ずっと疑問に思っていたのだ。
この家にある禁書は、一体何処から来るのかを……。
聞いてもイイのか分からずに、ずっと考え続けていた。
決して小さいとは言えない書庫には、100以上の棚が並んでいる。
その中には、少ないが幾つもの禁書や禁術書が、置かれているのだ。
その本の数は、余裕どころかこの書庫に対してはガラガラで、棚が無駄に並んでいるといってもイイだろう。
だが、ここに来る都度に、その本が確実に増えていくのだ。
どうやって増やしているのか分からないが、ここに来るようになってから、確実に数千と言う本がこの中で増えているだろう。
「また、増えてんな……」
ここに来た時の決まりのように来た書庫には、また数十冊の本が増えていた。
その増えているモノもやっぱり珍しい禁書。
「何処から、こんなもん獲って来るんだ?」
その増えた本を手に取って頁を開く。勿論、暗号がびっしりの本は、普通の人には簡単に読めるような代物ではない。普通でない者にとっても、この暗号は正直言って、難しい部類に入る。
「失礼だな、獲って来る訳ねぇだろう」
誰にも聞こえるはずがないと思った俺の呟きに、呆れたような声が返って来て、俺は驚いて振り返った。ハッキリ言って、何時もながら気配を感じる事は出来なかった。
まさかの人物の登場に、正直驚きは隠せない。
俺がここに来るようになってから、一度としてこの部屋にこいつが入って来た事は一度としてない。だから、かなり驚かされた。まさか自分の呟きに言葉が返ってくるなんて……。
「獲ってきてねぇなら、なんで増えてんだよ。こりゃ、製造終ってる奴ばっかりだぜ」
まさか、本屋で買ってきているとは言わないだろう。こんなモンが売っているなら、俺はとっくに買いあさってるぞ!
しかも、絶版になってるものや、世界でも数冊しか出されなかった希少価値の高いモンが、そうそう簡単に手に入ってたまるか!
「ってもな、これは元々、ここにあったモノが帰ってきてるだけだし」
「はぁ?」
俺の言葉に、苦笑を零しながらが言う。
その言葉に、俺は思わず意味が分からずに問い返した。
「だから、これ等は元々一族が管理してモノなんだよ。一族壊滅してからバラバラになっちまったけど、自分達の意志でここに集まってきてる最中」
「なっ、ど、どう言う意味だ?」
「どう言う意味も、そのまんま。本が自分の意志でここに戻ってきてんだよ。よっぽど手に入れた奴等は馬鹿らしいな。読めない奴に触られたくねぇって言うプライドが高いんだよ、ここの奴等」
「……本に、プライドなんてあんのかよ」
「おう!ここに戻ってきてる奴等はその中でもかなり高いぞ。戻ってきてないのに関しては、暇潰しって所だろうな。50年もしねーで、また元に戻って来ると思うぞ」
「戻ってくるって、まさか、この棚全部埋まるのかよ!?」
サラリと言われた事に、思わず声を荒げてしまう。いや、だって、どう見てもこの部屋の中にある棚は少なく見ても100は超えてるつーの。
一般家庭でそれが全部埋まるなんて、まず有り得ねぇだろう!
「ここにぎっしりとは、あったみたいだな。何処から集めたのか知んねぇけど、一族は木の葉の里が出来る前から存在していた一族だし、可笑しくねぇだろう」
めんどくせぇが、十分に可笑しいつーんだよ。
だけど、疑問に思っていた事が一つ理解できた。
まぁ、それ以上に、一族に付いては、謎が深まった気もしねぇではないんだけどな……。
ただ思う事は、一つだけ。
本にも意志を持たせる、一族てーのは、一体……。
関りもってねぇけど、謎だ。まぁ、それだけ禁書が多いってのは、納得するしかねぇのかも……。
それを、平気で俺に見せてるこいつにも、疑問だけどな……。