今年は、お互いに忙しくって、恒例となっていた暑中見舞いも、来なかった。
 高校に入っての初めての夏休み。お互いに、クラブが違えば、どうしても会う機会は減ってしまう。
 そして、自分が送った残暑見舞いへの返事が、ポストに入っているのに気が付く。

「あいつ……」

 慌てて書いたのがモロ分かりの字に、思わず笑いを零す。
 毎日、クラブの為に忙しい事を知っている。
 一年での初のレギュラー入り。そんな相手だから、手が抜けない事もちゃんと知っている。
 だから、こっそりと練習風景を見るだけで我慢していたのだ。
 それでも、自分が書いたのは、少しの希望。そして、願い。
 

 そんな自分の残暑見舞いに、ちゃんと返された言葉が、笑みを深める。


『残暑見舞いになっちまった!!!
 くそっ、ちゃんと葉書用意してたのに、今年は遅くなっちまった。
 あっ!残暑見舞いサンキュー、ヤマトvv
 今年は、本当に暑いよな。ジッとしてるだけでも、倒れそうだぜ。
 何人か、熱射病で倒れたのも事実だしなぁ。あっ!勿論、俺は大丈夫だからな!

 そうだな、明日から、暫く練習休みになるから、また連絡する!
 宿題もしねぇとだし、ヤマト!宜しくな!

                                  太一 』