「シカマル!」

 数回目の呼び掛けに、漸く呼んでいた相手が面倒臭そうに振り返る。
 時々、書庫の本を本気で隠したくなるのは、キットこんな時だと思う。なんで、そんなモノにこんなに熱中出切るんだ。

「あ〜っ、何だよ」
「お前、今日は、泊まって行くのか?」
「……そのつもりだ」

 一瞬考えてからの返事は、予想通りの言葉。分かっていたけど、やっぱりここで徹夜するつもりなんだろうなぁ、また禁書増えてるし……。

「今日は、却下!」
「あ〜っ、何でだ?俺は、何時も通り勝手にしてんぞ」

 俺の『却下』宣言に、不満一杯にシカマルが返してくる。
 まぁ、こんな事言った事ねぇから、疑問に思っても仕方ないけどな。

「んじゃ、言い方変える。寝ないんなら、泊めてやんねぇ」
「あ〜あ?」

 キッパリと俺が言えば、シカマルが不思議そうに俺を見てくる。
 そんな顔しても、俺はちゃんと知ってんだぞ!

「チャクラ消耗率が、60%以上!よって、強制的に休ませるからな!」
「気にすんな、今回は、偶々だ」

 チャクラの遣いすぎは、下手をすれば死に至る。それなのに、それを気にするなだと!俺が、そんな事出来ないってのは、お前が一番知ってんだろうが!!
 シカマルの言葉に、俺は引きつり笑いを浮かべる。偶々でも何でも、チャクラの遣い過ぎは問題大有りだ!これが俺だったら、こいつ絶対に見逃さないくせに!!

「『昼』!『夜』!シカマル強制睡眠決定!!」
『分かった』
『シカ、お休み』

 俺が名前を呼んだ瞬間に、2匹の猫が姿を現して、強制的にシカマルはお休み状態。
 たく、無駄にチャクラ遣ってるくせして、休まずに本なんて読んでんじゃねぇ!体の方が、大事だっての!!本なんて何時でも読めるし、無くならない。でも、チャクラは、休まなければ、消耗されたままなのだ。

『それじゃ、シカは何時もの部屋に運んでおくね』
「ああ、頼む。んで、明日の朝はチャクラ回復特効薬宜しくな!」
『分かった、準備しておく』
「宜しく!んじゃ、俺も寝るな」



 朝、シカマルが目を覚まして何が起こったのかを理解出来なかった事は、自業自得と言う事で、完全無視。
 人の言う事を聞かなければ、どうなっても仕方ないと言うイイ見本だな、うん。
 その日の食卓は、『夜』お得意のチャクラ回復メニューがずらりと並んだ。これで、シカマルも今度からは、気を付けるだろう。