残暑見舞い

「お兄ちゃん!!ヤマトさんからハガキが来てるよ〜」
「えっ!!どれ?」
 郵便受けから郵便物を取りに行っていたヒカリが、ソファーでアイスを食べていた太一にハガキを渡す。
 受け取った太一はバタバタと自室に入っていってしまった。
「そんなに慌てなくても、取ったりしないのに……」
 いつからだろうか、ヤマトと兄の太一が特別な関係になっていたのは。
時折幸せそうに見つめあう二人に、ちょっと悔しそうに見つめた自分。
決して二人の間に割って入る事が出来ないのとを知ってからは、悔しい気持ちよりも幸せそうに笑う兄が羨ましく思った。
早く自分もそんな相手を見つけたいと……
「ヤマトさんには適わないわよね」
 あんな顔は自分では与える事ができないから……
ちょっとだけ悪戯心が湧いたヒカリは、そっと太一の部屋に入りイスに座ってハガキを見ているであろう太一の後ろに忍び込む。
「ヤマトさんなんて書いてあるの?」
「うわっ!!!おっ、脅かすなよ」
「ゴメンね。でヤマトさん何だって?」
 素直に謝るヒカリに、ちょっとだけ顔が赤くなった太一が「別に元気にしてるか?って」
「毎日逢ってるのに、書いてあるの?」
「社交辞令だろ」
 まだ何か書いてあるだろうが、ヒカリはあえて何も聞かずそのまま部屋をでていった。
「何なんだよヒカリにやつ……」
 よく分からない妹の行動に太一は首を捻るが、机に上に置いてあるハガキを見つめ、嬉しさを隠せれない。
 ヤマトらしい几帳面な字で『八神太一様』と書かれている。
裏返すと綺麗なひまわりに絵葉書に綺麗な字で……

『残暑見舞い申し上げます
 太一。ハガキサンキューな。こっちも礼儀として送り返す。
 残り少ない夏休み、プールでも海でも連れてってやるよ
 ただし宿題はやれよ。面倒は見てやるけど、
 俺の丸写しなんて考えるんじゃないぞ。少しでもやっとけ!!
                      ヤマト     』





東サクヤ様より頂きました。
私が書いた残暑見舞いヤマトさん編に、対となる太一さん編を書いてくださったんです!!
本当は、こっそり太一さん編を書いて限定でUPしようと考えていたのです。
しかし、サクヤさまに頂いた小説が、余りにもイメージぴったりだった上に、私が書くよりも素敵なものになってます。
我侭言って、こちらにUPさせていただきました。
もし、ヤマトさん編が見たいと思ってくださった方がいらっしゃいましたら、東様のHP、『ねこめいきゅう』さんに是非どうぞ!