デュエットソング<後日談>
ヤマトと太一が、仲良く帰っていった後、椎名達3人は片づけをしながら、歌っている時の、ヤマトが太一へ向ける蕩けるような視線に、人間変われば変わるんだなと思わずに入られなかった。
「ヤマトってさ〜、恋愛に対して淡白なやつだと思ってたんだよな……」
尾藤がぽつりと呟くと、椎名も野乃もうんうんと頷く。
「いままで、いろんな子と付き合ってるの見たけど、あんな顔してたとこ見たことなかったもんな」
野乃の言葉に、椎名と尾藤が「そうだよな〜」と同意する。
「それにしても、太一くんって男の子だけど、可愛いよな……」
椎名の呟きに、尾藤と野乃は一瞬頷くが、聞き捨てならない言葉に、2人揃って、椎名の方を向く。
「へ、変な意味に捉えるなよ!!俺は、今時の子みたいにスレてなくて可愛いって意味!!別にヤマトが羨ましい訳じゃ……」
ないと言った椎名だが、語尾が弱々しく擦れてしまい、返って羨ましかったのが尾藤と野乃に伝わってしまった。
「まあ、たしかに素直なカンジがいいよな。あんな子に好かれたら、グラついちゃうだろうな〜〜」
「うんうん。ヤマトが道外れるのも無理ないよ」
大きく頷く尾藤と野乃に、なんとなく自分の言った意味を理解してくれてないと感じる椎名だが、2人の言っていることもホントのことなので、敢えて反論はしない。
「ああ〜〜!!なんかヤマトがムカつくぜ!!今度逢ったら、いろいろと聞き出してやる」
いきなり雄叫びをあげて椎名が叫びながら、乱暴に楽譜をバックの中に入れて、スタジオを後にした。そんな椎名を唖然と見送りながら、尾藤と野乃もヤマトからいろいろと聞き出してやろうと思いながら、椎名を追い掛けるため、スタジオを後にした。
次の練習時はヤマトは3人から質問攻めにあい、なおかつもう一度太一に逢わせろと言う椎名達にキレて、練習を投げ出してしまった。
それから太一が練習を見に行きたいと言っても、ヤマトはなかなか了承はしなかったが、椎名達の策略にハマり、再び太一がスタジオに顔を出すのはそれほど遅くはなかった。