新年。


「はぁ〜さみーな……」
 手袋をしている上から息を吹き掛けながら、太一は公園に設置されている時計を見上げる。
「11時30分か〜〜」
 あと30分ほどで、日付けが変わると同時に、新しい年を迎えようとしている。
「ったく、あいつはなにやってんだよ」
 どうしても一緒に初詣でがしたいと、一緒に新年を迎えたいと言ってきたのは、相手の方だった。5歳も年下の、しかも男なのだが、自分達はいわゆるおつき合いと言うモノをしている。
 初めは全くその気はなかったのだが、何度もアタックをされていく内に、情が移ったと言うか、根負けしたと言うか……しかし今では、ちゃんと相手のことが好きではいる。相手にはハッキリと伝えてはいないが……
「太一!!」
 呼ばれて振り向くと、ヤマトが息を切らしながら走ってくる。
「遅いぞ〜〜」
「す、すまん。準備に手間取った」
 息を整えながら謝るヤマトの額に、いっぱつデコピンをくらわす。
「イテッ!」
「これで、勘弁してやるよ。ホラ、いくぞ」
 さっさと公園を後にする太一。ヤマトも慌てて後を追い掛けて、太一の手を掴む。
「なっ、離せよ。人に見られるだろ」
「いいだろ。暗いから判んねーよ」
 ウインク付きで言われて、太一は不覚にも顔を赤らめてしまう。暗くてしかもヤマトとの身長差があって、良かったと思った。しかし太一のことならどんな些細な変化でも見のがさないようにしているヤマトには、しっかりとバレていた。

 そうこうしているうちに、神社へと辿り着いた二人は、あまりの人の多さと、所狭しと並ぶ屋台に圧倒されてしまう。
「どうする?年明け前だけど、お参りするか?」
「どうせなら、年明けてからお参りしたいから、どっかで時間潰すか」
 屋台で適当に食べ物を買ってから、二人はあまり人気のない神社の裏へと向かった。
「なぁ、太一。何お願いする?」
「あ?ああ〜、やっぱサッカーがもっと上手くなるようにかな」
 たこやきを頬張りながら、何気なく答える。その太一らしい答えに、ヤマトは苦笑してしまう。
「笑うなよ。そういうヤマトはなにお願いするんだよ」
「俺か?俺は太一との仲をもっと進展できるようにだ」
 当たり前のように言うヤマトに、太一は真っ赤になって、座っている場所を少しだけ移動させる。
「逃げるなよ」
 腕を捕まれ、腰に手をまわされてしまい、身動きが取れなくなる。そしてどんどん迫ってくるヤマトを、拒絶できないようにされてしまう。
「好きだよ」
 囁きと共にキスをされて、太一の身体から力が抜けてくる。乾いた唇を潤すように、何度も嘗めて自然と開いた唇から、舌を侵入させる。
「んっ……」
 何度やっても慣れないキスに、苦しさのためか太一の目尻には涙が浮かんでいる。
「もっとキスが、上手くなるようにって、お願いしたら?」
「なっ!!そんなことするか!!」
 キスが終わって言われた言葉に、太一は恥ずかしさと怒りのために、怒鳴ってしまう。
「何度やっても慣れないんだよな。まっ、その初々しさが可愛いんだけどな」
「アホなこと言うな!!」
「来年は、イクとこまで、いこうな」
 年下のしかも小学生の子供が言うような台詞とは、思えないようなことを言うヤマトに、太一は身の危険を感じて、お守りを買おうと密かに決心をしていた。

 二人の思いを乗せながら、新しい1年が始まった。

 

 

 

 

 

サクヤさんより、年賀小説頂きました。
年の差シリーズの『ナマイキ』大好きですvv
サクヤさんの書かれるヤマトさんは、カッコ良くって、私も、見習いたい。

素敵な小説を本当に有難うございました。
今年も、ご迷惑しかお掛けしないと思うのですが、宜しくお願いいたします。

 

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