温   泉 (日本国内)


姥湯温泉  みくりが池温泉  八ヶ岳・本沢温泉   北アルプス・高天原野天風呂   白馬岳・蓮華温泉   くろがね温泉  法華院温泉  法師温泉   草津温泉  鶴の湯


今回は道外編、特に「秘湯」を中心に特集してみました。「山や」でなければ到達できない、日本アルプスで、標高の高い山を越え、谷を越え訪れる野趣満点の秘湯と、人気度抜群の温泉も選んで見ました。


姥湯温泉

                         
    
        

  

日本の秘湯

 「日本の秘湯」 何と言う、心を癒される言葉であろうか。日本に生まれてよかったと、つくづく感ずる。年を重ねるに従い、秘湯の良さを感ずるのは皆同じのようである。
朝日旅行会協定の「日本秘湯を守る会」の温泉を中心に選んでみた。

 この「日本の秘湯を守る会」のスタンプ帳の表紙に掲載されているのが、上記の写真の露天風呂である。さすがに表紙になるくらいだから、日本一の秘湯と思われる。
標高1300mに位置しているのが姥湯(うばゆ)温泉、その温泉を苦労を重ねて十七代に渡り守り通してきたのが桝形屋温泉。山形県の奥羽本線峠駅からでも車で小一時間。

 近隣の百名山は蔵王山、飯豊山、吾妻山、磐梯山、安達太良山と名峰が控えている。山と温泉が豊富な福島県である。

 コメツガ、ブナ、アオモリトドマツ、ヒバの原生林が広がる中を車で通り抜けると、奇岩が連なる南画の世界に入る。道路も山間の谷あいと絶壁の間を縫う様に、運転には特に神経を使わねば成らない辺境の地である。スイッチバック方式での運転である。カーブを一度にハンドルを切れずに、いったんバックをしてまた切りなおすという運転である。

台風や洪水で何度も建物、温泉が破壊され今日まで来たというが、ここの露天風呂は日本一であると確信する。百聞は一見に如かずと言うがオススメのスポットである。


みくりが池温泉


                        

北アルプス・立山、剣岳への登山口である室堂ターミナルにあるのが「みくりが池温泉」。日本最高所にある温泉で標高2,430m。白濁硫黄の何とも応えられない温泉である。
「日本秘湯を守る会」の温泉で最高に癒される温泉の一つである。食事もよく、食後のコーヒーをテラスで立山、剣岳を眺めながら飲むのは最高の贅沢であろう。



八ヶ岳・本沢温泉

                          
数々の登山者のロマンを誘う八ヶ岳連峰、その一角にあるのが日本の秘湯「本沢温泉」。
八ヶ岳へのアプローチはいろいろあるが、長野県小海線から本沢温泉を目指してひたすら登るのが良い。日本最高所(2,150m)にある野天風呂は白濁硫黄の温泉である。男女混浴の為、それぞれが譲り合いながら入るのがマナーである。下方には硫黄岳から流れる川の轟音が野趣満点である。本沢温泉の山小屋もこれまた風情がある。



北アルプス・高天原野天風呂

                                  

北アルプスの懐深い所にあるのが高天原温泉、野天風呂のみである。黒岳、鷲羽岳、薬師岳、黒部五郎岳の真ん中あたりであろうか、山中2泊をしないとたどり着けない。日本で一番遠い風呂と言われている。高天原山荘から約15分、黒部の源流がすさまじい川の側にある。標高2,100m、天女様が一緒に入ってくれそうな野天である。



白馬岳・蓮華温泉

                                           

白馬岳への縦走路にあるのが蓮華温泉。昔は蓮華八湯と言われたが今は四湯、北アルプスを眺めながらの野天風呂が素晴らしい。夜は宝石箱をひっくり返したような星空が眺められる。白馬岳を挟んでここの反対側にある鑓温泉もまた素晴らしい。山中深い所にあるため、行きも帰りも一汗二汗は覚悟せねばならない。



くろがね温泉

福島県・安達太良山は遠くから見ても特徴のある山である。頂上が乳首のように見える。その頂上から右側に下る標高1,400mほどに「くろがね小屋」があり、入口には名前の通り黒い鐘がぶら下がっている。ここの温泉も秘湯である。観光客などなかなか到達出来ない奥深い所にあるからだ。
ここの夕食は「カレーライス」、お代わり自由。日本中の山小屋でカレーライスは定番だが、ここの山小屋のそれは抜群に美味しいと評判である。




法華院温泉



九州の百名山、九重山のミヤマキリシマは一面どの山もピンク一色に染めている。

 「♪ 人みな花に 酔うときも 残雪恋し 山に入り 涙を流す 山男雪消(ユキゲ)の水に 春を知る  
     みやまきりしま 咲き誇り 山紅(クレナイ)に 大船(ダイセン)の 峰を仰ぎて 山男 花の情けを 知る君ぞ ♪」

坊がつる賛歌の一節である。大湿原の「坊がつる」を行くと、「法華院温泉山荘」が九重連山を背に建っている。いかにも戦国の時代の砦のような山荘で雰囲気が抜群である。法華院温泉の湯は昔から霊泉として知られ、泉質は硫黄泉であるが、まろやかな泉質であり、鼻にきつくはない。
九州最高度1,303mの標高にある秘湯の温泉である。



法師温泉

                                                

法師温泉・長寿館の予約を取るのは困難を有する。人気度抜群で半年前から混んでいる。谷川岳に近く、三国峠に至近距離である。その昔、高峰美枝子と上原謙が入浴したフルムーンの絵になった宿である。古くは川端康成、与謝野鉄寛・晶子夫妻、直木三十五等多くの文人が好んだ温泉である。
内湯の温泉は、小さな玉砂利がひきつめられ、そこから源泉がポコポコと湧き上がってくる。丸太に頭を乗せて湯船に浸かると至福の時間である。混浴なので若いカップルも片隅で何組もかたまっている。



草津温泉

                     

 「♪草津よいとこ 一度はおいで〜 ♪」 
 一度でなく何度も行きたい草津温泉。 有馬温泉、道後温泉と並ぶ三大名湯のひとつである。

  「♪ お医者様でも 草津の湯でも 恋の病は (コリャ) 治りゃせぬよ (チョイナチョイナ) ♪」 とは言われるが、万病に効くと言う草津温泉。

草津白根山の麓には草津温泉、万座温泉と名湯が多い。草津の「湯畑」は豪快だ、ボコボコと地球のマグマが腹の底まで響き渡る(左)。温泉街には無料の小さな温泉棟が数ヵ所ある、白旗の湯(中)。一度に100人は入れると言う「西の河原露天風呂」も迫力がある。


鶴の湯

                          

秋田県にある百名山、八幡平の南にある乳頭温泉郷の一角が鶴の湯温泉。江戸時代、秋田の藩主佐竹公が入浴した名湯である。鶴が入浴しているのをマタギが発見したので「鶴の湯」と名づけられたらしい。温泉の入口は佐竹藩の奉行所の門のようで、江戸時代にタイムスリップしたような錯覚を覚える。
露天風呂の乳白色が人気である。内湯、露天風呂と数も多く人気度抜群の温泉。近くには蟹湯温泉、孫六温泉、黒湯温泉、大釜温泉、妙の湯とハシゴができる名湯ばかりである。