクレープ食べた事ないの?」

 俺の疑問に、いのが信じられないと言うように聞き返してくる。
 って、そんなに有名なものなのだろうか??

「まぁ、男の子はそんなに食べるモノじゃないかもしれないわね。普通に売ってるのは生クリームとかチョコレートとかが普通だし……」

 意外だと言ういのとは違って、サクラは普通に答えてくれる。
 生クリームとかチョコレートって事は、お菓子なのか?

「まぁ、確かにチョウジみたいに甘いものが好きって言うのじゃなければ、好んでは食べないかもね」

 サクラのそれに、いのも納得したのか持っていたそれに、パクリと口を付けた。

 えっと、やっぱり甘いモノって事はお菓子なんだよな、多分……。
 結局、俺の質問には二人とも答えてくれない。

 クレープってなんなんだろう……。

「ナルト!漸く見付けた」

 疑問に思って首を傾げていた俺は、突然肩を叩かれて正直かなり驚いた。
 まぁ、俺に気配を悟らせずに近付ける人なんてこの里と言うよりも、世界には一人しか存在しないけど……。

、ビックリしたってばよ。って、俺の事探してたんだってば?」

 素直にビックリしたと言える相手は、きっとだけだろう。
 だって、他のどんな奴だって、俺にはその気配を感じる事が出来るのだから……。

「うん。いのと春野さんも、一緒だったんだ。あっ、それってつい最近出来たお店のクレープだよね。すっごく美味しいんだよね」

 漸く見付けたというその言葉に反応して聞き返した俺に、素直に頷いて、それからいのとサクラがいる事に気が付いたがその手に持っているモノを見て、嬉しそうに口を開く。
 って、もクレープを知ってるんだ。

「って、あんたもう食べてたの?」

 だけど、その言葉に、いのが信じられないと言うように口を開く。

「信じられない、出来たばっかりだけど、結構人気あるのに……」
「うん、一緒に住んでいる人が、そう言うの好きで、僕の分も買ってきてくれたんだよ」

 だから食べられたのだと、話すに、その相手がきっと『夜』だと瞬時に理解してしまえる自分が悲しい。

「羨ましいわね……私達は、念願かなって漸く食べられたって言うのに……」

 そんな俺の心情などには全く気付きもせずに、いのが羨ましそうにを見た。

 まぁ、『夜』はの為ならそれぐらい平気でするだろうなぁ……。
 って、結構甘いモノが好き見たいだし……。
 楽しそうにいのとサクラの二人と話をしているに、俺は小さくため息をつく。

 って、俺を探してたんじゃなかったっけ??

「で、なんだってば?」
「ああ、ごめんね、すっかり忘れてた。ナルトにも、そのクレープを食べてもらいたいなぁって思って探してたんだよ」

 それに少しだけむっとして、へと問い掛ければ、素直に謝罪して探していた理由を教えてくれた。

「えっ?俺も、いいんだってば??」
「勿論」

 素直に話してくれた内容に、俺は驚いて思わず聞き返してしまう。
 それに、ニッコリと俺の大好きな笑顔で頷かれてしまった。

「良かったわね、ナルトって、クレープ食べた事ないんだから、調度良かったじゃない」
「えっ?ナルトって、クレープ食べた事ないの?」

 思わずその笑顔に癒されていた俺は、サクラの言葉で現実へと引き戻された。
 サクラの言葉に、が驚いたように俺に質問してくる。
 それに、俺は素直に頷いて返した。

「それじゃ、美味しいクレープ食べに行こう」

 そんな俺に、は笑顔で手を取ると歩き出す。
 素直に従う俺に、後ろからサクラといのの視線が感じられて、何だか恥ずかしい。

 それでも、その手を振り払う事は出来ないけれど……。

「なぁ、

 だけど、まだ疑問は消えていない。
 少し前を歩くに、俺は声を掛ける。

「んっ?」

 声を掛けた俺に、は振り返って首を傾げた。

「結局、クレープってなんだってば?」

 そう、いのもサクラも結局この疑問には答えてくれなかったのだ。
 そんな俺の質問に、は笑顔で説明してくれた。


 クレープとは、パンケーキの一種だと。
 ってことは、やっぱりお菓子なんだと納得した俺に、が少しだけ困ったように追加説明。
 それによると、塩味を基本にした生地もあって、一概にお菓子だと言えないと言う事。
 うん、そう思うと、お菓子にしても奥が深いとそう思ってしまう。

 そして、が進めてくれたクレープは、そんなに言うほど甘くなくって、本当においしかった。