石田ヤマトが変わった……それはすでに小学校中に広がっている。今までの石田ヤマトと言ったら、容姿端麗・眉目秀麗・成績優秀だが、無表情・無愛想・無頓着の人間嫌いで知られていた。
それなのに突然笑ったりするようになった。それも幸せそうに……そんな姿を見た女子達の間で「好きな人ができたんじゃあ」と噂がたち、彼女の座を虎視眈々と狙っていた子達は嘆き、あるいは見知らぬヤマトの思い人を恨んだりした。めげずに告白する子も敢え無く玉砕していた。
(太一……)
初めてデート(ヤマトはそう思っている)でいきなりキスをしてしまった。真っ赤になった太一が可愛いと思いながらも、同じくらい真っ赤になっていた自分を見られたくないから、そのまま帰ってしまったが、今ではちょっと後悔していた。
(可愛かったなvv)
5つも年上なのに無邪気に笑う太一が可愛いと思った。撫でてくれる手が優しくてもっと触れて欲しいと思った。でも、それ以上に自分が太一に触れたいと思う。
もっともっと太一の心の中に自分を入れて欲しい。ヤマトの心の中に太一がいるくらいに……
「石田君!!」
太一のことを考えていたのに、不粋な呼び声で現実に戻されてしまう。ギロッと睨み付けるように振り向くと、クラス委員の女子がビクッと引くが恐がりながらもなんとか用件を告げる。
「あのね。石田君、今日日直でしょ?先生が配って欲しいものがあるから取りに来て欲しいって……」
「ああ……」
言われて仕方がなしに立ち上がり、教室を出ようとするが、何か思い立ったのか突然クラス委員の女子の所に行き
「ありがとう」
と一言告げて教室から出ていく。言われたクラス委員の女子は真っ赤になってその場で倒れてしまったという。
職員室に向かう途中、ヤマトはどうやって太一に逢うかを考えていた。実はあの日から太一には会えないでいる。サッカーをやっているらしい太一と、家のことで忙しいヤマト。
それに太一の高校がどこにあるがヤマトは知らない。逢いに行きたくても逢いに行けない「そういえば……」
はたとヤマトは思いつく、たしかクラスメートに太一と遊んでいるヤツがいた。
そいつに聞けば太一の高校くらい分かるかもしれない。そうと決まればヤマトの行動は早かった。
急いで職員室に行きプリントを貰い、早足で教室に戻ってプリントを配ってから、太一のことを知っているクラスメートから太一の高校の場所を聞き出した。
土曜日、学校は休みだがサッカーの練習試合があると聞きヤマトは太一の高校までやってきた。
歓声の聞こえる方に歩いていくと案の定そこではサッカーの試合が行われていた。
フィールドを走る中から一際輝く人物が眼に入る。太一である。流れるような動作で相手からボールを奪い、そのまま相手のゴールを奪う。
「すげぇ〜」
フェンスに指を絡めてヤマトは太一に見とれる。その太一が嬉しそうにガッツポーズをとって仲間に抱きつく。
「ああ!!」
思わず叫んでしまったヤマトに、周りの観客はどうした?という顔で見てくる。ヤマトは慌てて「なんでもない」と答えて、まだ抱き合ってる太一を見る、イヤ太一に抱きつかれている相手を睨み付ける。
(あのヤロ〜俺の太一から離れろ!!)
心の中で悪態をつきながら、ヤマトは太一から眼を逸らさず試合の間中ずっと見つめ続けた。
太一の決めたゴールが決勝点となり、1対0と太一の高校が快勝した。嬉しそうに飛び跳ねる太一、それを囲むように仲間達が喜びあう。それを見たくなくてヤマトはその場から駆け出してしまった。
とぼとぼと歩きながらヤマトは、先程の太一の笑顔が忘れれないでいた。綺麗な笑顔だった。
誰もがきっと太一に見とれてしまうだろうと思うくらいに……。
その笑顔が自分だけに向けてくれたらいいのに……
「絶対無理だろうな……」
「何が無理なんだ?」
独り言を返され驚いて振り向くと、息を切らした太一がスポーツバックを抱えてたっていた。
「た……いち」
「校庭からヤマトの後ろ姿が見えたから、応援しにきてくれたんだろ?」
にっこりと笑う太一に、ヤマトは頬を染めて俯いてしまう。
「たまたま通ったんだよ!!」
たまたまでどうして校庭内にいるのか突っ込みたくなったが、あえてその事には触れず太一は、そっぽを向いているヤマトの手を引いて、近くにある公園へと足を運んだ。
ヤマトを無理矢理ベンチに座らせ、太一は近くにあった自販機で適当にジュースを買う。
「ホラ、どっちがいい?」
オレンジとコーヒーを見せられて迷わずコーヒーを受け取る。
「生意気だな」
太一はプルトップを開けて一気に飲み干す。その様をジッとヤマトは見つめた。
「ん?どした?」
缶に口付けたまま太一は横目でヤマトを見る。慌てて視線を外してコーヒーの缶をあける。
その行動が可笑しくて太一はつい笑ってしまう。
「なに笑ってんだよ」
「イヤ別に……」
ますます笑う太一に子供扱いされているようで面白くないヤマト。ふと太一を見上げたさきに、
自分と太一の差が座っている為余りない事に気がつく。立てばきっと自分の身長と変わらないだろう、そう思っておもむろに立ち上がり太一に正面にたつ。
「どうしたヤマト?」
「俺を子供だと思うなよ」
そう言ってから、太一の頭を引き寄せ唇を押し付ける。
「んなっ!!」
突然のことで反応が遅れた太一は瞳を見開き、されるが侭にヤマトにキスされる。
ヤマトの舌が太一の唇を嘗めこじ開けようとする。
「んんっ!!」
慌てた太一はヤマトを引き剥がそうとするが、どこにそんな力があるのかヤマトはビクともしない。
小学生に言い様にされてしまう自分がちょっと情けなくて、太一は涙が出てきそうになる。
「泣くなよ太一」
漸く解放されたと思ったら、今度は耳朶を少し甘噛みされ、とても小学生の声とは思えない低い声で太一の耳元で囁きかけ、目尻にたまった涙を唇で吸い取ってやる。
「小学生の癖に……」
漸く離れたヤマトに悪態をつきながら太一は乱れた呼吸を整える。
「俺……男だぞ?」
「関係ないね」
太一の言葉に即答して、ヤマトはもう一度キスをしようと、太一に顔を近付ける。
「まっ……」
「待てない」
手で唇を隠そうとする太一よりさきに、太一の唇を奪う。
「ふん……はっ……」
深い口付けで息が思うよう出来ず、酸素を求める為に少し開いた口からヤマトの舌が忍び込み、太一の中を蹂躙する。
「……んふっ、はん……」 ヤマトの背中に縋り付くように腕を廻して、太一は倒れてしまいそうなる身体を支える。
自分の背に太一が腕を廻したのに気を良くしたヤマトは、ますます激しく太一を追い立てる。
「もっ……ヤメ……」
キスの合間から懇願する太一に、仕方がなしに離れる。お互いの唇から銀の糸が引き……切れた。
「よかった?」
「バッ……////」
肩で息をしている太一に対して、ヤマトは平然とした顔でとんでもない事を口にする。
「だって俺初めてだから、ちゃんと太一も気持ち良かったかどうか知りたいじゃん?」
顔を覗き込みペロッと太一の唇を嘗める。
「なっ……嘗めるな!!」
「だって、太一の唇甘くて美味しいんだもん♪」
悪びれずに言うヤマトに太一は軽い眩暈を覚える。なんて子供だ。
初めて逢った時なんて邪険にして、可愛げがなかったのに遊びに行ってから、惚れたと言われて……
キスされて……今度は舌付きで!!なぜこんな事されても怒らないのか、
太一自身不思議でしかたがなかった。
「……もう外でするなよ」
「だったら、外じゃなかったらいいのか?」
ヤマトに言われてようやく自分の言った事に対して、失言だったと気がつく。
「あっ、そうゆう意味じゃなくて……」
慌てて否定しようと思っても、すでにヤマトの中では室外はダメだが、室内は良いと勘違いされてしまっていた。
「今度は俺の家でしような」
ちゅっと軽く唇を合わせて、ヤマトは走り去ってしまった。
「……だからするなって、言ってんのにあのマセガキ……」
唇を押さえて自分の貞操を心配しながら、立ち上がろうとしたら、デーィプキスで腰が抜けてしまったらしく、そのままベンチに座り込んでしまった。
「絶対にもうさせね〜〜」
無理だとは分かっていても、そう言わずにはいられない太一であった。

小学生の癖に〜〜〜ヤ〜マ〜ト〜。なにしてんだ!!
なんだか変な方向に行ってしまってスイマセンm(_ _)m
誕生日プレゼントの交換と言う事で、リクエストで『ナマイキ』の続きを書かせてもらいました。
ベロちゅうがOKとのことだったのでしてみましたが、なんだかヤマトがヤバイくらいに積極的ですね
太一君押されっぱなし……このままだとマジで貞操が危ぶまれますね(笑)
ナマイキはヘタレじゃないヤマトを目指してるんですが、上手くいってるでしょうか?
なんだかやっぱりヘタレになってるような気がします。
こんな駄文でスイマセンが、どうか受け取って下さい<(_ _)>ぺこり
うきゃ〜!!
ヤマトさんが、小学生なのにカッコイイvv
積極的なヤマトさんも、いいものですね。いや、ヤマトさん=ヘタレという方程式が……。
リクエスト通りの、素敵なモノを頂けて幸せですvv
はっ!誕生日プレゼント交換小説、私も頑張ってリクエストのモノを書きますね。
駄文なんてとんでもないです!私も、恩を仇で返さないように頑張りますです。
サクヤさん、本当に有難うございましたvv
さぁ、この前の小説『ナマイキ』が読みたい方は、今すぐサクヤさんのサイトへ、レッツゴー!!
年の差カップルシリーズがお勧めですよ。
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