「お邪魔します!」
扉が開く音と共に、元気良く聞えてきたその声に、嬉しさを隠せない。
ずっと待っていた相手の声が、こんなにも自分を幸せにしてくれる。
「ヤマト居るよな??」
しかし、自分が返事を返さない為、不安そうな声が問い掛けてくるのに、俺は笑みを零した。
合鍵で入ってくる相手は、大切な自分のたった一人の恋人。
「居るぞ。鍵掛けて、入って来いよ」
「おう!今日の夕飯何??」
不安そうな相手に、自分の存在を教えれば、あからさまに安心したような声が返ってくる。
それと共に、玄関の方から、鍵を掛ける音。
その直ぐ後に、太一の足音が聞えてくるのを耳にしながら、出来上がった夕飯をテーブルに並べていく。
「今日は、太一のリクエストしてくれた、カルボナーラとオニオンスープ。後は、簡単サラダにデザートにかぼちゃのプリンだな」
献立を聞かれて、デザートも付きである事教える。
自分が今日の献立を聞いた時、冗談で言った太一の言葉。
『カルボナーラが、食べたい』と言われたので、初挑戦。(笑)
勿論、俺が作るなんて思ってなかったのだろう太一が、その後に、『冗談だからな』って、笑ったのを覚えている。
だけど、折角恋人が出してくれたリクエストだ、ここで叶えなければ、恋人失格!(いや、そんな事無いだろう……xx)
「カルボナーラって?ヤマト作れたのか??」
慌てて部屋に入ってきた太一が、驚いたようにテーブルに並んでいるそれらを見てから、目をキラキラさせて俺を見る。
そんな太一の姿が可愛くって、笑みを零すと、ポンッと優しくその頭を撫でた。
「まぁ、初挑戦だから、味は期待するなよ」
『食べたい』と言ってくれたから作ったそれ。
勿論、太一の願いが無ければ、絶対に作ることなんて無かったと断言できる。
そんな風に喜んでくれるんなら、何だって作ってやりたい。
「ほら、手を洗って来いよ。冷めないうちに食べた方がいいだろう?」
「おう!!」
俺の言葉に太一が満面の笑顔で頷くと、持っていた荷物をソファに置いて、洗面所へと慌てて走って行く。
そんな後姿を見詰めながら、俺はもう一度幸せを噛み締めた。
「いただきますvv」
元気良く挨拶する姿に苦笑を零しながら、それでもその目は、初めて作った料理で、太一の反応が気になって、思わず見詰めてしまう。
くるくるとスパゲティーをフォークに巻きつけて、『パクン』と音がしそうな勢いで、スパゲティーをフォークごと口に入れる。
その姿が、可愛いなんて思えるのだから、困ったものだ。
「美味しいvv」
そして、その後に来る満面の笑顔と共に言われたそれに、俺はホッと胸を撫で下ろした。
「そうか?」
「ヤマトって、天才!なんで、初めてで、こんなに美味しいのが作れるんだ??」
嬉しそうにニコニコしながら言われた、その言葉。
その笑顔が見られるのなら、どんなに大変な料理だってマスターしたくなる。
「まぁ、料理作って長いから、勘かな……」
なぁんて、絶対に本当の理由は教えられない。
太一の嬉しそうな顔がみたいから、なんて、恥かしがり屋の恋人には、教えられないだろう。
俺だって、やっぱりそれは流石に口に出せない自信がある。
「やっぱり、ヤマトって、凄いよなvv」
俺の言葉に、ニコニコと笑顔を見せる太一を前に、思わず照れてしまう。
まるで自分の事のように嬉しそうなその笑顔が見えれるのなら、俺は本当になんだってするぞ。(いや、犯罪は駄目だよ、ヤマトさん)
幸せそうに、俺の作った料理を食べる太一を前に、俺も自分の作ったものを食べ始める。
それは、我ながら上手く出来ていると、感心出来るモノであった。
「ヤマトvv」
食事も終わって、後片付けを太一が手伝ってくれて、早めに全てを終わらせて、後は風呂の準備が出来ればOKと言う時に、突然太一が後ろから俺に抱きついてきた。
風呂の準備をしていた俺は、突然の事に驚いて振り返る。
「ど、どうしたんだ、太一???」
上機嫌で俺に抱きついてくる太一。いや、それは可愛いんだが……。
「風呂から出たら、デザート食うんだろう?」
「えっ?あっ、ああ……何だ、我慢できないのか?」
「違う!!……いや、違わないかも…う〜っ、だからな、風呂準準備できたら、一緒に入れば、早くデザート食えるかなぁって……」
ボソボソと言う太一のその言葉に、一瞬、俺の思考が停止する。
って、太一、今、何て言ったんだ????
『一緒に入れば…』って、言わなかったか??
「ヤマト?」
動き出した思考で、太一が言った事を理解した瞬間、顔が赤くなるのを止められない。
太一に他意が無くっても、俺と太一は恋人どうして、だから、一緒に風呂に入るって言う事は……。
「ヤマト、冗談だから、怒るなよ……」
何も言わない俺に不安を感じたのだろう、太一が困ったように慌てて顔を覗き込んでくる。
少し小首を傾げて、心配そうに見詰めてくるその表情が、とてつもなく可愛くって、俺の理性は……。
「わ〜っ!!ちょっと、待て!!ヤマト?!!!」
「一緒に風呂に入るんだろう?入ろうぜvv」
ぐいっと、太一の体を抱き締めて、服ごと風呂の中へ……。
いや、まぁ、うん、偶には、こんな事も………。
★ おまけ ★
「ヤマトのバカ!!冗談だって言ったのに……」
ベッドの中、不機嫌そうに自分を見詰めてくる大切な恋人に、俺はただ苦笑を零す。
あれから、何があったのかは話せないが、そのお陰で、折角作ったデザートのかぼちゃプリンを、太一が食べ損ねたのは言うまでもない。
「悪かった……今日、また太一の好きなもの、何でも作ってやるから、機嫌直してくれよ」
慰めるようにそっと頬にキスしながら、優しく言葉を伝える。
そうすれば、拗ねたような視線で見られて、笑顔。
その顔は、赤くって、本当に怒ってるとは、思えないから……。
「太一、好きだぞ」
「ば〜か……」
トドメとばかりに愛の告白。
それにますます顔を赤くして、太一がそっぽを向いた。
こんなに幸せなのは、大切な恋人が居てくれるから。
俺の幸せは、何時だって、太一と一緒に居る事。
本人に言ったら、顔真っ赤にして怒られそうだけどな。

はい、突発小説です。
いや、別名意味不明……xx
最近、暗い小説ばっかりを書いていたので、バカ話が書きたくって書いた話であります。
でも、意味不明。<苦笑>
そ、それにしても、甘々と言うか、バカップル炸裂なお話ですね。<苦笑>
というか、こんなバカ話書いてないで、リクエスト小説書け、自分!
お、お待たせしているリクエスト、来週中には、一つくらいUP出来るように頑張ります!!
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