そしてもう一度バラしてヘッドを開けてみる。


これは吸気側。私が追加加工したバルブリセスにピッタリ沿うようにバルブが当たってるのが解かる。見事な計算と加工精度と言えよう(笑)


こちらは排気側。これも見事に私の追加加工に沿うようにバルブが当たっている。リセスを外側に広げていなければバルブとピストンが当たっていたのは間違いない。掲示板で「リセス加工なんか必要ない」と主張していたヒトがいたようだが?(笑)


こちらは吸気側。見事な加工(笑)。

面研をやるとヘッドの位置がその分下がるわけ。すると、バルブの描く軌跡がまるごと下がる。バルブが真下を向いているならリセスとバルブの位置関係は変化しないが、バルブは約25度の角度が付いている為、バルブとリセスの位置関係がズレる。するとバルブはリセスが無い真っ平らな場所をめがけて下がってくるのだ。バルブリセスの深さは、バルブ最大リフトでピストンが上死点に来ても当たらない様に設計されているので、1.5mm面研程度ではリセスの深さは通常回転中なら問題無い。ところが、リセスの位置がズレてしまったら通常回転でもリセスが無いフラットな場所にバルブが当たってしまうのだ。だからバルブリセスを外側に広げてやる必要が有る。その加工量は三角関数で求められる。

面研量 X tan25度

1.5 X tan25 = 0.6994614872325

と言う事で、0.7mmくらい外側にズレる。ファミリアのピストンは実測でリセスの幅がロドスタのピストンより0.5mm程度狭かったので、1mm強ほど外側に広げたわけ。解かりやすく絵で書くと以下のようになる。ちょっと大袈裟な絵だが、加工が必要な理由はこういう事。例によってペイントブラシで書いた(笑)


黒い線はピストンとバルブリセスの部分、青いのはバルブ。赤いのはバルブが描く軌跡である。このバルブが面研によって真下に移動すると緑のバルブの位置になる。すると緑のバルブが描く軌跡はピンクの線になり、その軌跡はバルブリセスの外側に位置する。これではリセスが無い平らな部分にバルブがブチ当たるわけ。リセスの深さそのものはタイミングベルトが切れても当たらない様に設計されているので1.5mm面研程度ではベルトが切れない限り問題無いが、リセスの位置がズレてると通常回転でもリセスが無い場所に向かって下がってきたバルブはブチ当たるわけ。

もしもリセス加工をやらずにエンジンを組んでいた場合、この作業をやった時点で再びバラバラにしてリセス加工をやり直し、重量バランス取りと燃焼室容積合わせもやり直す事になっていただろう。

と言うわけで、私の理論と計算と加工はすべて正しかった事が粘土実験で確認できた。めでたしめでたし。

で、ぜんぜんめでたくなかったバルブ突き上げHLAが縮まない事件のその後。24時間かかってほとんどのバルブが閉じました。でもまだ閉じてないバルブも有ったので、そのバルブが最大リフトになる位置にカムシャフトを回してそのまま放って置いたら2時間ほどで閉じました。これを繰り返して全てのバルブが閉じるまでHLAを縮める事に成功。一時はどうなる事かと思った。

次はいよいよエンジン組立だ!

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