ボンッと言う派手な音が聞えてきて、俺とシカマルは同時に立ち上がって音のした方へと急いだ。
もう、コレは条件反射とも言える行動。音が聞えて来たのは、キッチン。
「!」
「あ〜っ、やっぱり聞えたか……」
『そりゃ、聞えるよ…』
慌てて中の様子を伺うようにそこに居るだろう人物の名前を呼べば、困ったような声が聞えて来た。
その声から分かるように、別段刺客が襲ってきたと言う訳ではなさそうで、ホッとしながらキッチンの中へと入る。
「何があった………」
シカマルも同じように状況を確認しようと口を開いたけど、その言葉は最後まで続けられなかった。
「見ての通り、オーブンが爆発した……」
モクモクと黒い煙を上げているのは、愛用のオーブンレンジ。
『多分、寿命だったんじゃないかな……これで、こうなったの4台目だしね』
そんな状況を確認していた俺の耳に、『夜』のサラリとした声が聞えてきて、一瞬我が耳を疑ってしまう。
えっと、寿命って、爆発するんだってば?
思わず思考回路で、表口調になってしまうほど、疑問は大きい。
「まぁ、十分働いてもらってたからなぁ……今日のお茶菓子もう食えそうにないな……」
そんな『夜』と同じように、こちらも焦った様子も見せないで、逆に今日のお茶菓子の予定だったそれを取り出して盛大なため息をついた。
出て来たのは、真っ黒になっているケーキだったのかもしれない物体。
「いや、その前に、寿命では爆発しねぇだろうが!」
複雑な表情でケーキだったモノを見ているに、俺の隣に居たシカマルが思いっきり突っ込みを入れる。
やっぱり、そう思うのが普通だよな?
「でもなぁ、事実爆発してるし……まぁ、被害があったのは今日の茶菓子だけだから問題ないだろう」
だけど、そんな突っ込みを全く気にした様子も見せないで、はただ見たままの事実を口にした。
た、確かに、爆発してるのは事実だけど、それって、それだけ酷使してるって事なんじゃ……。
いや、深く考えたら多分負けだ。
「それに、爆発って言っても、木っ端微塵になる訳じゃないから、回路がちょっとイカレタぐらいだろう。被害は中のモノが真っ黒焦げになるだけだしな」
心の中で、冷静になろうと必死だった俺に、更にが言葉を続ける。
いや、その真っ黒焦げになるのが、今問題のような気がするんだけど……普通、壊れる時って、焼けなくなるとかどっちかと言えば、そんな症状が多いはずなんだけど……。
そう、思うのは俺の気のせいだろうか?
『そうだね。今日は大人しい壊れ方だったね。前に壊れた時は、中に入れたものが本当に爆発しちゃって後片付けも大変だったよね』
に続いて、『夜』までもが、恐ろしい事をさらりと口にする。
って、ちょっと待て!何だ、その中身が爆発って!!
「絶対、お前等間違ってるぞ!」
「そうか?」
『そうかなぁ??』
俺と同じ考えに至ったんだろう、シカマルが思いっきり突っ込んだそれに、分からないと言うようにと『夜』が顔を見合わせて首を傾げる。
いや、俺も間違ってると思うから!
「……こう言うところって、が変だと思えるんだけど……」
思わず頭を抱え込んだ俺は何も悪くないよな。
相手に、こんな状態になるなんて思いもしなかった。
だけど、こんな事が数年に一度は確実に自分達の目の前で起こる事になるのだと言う事を、今の俺達が知ることはない。
そう、オーブンが壊れる度に、当然のように聞える爆発音とその時被害にあった茶菓子が目の前に見せられるのは……。