コウシロウが眠ってから、タイチが、行動を起こす。
 聞かされていたが、それでも何処か納得できないものが、自分の中にあるのが分かった。
 テントモンの協力で、コウシロウの家を出て来た瞬間、私はタイチへと再度問い掛けた。

「本当に、これで良かったのか?」

 タイチの気持ちも分かる。
 ずっと見守ってきた相手だ。
 だが、自分には、彼等の気持ちも分かるからこそ、納得できないものがある。

「………彼等は、本気でお前の事を心配して……」
「分かっているよ、レオモン………それは、多分俺が、一番………」

 自分と同じように、彼等もタイチを思う気持ちが強い。
 それは、私と同じ、いや、もしかしたら、私以上にタイチを思っているだろう。
 その気持ちを分かってもらいたくって、口を開けば、それは最後まで言葉にする事が出来ずに、遮られてしまった。
 そして、自分の言葉を遮ったそれを聞いた瞬間、何も言えなくなる。

 私以上に、タイチは彼等の気持ちを分かっているから……。

「タイチ、ボクは何があっても、タイチと一緒に居るよ」
「有り難う、アグモン………」

 何も言えない自分の代わりと言うように、アグモンがそっとタイチの手にその手を伸ばす。
 何時でも見てきた光景。タイチと、そのパートナーとの信頼関係。

「行こう、誰かに見つかったら、厄介だからな」

 ギュッとアグモンを抱き締めていたタイチが、キッと顔を上げて、歩き出す。
 何時だって、前を向くその視線は、自分達を何の迷いもなく見詰めていた。

「ゲートは、何処に?」

 今まで、黙って二人の遣り取りを見詰めていた中、一つの疑問を感じて、声を掛ける。

「俺が知っているのは、一ヶ所だけだ。そう遠くないから……ほら、見えてきた、あの公園」

 歩きながらの私の質問に、小さなそれでもはっきりとした声が返され、そして指されたその先を見るように、前を見た。
 不思議な建物があるその場所が目に見えた瞬間、向かう場所を前にして、空気が緊張する。

「タイチ、公園の前に誰か居るよ」

 アグモンが言うように、向かう公園には、何人かの人影が見られた。

「……見つかるとまずいな、別の場所から行こう……」
「待って、タイチこっちに来る」

 緊張した表情で、告げられた言葉に、アグモンが遮るように言葉を述べる。
 言われた通り、そちらに視線を向ければ、タイチの肩に一人の手が伸びた。

「遅かったな。待ちくたびれたぜ」

 自分には、相手が分かっていたから、何も言わなかったが、タイチの肩を掴んだ相手が、少し楽しそうに言葉を発する。
 その声に、タイチが、驚きに目を見開いたのが、分かった。

「……ヤマト……それに、お前等……なんで、ここに居るんだよ!」
「近所迷惑だから、そんなに大声を出しちゃまずいよ」

 驚いたように大声を上げたタイチを、ゴマモンを腕に抱いて、苦笑を零しながらジョウが、諭す。
 ジョウに言われた事で、タイチも慌てて自分の口を塞ぐのを、その場に居た全員が、ただ複雑な笑みを浮かべて見守っていた。

 ああ、だから、か。

 そんな彼等を見ていれば、違和感を感じた行動の全てが、理解できた。
 改めて、彼等が、選ばれし子供だ言う事を思い出す。

 そして、自分の役目が終わったのだと言う事も……。

 これから先は、彼等が、タイチを支えていくだろう。
 それは、リーダーである彼を、皆が認めている証拠。
 その心があれば、例え危険だとしても、大丈夫だと思えるのだ。


 自分が、そう思う中、初めてタイチが涙を見せた。
 自分達には、決して見せなかったモノを……。


                                             



   そんな訳で、本当にお久し振りの、『裏・GATE』です。
   最近忙しかったからなぁ……。と、言い訳を、少々。<苦笑>

   そして、今回の『裏・GATE』の視点は、レオモンさん!!
   何気に好きなんですけど、口調が分からない。間違っていると思いますので、突っ込まないで遣ってください。
   ああ、テイルモンやピヨモンを差し置いて、『裏・GATE』に出てくるなんて、流石です!(いや、違うだろう…xx)
   そんな状態で、次こそは本編を進められるように、頑張りたいですね。(ファイト!)