オイルポンプO/H

2月24日

オイルポンプをバラすのだ。

Fire号は基本的に油圧が高めで安定してた。アイドルで2.5kg/cm2、2000回転も回せば4kg/cm2くらいは確保出来た。6000回転くらいでは5kg/cm2を超えてたから、かなり高い方。1600のロドスタは個体によって油圧のバラ付きが激しい。特に初期型では高回転でも4kg/cm2くらいしか上がらない個体もあるようだ。なぜだろう?

Fire号は基本的には安定していたのだが、99年の後半、エンジンをO/Hする事を決意してたので、サーキット走行を連続していたにもかかわらず、オイル交換をサボってた。とはいえ、距離的には500kmも走ってないのだが。普段ならサーキットを走ればすぐにオイルを交換してる筈。んで、オイル交換をサボリ気味でサーキットを走ってたら、7000回転を超えたくらいから急激に油圧が下がり、油圧計の針が激しく踊るような症状が出た。こりゃヤバイ。と、思ったら、1600ってみんなそうなるみたい。私はオイル交換が頻繁な上にでっかいオイルクーラが付いてるからいままで症状が出なかっただけらしい。まぁ、とにかくオイルポンプは徹底的に点検しよう。


これがオイルポンプの部品すべて。袋入りのは交換する為に用意した新品部品。全ての部品を洗浄して、それぞれのキズの有無などをチェックする。


これがリリーフバルブのプランジャ。キズだらけなのが解かるだろう。全周に渡って傷だらけだったのだが、特に酷かったのはリリーフポートに接する面だった。オイルポンプボディー側のリリーフポートが、単純な機械加工の穴で面取りが全く無かった。この角に引っかかってキズが付いたモノと思われる。これでプランジャの動きが安定せずに引っかかる為に油圧が乱高下したのかもしれない。


これがリリーフポート。


プランジャはこのように中に入る。下からスプリングで押され、上から油圧で押される。スプリングの力を上回る油圧が発生するとプランジャは下に下がり、リリーフポートからオイルを逃がして油圧の異常上昇を抑えるわけ。オイルポンプの吐出側の圧力がプランジャに作用し、リリーフポートから出たオイルはオイルポンプの吸入側に戻されるという単純構造。このポートの角がプランジャにキズを付けたモノと思われる。


これがプランジャのスプリング。上はFire号に付いてたモノ、下は新品。バネの太さが違って見えるが、色が違うモノを写真に撮ったからである。実際には線形、巻き数ともに同じに見えた。自由長が違うだけ。

基準値 45.5mm
Fire号のモノ 44.5mm
新品 47.5mm

げげげのげ、新品って3mmも長いのか? 線形と巻き数が同じで自由長が3mm違えば、バネレートが同じでイニシヤルが違うって状態なわけで、油圧は大きく変化するハズ。

このスプリングなのだが、じつは車体番号15xxxx番台のあたりで変更になっている。私のは148xxx番なので、私のクルマの直後に仕様変更されたってわけか。パーツリストを見ると変更前の車両と変更後の車両、それぞれに適応する品番が異なっている。ナニがどう変わったのか知りたくて、両方を注文してみたら、統一品番に変わっていて同じモノが2個来てしまった。1個は永久在庫に決定だな(笑)。初期の1600で油圧が低い傾向が強いようなので、この15xxxx番台の辺りで変更になったのは自由長を長くしてイニシアルを強くし、油圧を確保するっていう変更だったのかもしれない。私が参考にした基準値は89年8月当時の整備書なので、新部品はそれよりも2mm長くなったのか? 私のが基準値より1mm短いのはヘタりか? なんにしても新しいモノを組むのだ。


リリーフポートの角は面取り加工を施す。丸棒ヤスリで軽く削ってから1000番のペーパで仕上げているところ。あまり大きく面取りすると油圧が下がるのでちょっとだけの加工で良い。


新品のプランジャがスムーズに引っかかり無く動く事を確認する。


そのまま組んだのでは面白くないので、0.8mmのワッシャを1枚追加してイニシアルを強めた。オイルクーラの配管抵抗に打ち勝つ為である。対策部品のスプリングが3mm長いとはいえ、あくまでもノーマルレベルのクルマに適応しているモノなわけで、オイルクーラを追加しているのだからその分の気持ちで0.8mmである(笑)。これで元々付いてたバネより3.8mm分のイニシアルアップとなり、高回転の油圧はけっこ変化すると思われる。結果はやってみなければわからんのだが...(^^;;;


インナロータとアウタロータを組み付けてクリアランスや動きをチェック。問題無い。タップリとオイルを塗って組み付け。あとはフタをすれば完成。


フタをトルクレンチで締める為に、#3のプラスビットが付いたソケットが欲しかったのだが、Snap-onのは高い。そこで、VESSELのインパクトドライバ用のビットを買って来た。このビットは二面幅が8mmなので、普通の8mmソケットで回せる。写真はSnap-onの8mmソケットにVESSELのビットを刺しただけのモノである。このビット、元々インパクトドライバ用なので強度は抜群だし、価格は何と170円。壊しても無くしても惜しくない価格である。これを使ってトルクレンチで締め付けた。これでオイルポンプは完成。

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