12/5  前回の窯焚きに、窯の壁面、天上の傷んだ部分の修理と耐火度の高い前兼久土で窯の内部を全面
塗り固める。窯詰め前には毎回行う作業、これを怠ると、窯の傷みが酷くなり、窯が崩れてしまう。


12/10〜16  窯焚き  昨日、窯詰めを終え後は穴窯の作品の出し入れ口をレンガで塞ぐことと、前回割れてしまった
カキヤー(仕上げ用の細木)を投げ入れる両サイドの穴の蓋を4,5点作り直せば準備万端のはずがカキヤーの薪が少々
足りないのではとの思いに、ドラム線とチエンソーを引きずり出し、さらに切って積み足す。結局毎回、やり忘れた事が出て
きて、待ったなしの窯焚きの火入れとなる。翌日、窯口上に設置したレンガに泡盛の入ったカラカラとぐいのみ、みかんを
供える。窯両端に塩を摘んで盛、その上に米粒を振り掛ける。窯周辺を掃き清め、薪の間にクシャクシャにした新聞紙を
突っ込み点火する。今回は3人での窯焚き、8時間の3交代制で一週間焚き続ける。火入れをし、4,5日のあぶりの時間は
哲学の時間?(嵐の前の静かな時間。束の間の至福の時間)薪が静かに燃えている。当たり前と思っていることが、実に
神秘的で古代から変わらぬ炎の有様を、心地よい疲れを感じながら、虚ろな目で見続ける。

   


窯の内部天上より窯土の塊が攻め焚き時に、あちらこちらから剥がれ落ち、作品に落下した。1300度〜1350度近くに達する
と前回の窯焚きで、剥離の徴候が見えていた部分は耐え切れずに落下する。今回の出来は悪い、8斗甕を3個入れたが、3つ
とも割れたり、ブクも多くでた。壺屋の耐火度の低い陶土を自作の陶土と混ぜたためで、自作の耐火度の高い陶土をのみを使う
べきであった。


   

   


12/24  買い物をし、自宅に置いた後、A.M11時頃に家を出る。窯場に向かう車内で携帯が鳴る。窯場に
設置したフャクス機からの転送なのだが電話局に申し込みをまだしていないので、呼び出し音だけで相手と通話ができない。
2日前、いっしょに窯出しをしたF氏からであろうと思っていた。窯場に着き留守電のメッセージを聞く、驚いた。あの気鋭の女流監督
あった。奈良を舞台に映画を撮り続け、日本より外国の評価が高い。「殯の森」でカンヌ映画祭でグランプリを取ってからT.Vでも
何度か紹介され、文芸春秋にも「日本の顔」として登場。最初の出会いは2002年11月頃窯場にヤチムン体験の依頼後、直ぐに
女性スタッフ2人とおばあちゃん4人でヤチムン体験し、帰った。その日はあいにく養母の体調が悪く、十分に対応が出来なかった。