― 目標 ―

 

 好きな人だから、苛めたくなる。
 そんな子供の心理と言うものを、共感してしまえる自分が居る。

 好きだから、誰にも渡したくないのに苛めてしまう。
 それは、貴方が誰よりも可愛いからだって言ったら、信じてもらえるだろうか?


             
                  


 太一さんと一緒に並んだ時、その身長差があまり無い事に気が付いた。
 偶然に太一さんに出会えただけでも嬉しかったのに、こんな事に気が付いて更に嬉しくなる。

「あれ?タケル、もしかして……」

 そしてその事に気が付いた瞬間、太一さんがボクに向き直って身長を計るような行動を見せた。
 それは、自分との身長を比べるような仕草。

「…やっぱり、お前、また身長伸びてるな……」

 少しだけ驚いたような口調で言われたそれに、ボクはニッコリと頷く。

「みたいだね。バスケやってるのがいいのかなぁ?」
「……俺も、今からバスケに乗り換えようかなぁ……」

 ニコニコと笑顔で言ったそれに、太一さんが冗談とも本気とも取れないような呟きを零す。

「そう言えば、太一さんはあんまり身長伸びてないよね」

 その呟きを聞きながら、ボクは太一さんが気にしているのを知っていてわざとニッコリと笑顔を見せながら口を開く。

「…人が、気にしてる事をそんなにあっさりと言うなよな……xx」

 ボクの言葉で、太一さんが盛大なため息をつく。

「ヤマトのヤツもかなり高いんだよなぁ……最近光子郎も、俺と殆ど変わらないし……これで、タケルにまで抜かれちまったら、俺のプライドが〜!!」

 なんて、本気で心配してる太一さんを前にして、ボクは思わず舌を出す。
 だって、ボクの目標は太一さんを追い抜く事だから。その為に頑張っているのだ。
 貴方の隣に並んで、見劣りしないくらいになりたい。

 貴方を護れるくらいに、強くなる。

 それが、ボクの今の目標だから……。

「太一さん、実は成長期終わってる?」

 真剣に悩んでいる太一さんを前に、ボクは少しだけ意地悪。
 だって、落ち込んでいる太一さんなんて、滅多に見れるもんじゃないから。

「お前なぁ……俺だって、そんなに目立って無いかもしれねぇけど、一応は伸びてんだよ!」

 ボクの質問に向きになって返してくる太一さんに、ボクはますます苛めたくなってしまった。

「伸びる時って、夜中に間接が痛くって眠れないんだよねぇ……」

 ため息混じりに呟く言葉は、本当の事。
 嬉しい痛みだといっても、これだけはちょっと有難くない。

「…タケル?」
「お陰で、寝不足で…」

 ニッコリと笑顔を見せて太一さんを見れば、不機嫌そうな瞳がボクを見詰めている事に気が付いた。

「お前、俺の事からかって楽しいか??」

 怒っていると分かる太一さんの表情に、少しだけ苛めすぎたかとちょっとだけ反省。

「からかってないよ。太一さんの事が好きだから、苛めたくなっただけvv」
「なっ!」

 ニッコリとこれ異常ないくらいの極上の笑顔を見せて、本当の事を言えば、真っ赤な顔の太一さんが目の前に居る。

 貴方が好きだから、色々な顔が見たくなる。

 これも、本当。

「好きな子ほど、苛めたくなるって言うでしょう?」

 もう一度笑顔を見せて、太一さんに問い掛ける。

「…えっと、だから……」
「太一さんは、ボクの事、嫌い?」

 慌てている太一さんを前にして、ボクは少しだけ悲しそうな視線を相手に向けた。
 だって、好きな人に嫌われるのは、本当に悲しい事だから…。

「いや、その、嫌いじゃねぇんだけど……」
「だったら、好きって事だよね?」
「いや、だから、そうじゃなくって……」

 一生懸命に言葉を捜している太一さんも、やっぱり可愛いなぁなんて思いながら、ボクはそっとため息を付く。
 だって、太一さんは、みんなの事が好きだから、誰か一人を好きだなんて気持ちを、持って居ないって事知ってる。

「太一さん、ボクは太一さんの事が好きです。だから、身長だって絶対に太一さんを抜いてみせる!」
「……タケル…」

 真剣に太一さんを見詰めながら、はっきりと言葉を伝える。
 だって、言わないと僕の気持ちを分かってもらえない。

「だったら、先約しても良い?」
「えっ?」

 誰か一人を決められない人だと知っているから、少しだけ強引だろうと、貴方を自分一人の者に出来るのなら、ボクは何だってする。

「ボクの身長が太一さんを追い越したら、ボクの事を好きになってよ」
「タケル……」
「今はまだ、貴方に相応しく無いかもしれないけど、絶対にカッコ良くなるって約束するから!」

 言っててなんか情けなくなるけど、これがボクの目標。
 誰よりも、貴方を護れるようになりたい。

「……あのさぁ、カッコ良くなるって言ってるけど、今のままでも、十分カッコ良いと思うぞ……」

 ボクの真剣な告白に、少しだけ顔を赤くして、そして困ったような笑顔を見せて太一さんが呟いたそれ。
 一瞬何を言われたのか分からなかったけれど、確かにボクを認めてくれるような言葉。

「…タケルの気持ちは分かった。その約束考えてやるよ。だけど、俺だってそう簡単に抜かれたりしないからな!」

 ニッと笑顔を見せる太一さんを前に、笑顔を返して、大きく頷いて返す。



 そして、それから遠くない未来に、貴方の隣に並ぶボクは、貴方の目線よりも少しだけ高くなるだろう。

 その時は、ただの仲間ではなく、一番大切な人として、その隣に入れる事を目標に……。


 




  きゃ〜っ!本気で何が書きたかったのか、自分でも分かりません。
  宮川様からのリクエストでは、タケ太の鬼畜風味でラブラブだった筈なのですか、失敗。
  宮川様、本当に申し訳ありません(><)
  リクエストまたしても、失敗…xx
  言い訳は、致しません。やはり、私が未熟なのが原因ですから……。

  そんな訳で、49000GET&リクエスト、本当に有難うございました。
  こんな小説で、すみませんです……xx
  呆れなければ、またよろしくお願いいたします。