一発のパンチで
  還暦。これまで10年来会っていない友人や、先輩、同期生と数年ぶりに街で会ったり
  すると 「よおー」と、弾んだ声を掛け合い、しばらく互いに相手を見つめながらその後
  に、フーと溜息をつく。お互いが相手を見て、納得?した後の溜息だ。中には無礼な
  同期の女性がいて、会うなりの第一声が、「ハゲているさ。」であった。後に続いた言葉
  も、「分かった。元気ですか」であった。分かったとは?こうなったら俺だって(分リッキサ
  ー?オバタリアン)と言いたい。もはや懐かしさは、この一発のパンチで吹飛っんでしま
  った。かって中学の頃の同級生で、僕が級長で彼女が副級長、ホームルームやクラス
  会をいしょにやり。中2のクラスにしては、卒業し社会人になった後も、クラス会が長く
  続いた。担任の教師が思いやりのある優しい女性の先生であったためでもある。進級
  後、彼女とはクラスが替わった。授業が終わり、忘れ置かれた出席簿を職員室に返し
  に行った時であった。大粒の涙が落ちるのもかまわず職員室で担任の先生と、言い争
  っている女生徒がいた。中2のクラスでいしょだった弱視のK君を席のことで、庇って言
  い合ってるようだった。正義感の強い奴だなと感心した。クラス会以来十数年、会った
  ことはなかった。窯場近くの小学校に赴任し、新任教師と2,3名で訪れた。