ボクの紋章。
きっと、どんなこんなんだって乗り越えられるてみせる。
だって、ボクの紋章は、『希望』だから……。
「太一さん!」
帰り道、前を行く人の姿を見付けた瞬間、自分の運の良さを感謝したくなった。
珍しく一人で歩いている、ボクの一番大好きな人。
「タケル」
ボクの呼び掛けに振り返って、名前を呼ぶとニッコリと笑顔を見せてくれるこの人が、大切で大好き。
「今日は、部活、休みなんですか?」
今の時間、本当だったら大好きなサッカーをしている太一さんだから、ついつい質問したら、困ったような笑み。
何かいけない事を聞いたのかと思って、ボクは心配そうに太一さんを見た。
「……ドジって、左足捻挫しちまって、今病院の帰りなんだ……」
心配そうに見詰める僕の視線に気が付いて、太一さんが苦笑を零すと、包帯の巻かれた足をボクに見せてくれる。
「大丈夫なの?」
綺麗に巻かれている包帯を見ながら、益々心配してしまう。
だって、足は運動系にとっては、とっても大切だから……。
「…大した事はないんだけど、3日は、運動禁止命令……まっ、仕方ないけどな」
苦笑を零しながら言われたそれは、少しだけ寂しそうに聞こえる。
だって、じっとしている事が苦手な人だから、それも仕方ないかもしれない。
「…無理はしないでよ、太一さん」
「大丈夫だって!」
ボクの言葉に、笑顔を見せる太一さんに、思わず笑い返す。
本当に、この人の前でだけは、素直な自分で居られる。
「太一!」
出会えた奇跡に喜んでいたボクは、後ろから聞こえてきた声に、動けなくなってしまう。
折角、珍しく太一さんと二人だけだと思っていたのに、どうして邪魔が入るのだろうか?
「ヤマト…お前、バンドの方は大丈夫なのか?」
ボクの後ろに声を掛ける太一さん。
それは、驚いている声で、どうやら予想外の登場みたいだ。
「メンバーの都合が付かなかったんだ。お前こそ、部活は?」
「……タケルと同じ事聞くなよ……怪我の為、止む無く休みだ……」
苦笑いを浮かべながら、太一さんが後ろの人物と話している。
勿論、名前を呼ぶ前からその相手が誰なのか分っていた事。
そりゃ、一緒には暮らしていないけど、兄弟だから……。
「タケル、久し振りだな」
今まで、ボクの存在なんて完全に無視していたお兄ちゃんが、声を掛けてきた事に、盛大なため息をつく。
「……この間、会ったよ……」
少しだけ呆れたように呟きながら、振り返る。
自分よりも背の高い兄を見上げて、ボクは再度ため息をついた。
ボクだって、かなり身長が高くなったつもりだったのに、目の前の人物は、更に高くなっている。
太一さんと並んでも、見劣りしない身長。
ボクが、今一番欲しいもの。
「そうだったか?…それよりも、太一!お前、怪我したって……」
ボクの言葉なんて殆ど気にした様子も無く、心配そうに太一さんを見ているお兄ちゃんを思わず睨みつける。
「……お前、タケルの言葉、ちゃんと聞いてやれよ……」
ボクに対していい加減な返事しか返さなかったお兄ちゃんに、太一さんが呆れたようにため息をつく。
昔は、うっとうしいくらい人の事を大切にしてくれていたのに、今では、どうやら弟離れしてしまったらしい兄に、ボクはまたため息をついた。
何が悲しくって、兄弟で同じ人を好きになったんだろう。
あからさまな兄の態度。
本当に昔から分りやすいよね、お兄ちゃんは……。
「あっ、すまん・……」
素直に謝っているのに、もう太一さんの怪我の事しか頭にないんだ。
「……気にしてないよ。それより、太一さんの怪我だけど、3日間の運動禁止命令だって」
小さくため息をついて、ボクはお兄ちゃんに笑顔を見せた。
笑顔とともにボクが言ったその言葉に、お兄ちゃんが心配そうに太一さんを見てる。
「心配するなって、ちょっと足を捻っただけなんだからな」
お兄ちゃんの視線を感じて、太一さんが笑いながら自分の左足を叩く。
心配するなって言うのは、無理な話だよね。
だって、ボク達は太一さんの事が大切だから……。
「所で、こんな所で立ち話もなんだから、近くの公園に移動しないか?」
ボクとお兄ちゃんが苦笑いしているのに気が付いていない太一さんが、何時もの笑顔を見せて、直ぐ傍の公園を指差した。
確かに、道の真中で話をしているのは、他の人にも迷惑が掛かる。
それに、久し振りに太一さんに会ったのだから、このままさよならするのは、絶対に嫌だ。
ボクとお兄ちゃんは、太一さんの言葉に頷いて、そのまま公園へと歩き出す。
その時、太一さんが左足を引きずっているのに気が付いて、ボクは慌てて太一さんの荷物を預かろうと口を開きかけたその時、
「太一、荷物貸せ」
ボクよりも先に、お兄ちゃんが太一さんの荷物を取り上げた。
「いいって、大した怪我じゃねぇんだから……」
突然自分が持っていた荷物を取られて、太一さんが慌てて取り返そうとするけど、お兄ちゃんは気にした様子も無くさっさとその荷物を自分の肩に掛けている。
こう言う時、自分の年齢がすごく嫌になるよね。
何で、ボクは太一さんと同じ年じゃないんだろう……。
「タケル?」
沈んでいく思考の中で、心配そうに名前を呼ばれ、ボクは慌てて笑顔を見せた。
こうやって、自分の気持ちを押し隠して笑えるようになったのは、一体何時からだろう?
「何、太一さん?」
ニッコリと何でもないと言うように笑顔を見せれば、太一さんが不思議そうに首を傾げる。
それは、ボクの嘘の笑顔に気が付いているのかもって言う、不安を感じる表情。
じっとボクを見詰めてくる太一さんの視線を感じながら、ボクは何でもないと言うように小さく首を傾げて返す。
「どうかしたの、太一さん?」
じっと見られる理由が分からないというように、不思議そうに太一さんを見れば、慌てて首を振って返された。
「いや、俺の気の所為だよな……何でもない…ところで、何か飲まないか?」
「それじゃ、ボクが買ってきます」
「いいよ、俺が行……」
「お前は、怪我人だろうが!」
太一さんの『自分が行く』と言おうとした言葉をお兄ちゃんが遮る。
それに、少したじろぐ太一さんに思わず苦笑を零してしまう。
「そうだね、大人しくしてた方がいいと思うよ。それじゃ、お兄ちゃんは、コーヒーだね。太一さんは?」
「……えっ?ああ……んじゃ、ポカリ…」
笑顔を見せながら質問した事に、太一さんが素直に答えてくれる。
それに大きく頷いて、ボクは自販機の場所まで急いだ。
ちょっとだけ、お兄ちゃんと太一さんを二人だけにするのは、嫌だったけどね。
ジュースを手に、ボクが戻って来た時、人数が増加していた。
そう言うと、間違いかもしれないけど、当然のように一緒に居るのは、大輔くんとヒカリちゃん…それから、光子郎さん。
「……何時の間に…」
ジュースを買いに行っていたのは、ほんの数分の間だけ。
その間に、なんでこんなに人が増えているんだろう?
「タケル!」
呆然状態のボクに気が付いて、太一さんが大きく手を振ってくれる。
ベンチに座っているのは、きっと皆に無理やり座らされたんだろう。
『早く来いよ』と声を掛けてきてくれる太一さんの言葉に従うように、急いで皆が居るその場所へ走っていく。
「ヒカリちゃん達、何時来たの?」
お兄ちゃんと太一さんにジュースを渡しながら、ボクは疑問に思った事を素直に問い掛けた。
「さっきだよ。この公園の前を通ったら、お兄ちゃんの姿を見つけたから」
ニコニコと嬉しそうな笑顔を見せているヒカリちゃんに、納得。
お兄ちゃんが大好きな彼女だから、そのまま素通りするなんて、まずありえない。
それは、先輩大好きな大輔くんと光子郎さんも、一緒だと思う。
「後、空と丈とミミちゃんが居れば、旧選ばれし子供が揃うな」
太一さんが嬉しそうに言うその言葉に、皆が頷く。
「一乗寺と伊織に京も居れば、全員揃いますよ」
太一さんに負けず、大輔くんも嬉しそうに言葉を続ける。
やっぱり、この二人って似てるや…。
なんて、思ってるのは秘密だけどね。
「本当ですね。では、今度はちゃんと約束をして、皆で集まりましょうか」
嬉しそうに光子郎さんが提案した事に、誰もが頷く。
集まるのは、好き。
だって、太一さんと一緒に居られるから……。
「けど、俺達の都合は付きやすいけど、丈とミミちゃんは難しいんじゃないのか?」
「心配ないですよ。もう直ぐ春休みですから」
「そうだな、皆で集まって、一日遊ぶってのは、賛成だ」
太一さんの心配を他所に、既に遊びに行く計画は立っていた。皆でどうするかを考えて、色々打ち合わせしていく。
久し振りにこんな人数で集まったから、色々話している内に、辺りが少しづつ薄暗くなってくる。
「と、そろそろ帰らないと不味いんじゃないのか?」
太一さんが空を見上げて、ボク達は、時間がかなり過ぎていた事に気が付いて慌てて話を打ち切った。
何時遊びに行くかと言う事は、ミミさんと丈さんの都合を優先に考えると言う事で、その日は皆がそれぞれの家路につく。
「それじゃ、連絡待ってます!」
別れ際、そんな言葉を交し合ってボクもそんまま歩き出そうとした瞬間。
「タケル」
突然太一さんに、名前を呼ばれた。その瞬間、みんなの視線が痛い。
「何、太一さん?」
太一さんに名前を呼ばれるのは、すごく嬉しいけど、ここに居る全員が太一さんの事を好きだから、みんながボクの事を睨み付けている。
「ちょっと、いいか?」
そして、さっきまでボク達が居た公園を指差した。
「ヤマト、悪いけど、ヒカリの事頼んでもいいか?」
後ろで心配そうに見詰めているお兄ちゃんとヒカリちゃんに一度視線を戻して少しだけすまなさそうに、頼み事をしている。
「……あっ、ああ……」
お兄ちゃんが複雑な表情を浮かべて、それでも返事を返した。
でも、顔には、『不本意』って言うのが見え見え。
ヒカリちゃんも、納得できないと言うような表情で太一さんの事を見ている。
そんなヒカリちゃんに、太一さんはにこりと笑顔を見せた。
「ヒカリ、悪いけど、俺の荷物頼むな」
今だに、お兄ちゃんが持っている自分のバックを指して、ヒカリちゃんにお願い。
そんな笑顔で頼まれたら、誰だって断れないと思う。
「うん…」
案の定、ヒカリちゃんは、小さく頷いて見せた。
「んじゃ、気を付けて帰れよ。俺も、直ぐ帰るからさ」
皆の事を笑顔で見送る形になって、ボクと太一さんは、公園に戻る。
勿論皆、後ろ髪を引かれるような感じだったけど……。
「どうしたの、太一さん?」
だけどボクは、なぜ太一さんが、ボクだけを呼び止めたのか理由が分からなくって、みんなの視線を感じていたけれど、気にならなかった。
「タケル…何かあったのか?」
不思議そうに尋ねたボクの言葉に、太一さんが真剣な表情で尋ね返してきた、それ。
一瞬、何を言われたのか分らなくって、ボクはただ太一さんを見詰める。
「今日、様子変だったから、気になってさぁ・・・・・・・」
ボクの視線を感じて、太一さんが少しだけ困ったように頬を掻いた。
ボクの様子が変だったって……?
ずっと、皆と平等に話をしていた太一さん。
それに、ボクだって、普通に話をしていたと思う。
「……なんとなくだから、俺の気の所為かもしれないんだけどな……」
どうしてこの人は、こんなに鋭いんだろう。
誰にも分らないボクの嘘の笑顔にだって、騙されない。
「……本当に、貴方には、適わない……」
ポツリと呟いたそれに、太一さんが意味が分からないというように不思議そうに首をかしげている。
どうして皆に好かれるのか、それはこの人が、凄い人だから……。
そして、誰よりも温かい人だから……。
「そんなんだから……」
「タケル?」
苦笑いを浮かべながら、太一さんを見る。
心配そうにボクの事を見詰める瞳。
だけど、その瞳は、ボクだけのモノじゃない。
きっと、これが他の人でも、この人は同じように心配するのだろう。
「大丈夫です。本当に何でもないから……」
「……そうか?何かあったら、相談しろよ」
ボクが笑顔を見せて言った言葉に、納得などしていないのに、太一さんが笑顔で返してくれる。
余計な事は、一切聞かない。
そして、無理に追求しない優しさ。
だけど、これって、やっぱりボクが、子ども扱いされているって事だと思う。
ボクは、貴方に見合うような人間になりたいのに……。
「太一さん……」
「んっ?」
また自分で考えた事に落ち込みそうになるのを、ボクは太一さんの名前を呼ぶ事で、遮った。
「ボクは、あなたに見合うような人になりたい」
真っ直ぐに見詰めながら言ったその言葉は、嘘偽りのないボクの本当の気持ち。
一瞬僕の言葉に、驚いたような表情を見せる太一さん。
当然だよね、行き成り訳の分らない事を言ったんだから……。
「……そのままでも、十分だと俺は思うぜ」
自分の言った言葉を反省するように俯きかけたボクは、太一さんのその言葉で驚いて顔を上げた。
「俺は、そんなに偉い人間じゃない。タケルはタケルだろう?だから、タケルは今のままで十分だと思うぜ」
少しだけ照れたように言われる言葉。
だけど、ボクにはこれ異常ないほど、嬉しい言葉だった。
「太一さん……」
「俺は、そのままのタケルが好きだぜ」
ニッコリと満面の笑顔を見せながら言われたそれに、ボクは驚いて太一さんを見詰める。
深い意味なんてないと思うけど、大好きな人から『好き』って言われるのは、とっても幸せな事。
「それに、お前の紋章『希望』だろう?それって、お前が望んだ事は、絶対に叶うような気がしねぇか?」
続けて言われた言葉が、ボクに勇気をくれる。
どうして、この人は、ボクの欲しいと思う言葉を、当然のようにくれるんだろう。
無茶苦茶で信憑性なんて全然無いのに、この人が言うと本当になるように思えるから、不思議。
「そうだね、ボクが望めば、『希望』に繋がるんだよね……」
「ああ、お前なら、大丈夫だ」
ボクの大好きな笑顔で、はっきりと頷いてくれる。それに、ボクも頷いて返した。
「なら、覚悟してくださいね。ボクの望みは、太一さんにも関係があるんだから!」
ニッコリと何の迷いもなく笑顔を見せる。
少しだけ驚いたような顔をするけど、直ぐに笑顔で頷いてくれる、この人が大好き。
『希望』。
確かにボクの紋章だね。
だったら、ボクは望むよ、貴方の隣にずっといられる事を……。
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はい、33000HITリクエスト小説です。
どこが?と言う突っ込みは、ごもっとも。
私も自分で、突込みを入れました。<苦笑>
マンヅキ様、本当に申し訳ありません(><)
全くリクエストに答えてないモノとなってしまいました、お許しください。
そんな訳で、これ以上の言い訳は致しません。
33000GET&リクエスト本当に有難うございました。
恩を仇で返してしまい、本当に申し訳ありませんでした。
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