消えた飛行機

消えた飛行機

小林翔

 アイディアは実に素直で好ましく思いました。文章がこなれていないのですが、誠実な物語の進め方に助けられています。ケレンのない表現に内容がうまくあっていると思います。あとは表現の力をつけることが大切だと思います。また、どう調査するのかという部分を「探偵」の一言で片づけてしまう豪胆さは才能のひとつではありますが、それに頼らず緻密な組み立てに挑んでもよいと思います。
 細かな記述の面では以下の点が気になります。「怪しげな運転である」は飛行機なので「操縦」が妥当。「しかし」があまりに多い。文を繋ぐときに接続詞を使うのは便利な方法だが、逆説が少なくなる構成を考えるのも大切。読みやすさが格段に変わってきます。「この飛行機はどこへ行ったのか」は「あの飛行機」の方がよいでしょう。「こそあど」の使い分けには慎重になるべき。また「こそあど」の多用も少し気になるところです。全体にまだ文体が生硬で洗練されていません。一つ一つの文はもちろん、相互の関連にも気をつけるべきだと思います。