極圧テスト

前回のMG-Z極圧テスト結果にクレームが付いた(笑)ので再テストを行なった。前回のテストでは私自身も納得が行かないのは確かだし(MG-Zテスト全般についてはこちら)。今回のテストでは前回のテストをやってくれたラボとは違うところでやってもらった。

MG-Zのテストは相変わらず気を使う。MG-Zの共鳴振動波長は、MG-Zをオイルに投入しなくても同じ空間に存在するオイルに影響を与えてしまうとの事だからだ。つまり、MG-Z入りオイルと普通のオイルを並べておいておくだけで双方共にMG-Zオイル化してしまうという事だ。従って、同時にテストすると比較にならない。この為、前回のテストと同様にベースオイルをラボに発送し、テストを行なう。その結果が出てからMG-Z入りオイルを発送して再びテストを行なう、という手順である。ベースオイルの発送の際にはMG-Zが存在しない環境でボトルにオイルを入れて梱包。それを運ぶ際にはMG-Z使用中であるサンバは使わず、MG-Z未使用のロドスタで運んで宅急便にて発送した。クロネコのトラックにMG-Zが使用されているとは思えないのでこれで完璧だろう(笑)。

今回のテストにエントリーしたのは以下のオイルと添加剤である。

●某英国メーカ製 鉱物系オイル 15W-40 SJ/CF エステルや有機モリブデンは含んでいない。私がいつも使っているお馴染みのオイルである。ちなみに価格は安い(笑)。特に断わり無く「オイル」と書いてる場合はこのオイルを示す。

●M社 100%化学合成 5W-30 エステル系高級オイル。価格はかなり高い。

●オイル+PTFE添加剤 添加量は規定の2倍量。

●オイル+GRP

●オイル+MG-Z粉末

●オイル+MG-Z粉末増量

●オイル+MG-Z粉末増量+GRP

前回のGRPテストとは使用したテスターが違う為、参考までにGRPもエントリー。ついでにPTFEも参加してもらった(笑)。エステル系高級オイルがどんな数字を示すのかも興味有るところ。




テストに使用したテスターは手動式のチムケンテスターであり、手動でトルクを掛けていき、ロックした時のトルクレンチの数字を目視で読み取るというタイプのモノである。当然ながら誤差は大きい(笑)。 今回のように別々の日時にテストを行なうなら更に誤差は大きくなってしまう。 基準値としてオイル無しでのロック値をそれぞれの日に測定しているので、オイル無しでのロック値に対して各種オイルがどれくらい向上しているかを判断基準とすると誤差をいくらか吸収できると思われる。尚、このテスターの最高計測値は600Kgfであり、それを超える数値は本来の目盛りではない目盛りを使用して読んでいる。600Kgf付近やそれ以上では誤差が大きい可能性も有りである(笑)。

MG-Zが関連していないテストは10月16日、MG-Z関連のテストは11月4日に行なっている。

各テストでテストピースの同一面を使用して3回ロックさせている。数値はその3回の最高結果と最低結果の幅を示す。「○○○○1」とか「○○○○2」と言うのは、同じオイルや添加剤でテストピースの面を変更して再テストを行なってるという意味である。従って2回テストしているモノは3回のロックを2セットで6回ロックさせている事になる。同じ試験油でも結果に幅が有るのが誤差である。

- 10月16日 11月4日
1 オイル無し 330-350Kgf 380-400Kgf
2 オイル1 500-520Kgf -
3 オイル2 530-550Kgf -
4 オイル+PTFE1 560-580Kgf -
5 オイル+PTFE2 530-550Kgf -
6 エステル系高級オイル 550-600Kgf -
7 オイル+GRP 850Kgf以上 ロックせず -
8 オイル+MG-Z 1 - 600-620Kgf
9 オイル+MG-Z 2 - 600-620Kgf
10 オイル+MG-Z増量 1 - 600-630Kgf
11 オイル+MG-Z増量 2 - 600-630Kgf
12 オイル+MG-Z+GRP - 850Kgf以上 ロックせず

GRPは相変わらず優秀であり、テスターの測定限界を遥かに超えている。GRPに関してはもはや説明は不要だろう。GRPに関してはこちらをご参照ください。

エステル系高級オイルと、鉱物系安物オイルが大して変わらない数値ってのが面白い。んが、この鉱物系オイルは、一般量販店には出回っていないオイルであり、一般的な鉱物系オイルよりもかなり高性能なオイルらしい。普通に売っている鉱物系SJオイルとエステル系高級オイルを比較したのならば大差がついてるはずである。

PTFE入りオイルでは僅かに数値が向上しているが、誤差の範囲とも言える程度である。PTFE2のテストとオイル2のテストではまったく同じ数字となっている事から考えてもPTFEが極圧性向上の効果を持っていない事は明らかである。

MG-Zは僅かに向上している様に見えるが、11月4日のテストではオイル無しでのロック値が10月16日のテストに対して50Kgf分上乗せになっている。トルクレンチのゼロセットが狂っていたのか? または気温や湿度などの気象条件の違いか? テスト担当者の気合のかけ方の違いか?(笑) 原因は定かではないが、50Kgf分上乗せになっている事を差し引いて考えるとMG-Zの効果はほぼゼロと言える。試しにそれぞれのテスト日におけるオイル無しでのロック値に対する向上率を各テストで計算してみよう。オイル無しを100%として、それに対する値である。

オイル無し 100%
オイル1 148%
オイル2 157%
PTFE 1 165%
PTFE 2 157%
エステル系高級オイル 171%
オイル+GRP 242%以上
オイル+MG-Z 1 155%
オイル+MG-Z 2 155%
オイル+MG-Z増量 1 157%
オイル+MG-Z増量 2 157%
オイル+MG-Z+GRP 212%以上

MG-Zの最高成績は157%、オイルのみの最高成績も157%。MG-Zに極圧性能向上の効果が全く無い事が証明された。前回のテスト結果は嘘でもなんでもなかったのである。そもそも前回のテストを行なってくれたラボの人が、テスト結果を偽る必要もメリット無いのだから当然なのだが(笑)。

それでは例によって実際に実験に使ったテストピースの写真をお見せしよう。


1のテストで使ったモノ。オイル無しでの焼付きを3回繰り返した跡である。


2のオイルのみのテスト。同じく3回ロックさせた跡。


エステル系高級オイルの跡。


5のオイル+PTFE。


7のオイル+GRPのテスト。焼付かない為、極圧を強めに4回加えているが、それでも他のテストと比較して摩耗痕が極端に小さい。


10のMG-Z増量のテスト痕。


12のMG-Z増量+GRP。結果が見え見えだったので、極圧が850Kgfを超えたのを確認して早目にやめたとの事。それでも2回程度極圧を加えたらしい。7のテストと比較して摩耗痕が小さいが、7のテストではロックしないので850Kgfを超えても尚も力を加え続け、それを4回繰り返していた為である。


右から、2 オイルのみ、11 MG-Z増量、12 MG-Z増量+GRP、である。もはや言葉は要らない。

見てもらえば一目瞭然なのだが、GRPを加えたモノ以外は全てのテスト痕が、どんぐりの背比べ状態なのだ。もちろんオイル無しでのロック痕は激しい摩耗となっているのは当然として、それ以外のテストではGRP関連を除けば数字も摩耗痕もみなどんぐり。PTFE及びMG-Zに極圧性能向上の効果が無い事と、GRPの飛び抜けた性能を証明した結果となった。合掌。

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